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恋多き人々5

「とは言うけど、私もそんなにこの家の事情を知らないのよね。ほら、だって私、一番最後にこの家の婿に入ったんだもの。」

「ということは貿易商で、珍しいものを持ち帰ってはを東の塔にコレクションしている第4夫君?」

「あら、よく知ってるわね。」


ローゼとポプリを作ったときに聞いたあの図々しいお父様はアザリーのことだったようだ。


「聞いての通り貿易商で全然家にいないから余計にわからないわ。」


アザリーはお手上げと言わんばかりに肩をすくめる。


「さすがに自分の妻のことは知っているでしょう?」

「まあね。まあでも、妻は見た目は可愛いけど中身はあの通りよ。女だと甘やかされて超わがままに育った感じの、一般的な女性ね。」

「アザリーは女性が嫌いなのですか?」

言葉の端々にトゲを感じるのだが。


「別に友達にするならいいわ。でも恋愛対象ではないわね。私は思いやりがあっで思慮深い人間が好みなの。」

「じゃあ、なぜお母様と結婚を?」

政略結婚とか?

大体口調から察するに、女性そのものが恋愛対象外なのでは?


「決まってるでしょ?商売のためよ。」

アザリーは堂々と言い切った。

まさかの結婚はビジネスと割り切るタイプの人だったとは。


「公爵家の肩書は信用を得るのにもってこいだもの。」

「よくそれでお母様は結婚してくれましたね。」


この世界は女性が少ないから、結婚するのも一苦労だろうに。

よくこんな条件の人と結婚しようと思ったものだ。


「まあ、妻の前では王子様の猫をかぶっていたのよ。でもいいじゃない。商売ありきだけど、一緒にいる間は世界一幸せな妻にするつもりで結婚したんだから。」


それは、下手な言葉よりバカ正直でよほど魅力的な殺し文句かもしれない。


「ま、すぐに素の女口調がばれて大げんかになったんだけどね。まあ、私としてはかえって自由になったから結果オーライだわ。おかげで心置きなく恋愛できるし。」


私の感動を返してほしい。


「アザリーはやっぱり男性が好きなんですか?」

「そうね。今の時代、私好みの女性なんていないから、男に恋することが多いわ。別に性別にこだわっているわけではないけれど。この口調と見た目は、こっちのほうが好きな人モテるからしてるだけね。マリアが嫌なら別に男っぽい喋り方にしたっていいわ。」


この人、どうやらとっても打算的である。

口調も服装も便宜上していただけで、こだわりがあるわけではないらしい。

打算的なくせに相手のこともちゃんと考えているのが見えるから憎めないのだ。


「別に、アザリーが楽な話し方でいいです。」

「じゃあこのままね。私、恋愛体質で四六時中恋してるから、女口調の方に慣れてきちゃったのよね。」

「ということは、今も誰かに恋してるんですか?」

「もちろん!」


アザリーはそう言って幸せそうに微笑んだ。

彼は本当に笑顔が魅力的な人だと思う。







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