第2章~警告された午後4時過ぎ
よしひこ君の、警告を聞きながらも、セミを捕りに墓地に行くのは、なかなか止められなかったのです。
なぜなら、他の公園等では、なかなかセミが捕まらなかったからです。
ひどい時には、半日くらい日比谷公園にいても、セミ1匹…なんて事も当たり前になっていました。
さて、話を戻して、その墓地へ侵入は、あるマンションの駐車場のつきあたりが、墓地と隣接しており、そこから入ると丁度、墓地の中心部の端に出るのです。
そこから、入ってセミを捕りに行くのですが、多い時で6人位で捕りに行っていました。
しかし、いくら今までセミ捕りをしていなかった穴場の墓地といえど、セミ取り仲間が別々に捕りに行っていたようで、日が経つにつれ、なかなか捕まえられなくなりました。
そうなってくると、1匹のセミを追い回すのに、自然と時間がかかるようになりました。
ただ、墓地だけに、お墓を踏み台にしてセミを捕るのだけは止めていました。
もし、間違ってお墓に上がってしまったら、「ごめんなさい」を10回言う…という感じで、セミ捕りをしていました。
ある日の事です。
仲間3人と、
「午後2時から1時間だけ墓地でセミ捕りをしよう!」
「1時間で3匹捕ったら帰ろう」
と、いう話になりました。
1時間でセミを2匹捕まえたものの、あと1匹がどうしても捕まらない…。
そして、とうとう警告されていた午後4時になってしまったのです…。
すると、いきなり話かけてくる子がいました。
振り向くと、すぐ後ろにオレンジ色の服の子がいました。
「ねえ、ここで何しているの?」
仲間のしげる君の顔が引きつり…、
「でっ、でたっ~」
…と、叫んだのです。
すると、その子が言いました。(以後、オレンジ色の服の子はのりお君とします)
「でたって、何がでたの?それより遊ぼうよ」
仲間みんなが、拍子抜けした感じで、
…なんだ、夏休みだから、どっかの学校の子がセミ捕りに来たんだな…と、思いました。
仲間のてつや君が、のりお君に言いました。
「セミ捕りに来たんだけど、お墓の上にのぼらないと、もうセミは捕れないから、帰ろうと思っていた所だよ」
…と、言うと、
「墓石の中には、何も入ってないから、大丈夫だよ!ほら、ここと、ここに足を掛ければ、あのセミが捕れるじゃない」
…と、言ってきたので、てつや君はすかさず、墓石にのぼって3匹目のセミを捕まえました。