果実の長、カフェにて
白いカップの中に、真っ黒な液体が湧き出す。
溢れ出る。
少し零れたところで止まった。
つうっと茶色の跡を残して滴が落ちる。
ゆっくり、嵩が減っていく。
代わりに丸っこい物が浮き出てくる。
液体が見えなくなって、残った物は、黒い豆のように見えた。
「ねぇ栗、この……豆?みたいなやつ何かわかる?………………わかんない?そっか。じゃあしょうがない。………………木苺がわかるって?………………まぁ、どっちにしろこっから出ないとね。………………あー、大丈夫。分かってるから。………………んー?出れるって。栗は心配性だなぁ」
細くて白い指が豆らしき物を二粒つまんでいく。
「あぁ、そうだった。木苺に見せないとね。」
木苺:ラズベリー、ブラックベリーなど