Ep54:告白
ぎりぎり八月中に二本目書きあがったよばんざーい\(^o^)/
そして毎度毎度うp遅くてごめんなさい\(^o^)/
なんかもう、この話の展開をどうするかですごく悩みました。どっちに転んでいいか分からなくて本当に悩みました。
だけどリターンはハーレム物と銘打っているので、それらしい展開にしました。
ハーレム好きの方に喜んでいただけたら願ったり叶ったりです(^ω^)
「陽雪、夏休みの宿題は終わったの?」
「………」
「…?なに、黙ってるだけじゃ分からないでしょ。なにか終わってないものでもあるの?」
「…じゆう、けんきゅう?」
「……また、めんどくさいもの残したわねぇ、あなた……」
「我が校を志望した理由はなんですか?」
「はい、私が御校を志望した理由は―――(家から近くてそこそこの偏差値だからに決まってるだろそんなご大層な理由なんてねーよアホが)」
「家名があろうが、なかろうが、そんなことはどうでもいい。大事なのはお前の気持ちだ。―――だから、良く考えなさい。お前の気持ちは、お前にしか分からない」
俺は、昔から自分で何か決めるのが苦手だった。
…いや、決めているつもりでは、いた。
俺の決定はいつだって俺の意思で、俺の答えだと思い込んでいた。
だけど、いざ今までの人生を振り返ってみると、愕然とするほどそんな「自分自身の答え」なんてものは少なかった。
周りの状況。
他の人の視線。
あるべき姿。
それらを加味した上で、一番めんどくさくない答え。
それにほんの少し、スパイス程度に「俺の意見」を加えたら出来上がるのが「俺の答え」。
きっとそんな程度のものだ。
だから、ガイに言われた言葉は、本当は耳をふさぎたくなるくらい聴きたくない言葉だった。
俺の気持ち。
俺の言葉。
俺の想い。
それが、全てだと。
他の人には分かり得ないものだと。
(だけど)
そんなもん、誰に言えばよかった?
兄貴が居なくなってから、家族は崩壊していた。俺の言葉なんてどこにも行き場は無かった。
言っていいはずも無かった。
言っちゃいけない言葉ばかり、俺の中にはあふれていたから。
「どうしてお兄ちゃんは死んじゃったの?」
「僕がいけなかったの?」
「誰が悪いの?」
「僕を見てよお母さん」
「僕を一人にしないでよお父さん」
「僕が、僕は―――――――――――」
(だけど)
変わらなきゃ、いけない。
力が強くなっただけじゃ駄目だ。
心も強くしないと駄目だ。
幸せなことに、今の俺の周りには、俺の言葉を受け止めてくれる人がいるんだから。
怖がって自分の言葉を押し込めるのは、もう、駄目だ。
周りに流されるのは楽だし、自分の所為じゃないから怖くも無い。
だけどそれじゃあ、きっと、俺は変われない。
「アゼリア先輩」
8年生のクラスまで行き、先輩を呼び出す。
「アリス」
授業が終わったあと、一息つくように伸びをするアリスに声をかける。
「どうしたハル。わざわざ、…そう!わざわざ!私のところまで!よほど大事な話なんだな、な!!」
「ん?どうしたのハル君。何か用事?」
そういって、真っ直ぐ俺の目を見つめ返す目を見ながら言う。
「放課後、俺の部屋に来て欲しい。大事な話があるんだ」
大事な話。
とても大事な話。
きっと、一生の覚悟を決めてしないといけない話。
俺の未来を決める、話。
放課後、約束どおり2人は俺の部屋を訪ねて来た。
ククリには事情を話してとりあえずよそに行ってもらっている。
といっても、女子が男子寮に居ていいのは夕食の時間前まで。それ以降の滞在は規則で禁止されているから、あまりぐだぐだ時間をかけるわけにも行かない。
自分は二段ベッドの下段に腰掛け、椅子に座る二人を僅かに見上げるようにしながら話を切り出した。
「俺、」
声を出してみて気づく。
喉の内側がへばりつくように乾いている。
ためしに唇を舐めてみれば、そこも同様にかさかさになっていた。
…どんだけ緊張してるんだ、俺。
我ながら情けない。
一旦深呼吸して落ち着くことにする。
…………よし、いこう。
「俺、は」
青色の瞳と、鳶色の瞳が俺を見ている。
