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第8話 オーシャンVSトラッシュ

 俺とトラッシュ、ヤマネコは、オーシャンの健康診断を受けていた。

 検便は、食事前という事で無しになり、俺達は献血だけをする。

 血が抜かれて、ちょっと痛かった。


「ふう、そろそろ食事の時間ですね!

 実は、シェフを呼んで美味しい物を用意して貰っています。

 オーシャンさんの口に合えばいいのですが……」


「ちょっと待ちな!

 まずは、ヤマネコの食事が先だろう。

 この子がお腹一杯になれば、宝石排出は早まるはず……」


「そうですね。

 では、マウンテン(ヤマネコの名前)の食事を先にさせましょう!

 死んだネズミやら、お肉なんかですけど……」


「意外と豪華な物を食べているのね。

 やはり人間の手になれているとはいえ、肉食獣か!

 まあ、可愛いんだけど……」


 トラッシュがネズミの死体を差し出すと、ヤマネコは猫パンチをしてエサを落とす。

 一瞬、トラッシュの表情が冷たくなるのを感じた。

 まさか、俺がやったプレゼントでトラッシュが傷付いたのだろうか?


「酷い、痛い……」


「トラッシュ、大丈夫か?」


 俺は、トラッシュに身を心配して、彼女が被っていたフードを外す。

 彼女は、全身長いローブのようなフードを被っており、手先さえも容易には分からなかった。


「ふええええええ、なんで脱がすの?」


「いや、怪我がないかと……。

 それと、素顔が見たかったから……」


 俺がフードを脱がすと、アビス姫と瓜二つの顔が姿を現した。

 顔が赤くなっており、可愛く見える。


 胸もどさくさに紛れて触ってみるが、少し固くごわごわしていた。

 オーシャンのような柔らかさは、残念ながら無い。


「怪我が無いけど、やはり胸も無いな……。

 オーシャンさんのようなふっくらとしたオッパイと呼ばれるものはないのか?」


「それは、仕方ないよ……。

 身体的な違いもあるし、ホルモンバランスも悪いから……。

 オーシャンさんと比べられたら、双子の姉でも敗北するよ……」


「そうか……。

 でも、可愛くて嬉しいよ!」


 俺とトラッシュの会話を聞いて、オーシャンは疑問に思う。

 初めて見た時から、トラッシュには違和感があったようだ。


「トラッシュは、なぜそんなフード付きのローブを被っているんだ?

 いくら人工太陽の紫外線を避けているとしても、過剰すぎるぞ。

 調整機能によって、人体にとって無害に近い環境だと思うが……」


「私は、実は、ホルモンの異常によって、子供を産めない体なのです。

 生まれつき卵巣が作られず、体格も男らしいのですよ。

 その為、極力肌を露出しない服を着ているのです」


「ふーん、そういう意味でのトラッシュは初めて聞いたね。

 通常は、足や目が不自由で除け者にされている奴らはいるけど……。

 不妊でも、五体満足なら結婚くらいできるんじゃないのかい?」


「姉が厳しい人で、トラッシュと呼ばれる不具の者を嫌っているのです。

 私はその筆頭で、殺されないまでも自由は制限されているのです。

 スカイとの結婚も、ほぼ不可能に近い状況です」


「ふーん、姉は相当嫌な奴のようだね。

 まあ、私の子供を養子にするという手もあるし、そこまで悲観的になる必要もないよ!」


「ありがとうございます!」


「ふふ、それよりも、ヤマネコって食事シーンはグロいんだね。

 ネズミの骨を砕きながら食っているよ。

 ちょっとトラウマになりそう……」


「ええ、私も生きたネズミをあげるのは怖いので、殺してあげてます。

 まあ、これが怖いならヤマネコは飼えませんよ。

 数週間すれば慣れると思います!」


「あんたは良く平気なんだい?

 今日初めて見たんだろう?」


「あ、似たようなペットを飼っていたような事があって……」


「ふーん」


「それよりも、私たちも食事にしましょう!

 新鮮な野菜と肉を使った料理です!

