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#2女嫌いの武器職人

武器職人は頭の固い人が多いですが、使い手に尊敬を置いているひとも多いです。

そんな彼に依頼のための武器をお願いしにいきます。

 アリーナが吐息を漏らす様な声でつぶやいた。ファルクは言葉もなくその場を見つめている。

「イバラ?」


「ファルク!」

 玄関の呼び鈴に気がついて、アリーナが飛び出して来た。

「ちょっと早かったか?」

「ホイスは?」

 特に親しい間柄でなければ、アベルの事をミドルネームでは呼ばない。アリーナも名家の出なので、その辺は理解している。

「アイツには正午に塔の前って伝えたから。それに、あのぶっちょう面を長時間拝むのはいかがなもんかと思うしな。」

 冗談まじりにファルクは言うがアベルの事を心底信用しているんだなとアリーナはクスクス笑った。

「そんなこと!」

 玄関先の騒ぎを聞きつけたアリーナの両親が玄関まで出て来た。

「ファルク!久し振りじゃないか!」

「まぁ、本当に。話は聞いているわ。立派になって!」

 両親はファルクの話題のみに重点を置いてアベルの事には一切触れなかった。ファルクも昨日の事を思い出し何となく事の状況を理解して、それ以上の事は聞きも、いいもしなかった。

「すみません。もうすぐ時間なんで、またゆっくり。」

 ファルクが両親達との昔話に手を振ると、アリーナが後ろから来ていた。

「少し歩くけど、大丈夫よね?」

「知ってまっせ!お嬢さん。」

「もう!」

 自分よりも一回り以上身長の高いファルクの背をバシンと勢い良く叩いた。

 『試練の塔』はニコラス家の家の領地内にある山の山頂にある。山と言っても山頂までは歩いて二十分くらいの裏山の様なものであるが、山道という山道がないので、かなり山の道に慣れているものでない限りはかなりの重労働。

 二人は他愛のない会話を続けながら、山頂にたどり着くと我が目を疑った。

「なに?これ?」

 『試練の塔』以前様な様相ではなくなっていた。塔の周りには塔を護るかのようにイバラが塔を覆い尽くし、その行く手を阻んでいた。

 アリーナが自分の腰に携えていた打槍でイバラを切ろうとし、振り上げ叩き付けると槍の先端が粉々に砕け散った。

「え…?」

 我が目を疑うアリーナとファルクの真後ろから不機嫌な声が響く。

「昼間はその塔には入れんぞ?」

 二人が振り向くと、ファルク曰くぶっちょう面の男と、真紫の髪を携えた青年が立っていた。アベルとエンヴィルである。

「アベル!オセーよ!」

「悪かったな。こっちを説得するのに時間を食ってしまってな。」

 エンヴィルが居心地の悪そうな顔をしてアベルを見上げた。

「このイバラはヴァンパイア特融の結界です。無防備にやりやすい昼間はダイヤより硬いのです。そして決して燃えない。作戦を立て直して、明日武器を皆そろえて明日の夜に決行する方がいいですよ。」

「このイバラは、ヴァンパイアの砦だそうだ。彼らの根城に必ず植えるらしい。昼間は彼らの休息の時、それを狙われないように、昼間にはなによりも硬く燃えなく根城を護るんだそうだ。」

「ふうん。」

納得した様なしないようなため息をファルクが吐く。

「夜はヴァンパイアは活性してしまうのでは?

 アリーナがやっと口を開いた。

「ですから今日明日で武器をそろえるのです。」

「そう言えば、アンタは…」

 ファルクはエンヴィルの事を知っている、だからそこで言葉を切った。アリーナに告げる必要のない事実だから。

「以前お会いしました。エンヴィルです。エンヴィル・ノノリアン…あなたは初めましてですね。」

 エンヴィルは右手をアリーナに差し出した。彼女はひんやりしたエンヴィルの手を握りニコッと笑った。

「よろしく。」

 エンヴィルは刃先を失ったアリーナの槍を見た。

「この武器ではヴァンパイアとは戦えませんね。時間がありません。説明はここから離れてするのが得策です。」

 四人はイバラの砦を背に元来た道を戻っていった


                   

「さて。武器ですが…。」

 同士討ちなんか!と昨日アベルに言った手前、積極的に話をしずらいようだがアベルは特に気にしていなかった。

「彼らには生身の攻撃は通用しません。炎の魔法を武器に宿すしかないんです。」

 ファルクは何となく知っていたようで、ふんふんと頷いていた。アベルは表情を変えずにエンヴィルの話に耳を傾けていた。

 ダークハントの大概が低級のモンスターとその類いのものに対峙する事が多い。ヴァンパイア等、位の高いダーカー達とはほとんど剣を交える事はない。だから、アリーナは知らなかったようだ。


ファルクは自分の銃に込める弾は魔法を詰め込んだ法弾と呼ばれるものを使っている。だから多少の知識はあったようだ。

 アベルの剣は特注で作ったものなので法力を宿せるようにはなっていた。

「どんな武器を使えば?」

「武器に法力の結晶がはめ込めるようになっていなくてはダメです。」

「どこにあるんですか?」

「作るんですよ!彼が!」

 エンヴィルが酒場の隅っこの方で不機嫌に眉毛を傾けている少年に目をやった。

「エリック!ここへ!」

 彼はエリック・アイドライン

「…はい。」

 彼は女性が大の苦手、もちろん女性の為に武器を作るなんてもってのほか…

「え!オレが?嫌ですよ!女に武器なんか作るの!」

「エリック。仕事ですよ、えり好みしないでください。」

 エンヴィルが呆れてエリックを諭す。エンヴィルはエリックのいる店で武器の設計の仕事を普段は手伝っている。

「嫌ですよ!アベルさんのものならいざ知らず!」

「エリック、この人はなー…」

 ファルクが説明しようと口を開いたが、またもアリーナが静止した。

「ごめんなさい。あなたの仕事の邪魔をするみたいで…。ただ、私には助けたい人がいるの。家族なの。私に手を貸してくれない?おねがい…。」

 悲痛とも取れるアリーナの懇願にエリックが頭を掻いた。

「…やめろよ!わかったから!作るよ。だからその頭を上げてくれ!居心地が悪くなる!」

 最初から居心地なんてよくないだろう?とアベルがつぶやいたのにエリックが気がついた。

「アベルさん!」

「頼むぞエリック!」

 力強くそれだけ伝えた。エリックは踵を返して酒場の門をくぐった。

「それはそうと…結晶と弾丸はどうするんだ?この街の道具屋じゃ…」

 アベルの質問に今度はファルクが静止に入る。

「俺様に任しときな!いい店知ってんだ!」

 ドンと胸を叩いたファルクにアベルが不安を抱いたのは言うまでもない。自分は魔導具の類は使わないのでとんと知識がないがファルクのリボルバーの件もあるので一任することとした。

過去作品の加筆修正ですので、至らぬ文脈も多々ありますが。

各々のキャラクターの拝啓も今後きちんとやっていきますので楽しんでくださいね。

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