そらすことなく、じっ、と。
「俺は、……貴女たちのことが、好きです」
俺もそれを見つめ返す。
「その、好きっていうのが、いまだに友情とか、親愛とか、そういうものと区別ついて無い部分は確かにあるけど、それとは別に、俺は、アリスとか、アゼリア先輩のことが、好きです」
「…それは、私…たち、と同じように、恋愛感情として、ってことですか?」
アリスが俺に問う。
…そうじゃない、って、いえるのは、今だけだろうなぁ…。
と、弱気なことを考えてみる。
例えば、そう。
ここで「え?いや、そういわれるとそうとはいいきれないなぁ」とか言ってみよう。
確実にボコボコにされる。
ボコボコにされた後、手当てをされて、「全く。あんな性質の悪い冗談はこれっきりにして下さいね?」とか言われるだろう。
そしてその後は今までどおりの生活が始まるんだ。
胃を悪くした俺と、心が傷ついた2人の。
…………じょーだんじゃねーよ、っつー話だ。
んな馬鹿な話があるか。
俺がチキンな所為で2人が傷つくなんて、言語道断だ。
だから俺は頷く。
「あぁ、そうだよ。俺は、アリスや、アゼリア先輩のことを、女性として想っている」
「…とんでもない、誑し発言」
「うん。自分でもどうしようもないなと思ってる。最低だよ。クロアが泣きながら俺のこと刺しても仕方ないと思う」
だけど、そうなったとしても、俺はこの結論を選ぶしかない。
俺を好きだといってくれる人を。俺が愛した人を。
俺と共にあることで守れるなら、どんなに俺の中の常識とか良識とか道徳から外れてもいい、その道を選びたい。
それがきっと、俺の想いで出した、俺の結論だから。
「―――だけど、俺には、未だに2人に言ってないことが山ほどある。これからもきっとしばらくは言えない。一生言わないかもしれない。2人を好きだと想う気持ちに偽りは無いけど、それとは別だ。言えないことが、どうしてもある」
「泣いて頼んでも?」
小首をかしげながら、潤んだ瞳で尋ねるアリス。
…………ちくしょう、可愛い。
なんだよこれ、超なでくり回したい。構い倒したい。あっちがギブアップするまで猫可愛がりしたい。
…あぁ、俺って結構バカップルとか、親馬鹿の素質ありそう。
だけど。
「駄目だ。言えない。君の為だとか綺麗ごとでもない。全部、俺の為」
「クロアちゃんは、知ってるんですか?」
「知ってる…部分もある。ある意味、ランバルディアの話でもあるから」
「そう、ですか」
そうしてアリスは口をつぐみ、うつむいて黙ってしまった。
何か考え事をするように、ぶつぶつと口だけ動かす。
…そりゃまぁ、考えもするよな。
家柄とか考えてみても、どうしたって自分は第一夫人にはなれない。
いつまでたっても二番手、三番手。
その上相手は秘密主義ときた。
…我ながら、どうしてアリスが俺を選ぶ理由があるかと思ってしまう。
ていっても、ここで逆に振られたら、それはそれですげぇショック――――――――――――。
「ハル」
そのとき。
凛とした声で名前を呼ばれた。
「先輩?」
あぁ、そういえばこの部屋に来て一言もしゃべってなかったな、とここに来て気づく。
先輩は、膝に置いた手をぎゅっと結んで制服のスカートをしわくちゃにしながら、しかし一ミリたりとも俺から視線をそらすことなく強い瞳で俺に言った。
「お前は、私のことが、好きか?」
「え?」
「お前は、私を愛し、私を尊び、私を敬い、私を育み、私を想うか?そして、同じことを私にも許してくれるのか?」
「―――――はい。俺は貴女のことが好きです。俺は、弱いから。色々とぶれると思う。迷うと思う。だけど、貴女のことが好きで、貴女のことを守りたいと思うこの心は、間違いじゃない。俺の、俺自身の気持ちです」
見つめ返す。
逃げちゃいけないと思うから。
怖がりながらも、俺の「本当」から逃げないでいてくれるこの人から、逃げちゃいけないと思うから。
「俺は、貴女のことが、好きです」
「なら、いい」
ぎゅぅ、と抱きしめられる。
その後にがたんと大きな音がして、それが椅子が床に倒れた音だと気づく。
