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―結―

「変な夢だったな……。あれっ?」


 コキコキと関節を鳴らしつつ、男がフラフラと起き上がると、なぜかプリンターは全ページの印刷を終え、最終ページの上には、夢に出てきたタバコの箱のようなものが乗っかっていた。


  *


 結論から言えば、男は転職に成功し、所得も余暇も増えた。


「まさか、ホントに塾長が改心するとは思わなかったな。いや、講師全員に退職金を渡して塾を閉めたから、()塾長か。ハハッ」


 ほろ酔い気分の男の顔には、半年前には無かった生気がみなぎり、長押に掛けたハンガーには、真新しいスーツがある。

  

「新しい職場近くに広めの良い部屋が見付かったら、このアパートともおわかれだな。さらば、独身の日々よ!」


 そう言うと、男は電灯の紐を引き、明日の内見に備え、夜も早い日付変更前に布団へと潜り込んだ。


  *


 漢字の「幸」と「辛」は、たった横棒一画の違いでしか無い。

 男の夢に出た女は、本来ツライ目に遭うべき高慢不遜な族から、本来シアワセになるべき愚直朴訥の民に、一本の線を移動させたに過ぎないのである。

 すべての不遇な人間に幸あれ。

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