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恋多き人々9ーリリの話ー

私はありがたいことに、女性が少ない世の中でありながら結婚相手を選ぶことができる立場でした。

公爵家の長男という肩書は誰にとっても魅力的ですからね。


私はどうせ結婚するなら肩書だけでなく、私自身も見てくれる人が良いと思っていました。

だから、お母様と私は恋愛結婚なのですよ。

彼女は確かに私の財産や地位に惹かれていましたが、私自身のことも好いてくれていました。

パーティーで適切にふるまうことのできるマナーと教養を身に着けていた彼女は、公爵夫人としても申し分ない。

私達はお互いに利害の一致の上で恋愛をして結婚しました。

それと同時に、ローゼも彼女と結婚をしました。


私とローゼは当時から良き友人でしたから、私は彼らの結婚を歓迎していました。

ただ、ローゼは妻を好いていたというよりは実家に結婚の催促をされて、仕方なく友人の妻を娶ったという様子でした。

けれど私は心配していませんでした。

ローゼの魅力は魔性のように女性を虜にしますからね。


思ったとおり妻はすぐに彼に恋をしました。

その恋心は私に抱く恋心とは違うようでした。

私は人間は複数の人に恋をすることができると思います。

しかし、抱く思いがいつも同じとは限らない。

相手によって質も長さも違う。


彼女が私とローゼを同時に愛せたのはたった3ヶ月の間だけでした。

彼女は徐々に私の色々なところが気に入らないと言い始めました。


最初は結婚した後、私が女性に人気がなくなったことに気付いたときでした。

彼女たちは私の財力と権力に興味があるのですから当然です。

しかし、彼女は私の魅力が失われたからだと思ったようです。

それからは見目が地味だとか、話し方が間抜けているだとか、私に対する文句が増えました。


けれど今思えば文句を言えるほど私を見てくれていたということだったのですね。

1年も経つと、彼女は私にさっぱり興味がなくなったようでした。

とうにこの屋敷を出て王都の邸宅で暮らしていた彼女とは年に1度、屋敷で行うパーティーのときしか会わなくなりました。


彼女の私に対する恋心は短いものだったようです。

決定的だったのは3人目の夫ができたときでした。

相手は王族だったのです。

私と結婚する最大のメリットであるの財力も権力も、彼女にとってなんら魅力はなくなりました。


けれど、この国では結婚するのは簡単ですが、離婚するのはとても難しいことなのです。

だから私と妻は夫婦という関係ながら、妻は私に無関心なのですよ。


しかし、悲観することはありません。

この世界ではごくありふれた夫婦関係だと思います。

女性にとって替えがきく夫と、男性にとって替えがきかない妻。

そのいびつな性質が絡み合って如実に現れるようなものが夫婦なのです。


第一、私の恋も彼女が冷めると同時に終わってしまったようなのです。

今はもう、彼女を好ましく思うどころか憎いとも悲しいとも思いません。

パーティーが苦手なのはその時だけ私はまだ彼女に一心に愛を伝える男のフリをしなくてはならないからです。

それが紳士として妻に取るべき態度ですから。




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