そして今、俺の首にかじりつくように抱きついているのは、アゼリア先輩だ。
いつの間にやら俺のすぐ傍まで来ていて、ベッドに片膝ついて両腕でぎゅうぎゅうと俺に抱きついている。
「ならいいんだ。他にどんな事情があったっていい。お前が私とちゃんと向き合って、ちゃんと私を認めてくれて、それで、ちゃんと私のことが好きならそれでいいんだ。それだけで満たされる。親でさえも見捨てたこんな私を愛してくれるんだ。それ以上、何も望むことなんて無い。最上だ」
先輩は、そう耳元で小さな声で甘くささやく。
少し泣いたような潤んだ声で、背筋がぞくっとした。
もう何も隠す必要は無いとでも言うかのように俺に全身を預け、柔らかな体を存分に俺に押し当ててくる。
………ちょっと、色々と、きつい。
「…………あーーーー!もーーーやーめたっ!!!」
「えっ!?」
そして再度聞こえた、椅子が倒れる音。
どしん、とアゼリア先輩が抱きつく反対側から衝撃を受ける。
「ぐぇっ!」
俺の胸に抱き…否、タックルをかましてきたのは、アリス。
目じりにうっすらと涙を浮かべながら上目遣いで怒鳴る。
「もう私考えるのやめました!」
「え?なに??」
「そりゃ私だって一番になりたいし、将来約束されたいし、好きな人独り占めしたいですけど、独り占めできないぐらい素敵なんだったらもう仕方ないし!もういいんです!考えるのやめます!!好きなんだからそれでいいんです、好きな人が好きっていってくれるんだからそれでいいんです、それでいいんです!!!」
言い切ってから、ぐいぐいと顔を俺の胸に押し当ててくる。
じんわりと涙で濡れるのが分かった。
そして俺は少し迷ってから、アリスの頭を撫でながら言う。
「…………………いいのかよ?俺、相当最低なこと言ってる自覚あるんだ。いろんな人のこと好きとか言って、好きな人は皆守りたいとか言って、普通じゃない、ってこと、分かってるんだ」
「それでもいい」
答えたのは、アゼリア先輩。
「それでもいいの」
アリスも言う。
「ハル君が、何か特別な人だってことは、分かってます。それとは別に、どうしようもない人だってことも分かってます。分かってて好きなんだから、もうほっといてください。私も、アゼリア会長も、クロアちゃんもみんなみんな、どうしようもない馬鹿なんです」
「…らしいですよ?」
「否定はできんな」
「…ですか」
その答えに、どっと体に力が抜けた。
2人をくっつけたままベッドに倒れこむ。
三人分の体重を受け止めたベッドがぎしりと音を立てる。
「…ぅぁああああーーーーーーーーーーーーああぁぁ………」
疲れた。
すごく、疲れた。
自分で決めるっていうのは、こんなに疲れて、しんどくて、つらいものなのか。
…知らなかった。
「…ハル君」
「うん?」
「お腹すきました」
「あぁー、もう夕食の時間か…そろそろ、行かないと…」
「…もう少し」
「でも先輩、夕食の時間までに寮でないと怒られる…つぅか、会長がそんな素行不良とかだめでしょ」
「もう少し!」
「…はいはい」
「じゃあ私ももう少しぃー」
「はいはい」
2人の頭をぽん、と撫でる。
全てが解決したわけではないことは分かってる。
だけど。
気分はすこしだけ、晴れやかだ。
「ハル、もう夕食の時間だからそろそr……………不純異性交遊駄目絶対いいいぃぃーーーー!!!!!」
「ノックをせんかうつけ者おおおおぉぉぉぉ!!!!」
「ここは俺の部屋っスうううぅぅぅl!!!」
「…ククリくん?」
「エルマー、とか言ったな」
「…は!?」
「「ちょっとお話しましょうか」」
「…い、いやっスぅぅぅぅぅ!!!!ぎゃあああぁぁぁぁ!!!」
その後 ククリ=エルマーの 姿を 見た者は いない
ちなみにこれ書く間にすこしリターンへのモチベーションが下がっていました。
だけど皆さんからの感想を頂き、すごく力になりました。
いまは無事にモチベーションも復活しましたので、ご安心ください。
いつも感想返し遅くなっていますが、きちんと読んでいます。
これからも暖かい目で(厳しい意見も当然ありますでしょうが(;・∀・))見守っていただけるとうれしいです。