第4章~境内で遊んでいたら
お寺の境内に着いて、仲間みんなで鬼ごっこをしようとした時に、のりお君は言いました。
「僕は、鬼ごっこで走るのが苦手だから、ここで見ているよ…」
と、言って、墓地とお寺の境内の境界線から、境内側に入って来ようとしませんでした。
すると、まさのぶ君が、
「じゃあ、そこで見ていてよ、たまに声を掛けるから!」
…と、言って、走り去って行きました。
自分と、仲間3人と、よしひこ君は、鬼ごっこをしながら、
「いや~、捕まって鬼になっちゃったよ」
とか、
「鬼になったけど、足の遅い奴とすぐに交代してやる!」
とか、
「このまま、逃げ回ってやるから捕まるものか!見ててごらんよ」
と、いった感じで、その状況をのりお君に向かって話しかけていました。
すると、お寺の境内にいた若いお坊さん2人が、首を傾げながら自分らの方に近寄って来ました。
そして、こう言いました。
「お~い、君達~!」
「境内で遊ぶのはいいけど、さっきから一体、誰と話しているのかい?」
…と、言うので、てつや君としげる君が、
「そこに、オレンジ色の服の子がいるじゃない!」
「そこのいるのが見えないの?」
と、言って、のりお君を指差すと、
若いお坊さん2人が、更に不思議そうな顔してから…、
「君達!ここでまだ遊んでいてくれないかな!」
…と、言うと、一目散にお寺の本堂に走って行きました。
それから、数分経った頃だと思いますが、お寺の本堂から住職と思われる、かなり年輩の方が出てきました。
その方は、自分らがのりお君に話し掛けながら鬼ごっこをしている姿を見て、みるみる表情が険しくなってきたのです。
そして、こう言いました。
「君達には、ここにいる子供が見えているのか~!!!」
自分らは呆気にとられましたが、仲間みんなが口を揃えて…、
「うん、見えているよ」
「オレンジ色の服の子でしょ」
「一緒に遊んでいるんだ」
と、言ったと同時に、今まで穏やかっだった住職の顔が、真っ赤になったのです。
そして、のりお君に向かって、
「出てきてはいかん!すぐに帰るんだ!もう2度と出てきてはいかん!!!」
と、ものすごい剣幕で怒鳴りつけたのです。
すると、のりお君が、
「イヤだ!イヤだ!僕はもっと遊びたいんだ!」
…と、駄々をこねると、
住職は、自分らに向かって、
「君たちは、もう帰りなさい!そして、もう墓地には近付かないように!」
と、言って、のりお君を前からガッシリと捕まえた状態で、墓地に入って行きました。
住職が、墓地に数メートル入ったところで、若いお坊さん2人に向かって…、
「おい!いつもの物を持っていてこい!」
それだけ言うと、墓地の奥に行ってしまいました。
住職のあまりの迫力に、自分らは帰ろうとお寺から出ようとしていた時に、若いお坊さん2人から呼び止められました。
「君達、ちょっと待ってよ!」
「さっき一緒に遊んでいた子供?は…、墓地のどの辺で会ったの?」
と、言うので、てつや君は今までの経緯と、午後5時になると墓地の高台の方に走っていった事を伝えました。
すると、若いお坊さん2人は、お互いを見合わせて…、
「もしかしたら、2ヶ月前に事故で亡くなった子供かもしれない…」
と、ボソッと言うと、
「君達、ありがとう!」
「お墓の場所がだいたい分かったよ!気を付けて帰れよな~」
と、言うと、本堂の方へ全速力で走って行きました。