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エルアラメインの反乱 第三話(エルアラメインの森の戦い)

今、このアルナロックに戦乱が始まった。


俺達エルアラメイン侍軍団はエルアラメインの森へと進行した。既に、王都の軍勢が動いている可能性が高かった。場合によっては敵の斥候と出会い頭に接敵する可能性がある。


俺達の任務はこのエルアラメインの森の安全を確保し、後から続く領軍の進撃ルートを確保することだ。


俺達は2手に別れ、進撃した。狭い森では、100人もの軍勢ではかえって戦いにくい。2手に別れた軍勢は更に2手に別れていた。


編成は大将である俺の麾下、フェンディとベルディ率いる第一中隊、第二中隊、更に、フェンディ麾下のベルファーレ、アルフィンにそれぞれ24名の第一小隊、第二小隊、ベルディ麾下の元副官の率いるそれぞれ24名の第三小隊、第四小隊だった。


俺はフェンディの第一中隊と行動を共にした。ベルディの隊とは500mは離れている。彼の腕なら離れていても大丈夫だ。


接敵は突然だった。森の中の戦いは常にそうだが、今回もやはりそうだ。ただ、俺達は敵を知っていた。


「!」


「フェンディ様!」


「ベリンダ!」


それはフェンディが王都の王立魔法兵団で率いていた第4軍の指揮官ベリンダだった。彼女は当然敵だ。


「姫様、見つけた。やはり、エルアラメイン側に立たれたのですね。私の姫様、せめて私の手で。」


「ベリンダ、そう簡単にいくかしら?私を誰と思っているの?」


「姫様は姫様ですよ。私達の可愛い姫様ですよ。本当にあなたが軍団長の器があると思われるのですか?あなたが美しい姫様でなければ誰もあなたを軍団長だなんて認めませんよ。」


「ベリンダ、あなたそんな事を思ってたの?」


「そうですよ。そして、今のあなたは姫様では無い。我ら王国の反逆者ですよ。どうせ、殺されてしまうなら、そめて私の手で殺して差し上げます。安心してください。綺麗なままで、傷などつけないで殺して差し上げます。」


「ベリンダ、まるで私があなたより、弱いという感じね。それに、あなた、ちょっと病んでいるわよ。」


「突然いなくなって、気が付いたら、反逆者になっているんですよ。酷いじゃ無いですか?何故、私を連れて行って下さらなかったのですか?」


「いや、だから、私、ノーマルだから、ちょっと、身に危険を感じたから。」


「なんか、痴情のもつれみたいだな。」


「どちらにしても、姫様、お命頂戴しますわ。」


「ベリンダ、さしでやりましょう。もし、私が勝ったら引きなさい。いいわね。」


「ええ、もちろん。でも、私に勝てますかね。訓練ではいつも皆あなたに勝ちを譲ってたのですよ。本当にあなたが勝った事なんてあったのかしら。」


「ベリンダ、それはわかっていたわ。でも、今は違うわ。私は実戦を積んだ。実戦経験の無いあなたに勝ち目はあるかしら、訓練と実戦は違うわよ。」


「姫様も言う様になられたのね。剣を抜いてください。」


「フェンディ?」


「任せて、ガウディ。それに、バンパイアロードとの戦いの時私にも剣の声が聞こえたの、炎の剣の声が、彼は私に力を貸してくれるわ。」


「わかった、任せる。」


フェンディの言うとおり、実戦経験を積んだフェンディが実戦経験の無い者に負けるとは思わなかった。それに、いざとなれば刀を解放して助ければ。


ベリンダが剣を抜いた。そして、フェンディも。


「炎よ。」


フェンディが言霊を叫び、剣を抜くと、フェンディの体から炎が立ち昇った。目は赤くなり、金髪は灼炎となり、火花が長い髪からほとばしる。


「姫様!」


「炎の剣、フレームソードの力よ。姉様の雷神剣と同じよ。本気で私と戦うつもり。姉様の雷神剣の威力は知っているわね。今の私は姉様と同じ位強いわよ。」


「ほんのわずかな間に、姫様は本当に強くおなりになったのですね。私の負けです。灼炎の戦士に勝てる程の力は私にはございません。


御無礼申し訳ございませんでした。」


「じゃ、帰りなさい。あなた達第4軍では勝負にならないわよ。もう後続の部隊が来ているわ。早く。」


「いえ、違うんです。本当は私達は姫様をさらって逃げるつもりだったのです。でも、姫様はお強くなられた。私達は脱走兵です。帰る所はありません。姫様の軍に加えて下さい。お願いします。


皆、姫様に忠誠を誓った者達です。」


「わかったわ。ガウディ、いい。」


「ああ、味方は多い方がいい。後で、シュツットガルト公にとりなしておこう。」


俺達に新たな味方が増えた。女ばかり、というか第4軍の女ばかりが脱走し、味方についた形だ。彼女達は100名にも達した。全く、フェンディの男前のおかげで思わぬ戦力が手に入った。シュツットガルト公に報告と紹介をしたところ、あっさり認められた。彼女らは魔法使いで、エルアラメイン軍の第3魔法軍団となった。


俺達はエルアラメインの森で何人かの王軍の斥候を倒して、森の安全を確保すると、広大なエルアラメインの草原に兵を進めた。


エルアラメインの草原に吹く風は疾風のごとくだった。

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