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貴族≠パリピ

ブーケット邸の庭は広い。

私が最初に迷い込んだ巨大きのこ群生地帯があると思えば、お花畑のように花が咲き乱れる美しい場所もある。

ただし、花の色は異世界らしくカラーバリエーション豊富である。

水色とか蛍光グリーンとかの花が普通に生えていた。


そんな幻想的な庭を散歩していると、ふと1人の父のことを思い出す。


「最近リリの元気がない気がします。」

「ああ、それは今週末、パーティーを開くからだよ。リリはパーティーが嫌いなんだ。」


パーティーなんてさすが貴族だ。

しかし、金持ちに生まれながらパリピじゃないなんてリリは大変そうだ。


「どうして嫌いなパーティーをわざわざ開くんですか?」

「それはまあ、ブーケット公爵の誕生日だからかな。」


ブーケット公爵、つまりはリリの誕生日。

王族に匹敵するほどの大貴族の嫡男ともなれば、誕生日にパーティーをすることは義務になるらしい。

そういう大事なことは早く言ってよね。

こっちもプレゼントとか用意する時間が必要なんだから。


「じゃあパーティー前に気合を入れるために好きなことをたくさんして、気分を上げれば、パーティーで盛り下がっても大丈夫ですね。」


前日にテンションを上げておいて、パーティーで落とせばいつもどおりのリリに戻るに違いない。


「そう、なのかな?」


ローゼは首をかしげる。

どうした、前向き王子にしては珍しく煮え切らない回答だ。


「そうです!そうと決まればリリに好きなことを聞かなければ!」


私は張り切る。

なにせ、食っちゃ寝で穀潰しの幼女もついに役立つときが来たからだ。




夕食の席で私はこう切り出した。

「リリの好きなことはなんですか?」


「好きなことですか?そうですね……マリアと一緒に過ごすことです。」


即答せずにしっかりと考えた間があるせいで本気で言っていると分かる。

やめてください。照れてしまいます。


「もっとこう、趣味みたいなものはないですか?」


一緒に過ごすだけなら、今もやってるからね。

もっとテンションが上がるものを言ってもらわないと。


「趣味ですか?うーん、……読書ですかね。」


おお、たまに本読んでるものね。

でも「一緒に読書しよう!」と言いたいが、私はまだあまり文字が読めないのだ。


「確か、ボードゲームとか結構好きじゃなかった?」


ローゼは私が困っているのを察したのか助け舟を出す。

ナイスフォロー。


「ああ、そうでした。ボードゲームも好きですよ。」


なるほど、ボードゲームならルールがわかれば私もできる。

こんな子供が相手になるとは思えないが、最悪2人がやっているのを横で見ているだけでも楽しめる。


「じゃあ今度私とボードゲームをしてください!」


「?もちろん、お招きいただき光栄です。しかし、なぜ急にこんな話に?」


私のあまりに唐突な話題にさすがのリリも戸惑ったように笑っている。


「マリアは憂鬱なパーティーを控えているリリを元気づけようとしてるんだよ。」


そして、ローゼはあっけなくネタばらしをしてしまう。

ちょっと恥ずかしいから黙っていたのに。


「ああ、マリア。ありがとうございます。その気持だけでとても幸せな気分です。あなたは本当に優しい子ですね。」


リリの表情がパアッと華やいで、嬉しそうにほころんだ。

なるほど、これが親孝行というものか。







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