 特別ゲストとしてお迎えしますよ!」


 トラッシュは、俺達を食堂へと案内する。

 今日の料理は、お好み焼きという物だった。

 鉄板に具材が並べられ、的確な時間で焼き上げられていく。


「この料理、卵と肉と野菜と小麦粉とダシによって完成する日本料理という物です。

 日本とは、地球の中にある島国らしいです。

 実は、私は日本出身で肌の色は白色ですが、髪の色は黒色なのです!」


「へえ、こういうロリっ子が多い地域なんだね。

 私は、地球の中でもグラマーな人が多い地域だったらしくて、オッパイやお尻が大きい方なんだよ!」


「くっ、羨ましい……」


「羨ましいのは、こっちだよ!

 オッパイなんて、大きいと肩も凝りやすいからね。

 運動後は、苦痛で仕方ないよ!」


 オーシャンとトラッシュは、お互いに露出し始めていた。

 どうやらこの星での数少ない女子なだけに、張り合っているようだ。

 俺にとっては夢のような光景が広げられつつある。


 オーシャンは、上着を脱ぎ捨て、ブラジャーと呼ばれる下着姿のみで食事をとり始めていた。

 確かに、空調は『スィネフォ』地区の方が圧倒的に涼しい。


スィネフォ』地区に慣れた者ならば、『王宮ロイヤルガーデン』での生活は暑いだろう。

 しかし、だからといって下着姿は、俺に物凄い興奮を抱かせていた。


「ふふん、この星では滅多に見られない完璧なプロポーションの体だよ!

 どうだい、男子のみならず、女子でさえ鼻血ものの興奮だろう?」


「ぶっ、バカな……。

 今まで怪我すら負ったことのない俺が、傷付けられるとは……」


 俺の鼻から、わずかだが血が流れ始めていた。

 小さい頃は、鼻血も流していた時はあるが、成長してからはほとんどない。

 久々の感覚に俺は戸惑っていた。


「くっ、卑怯ですよ!

 私では、そこまでのプロポーションは無いというのに……」


「ふふん、そこまで言うならば、あんたも脱げば良いだろう?

 もっとも、私に勝てる自信があるならの話だけどね!

 スカイの目は、私の格好に釘付け、こりゃあ勝負あったね!」


 トラッシュは、上着を脱いで入るが、上も下も下着姿は露出していなかった。

 未だに、ちょっと大きめの服を着て、体のラインを出さないようにしていた。


 俺としては、トラッシュの下着姿も見たかったが、確実にオーシャンよりは全体的に小さめだろう。


 そう思っていると、トラッシュは俺を見つめてこう言い出した。

 どうやら俺を見て、必殺の衣装を着る準備ができたらしい。


「分かりました!

 あなたが自分のスタイルで勝負するというのなら、私は私の幼い格好を使って勝負します!


 しばらくお待ちください。

 私に合った必殺の衣装で、スカイを悩殺させてあげます!

 オーシャンさんには、絶対に負けない!」


「くっくっく、こりゃあ楽しみだね!

 王女様は、どんな格好をして着てくれるのかな?」


「お姉様より頂いた衣装です。

 奴隷には最適の衣装とかいって貰ったものですが、意外と可愛くて気に入ってます。

 その必殺の衣装で勝負です!」


 オーシャンの意地悪な言葉を尻目にして、トラッシュは衣装部屋に入っていった。

 どうやらそこに彼女の衣装が大量に保管されているらしい。

 5分ほどかけて、彼女は自分の衣装を変えてきた。


「お帰りなさいませ、ご主人様!」


 トラッシュは、そう言って食堂に入ってくる。

 明らかに自分が入ってきたにも関わらず、俺の方を向いてそう言った。

 そんな細かい事はどうでも良くなるくらいに可愛い衣装だった。


 頭に白いフリルの飾りを被り、袖口とえりにもフリルがふんだんにあしらっていた。

 それでいて、高貴な気品を感じさせ、俺に精一杯仕えようという素晴らしい精神が現れていた。


 膝丈まである長い紺色スカートは、くるりと彼女自身が回るとふわっと華麗にめくれ上がっていた。


 靴や靴下にも油断している事はなく、まさに彼女自身が中世のアンティークになったような完璧さを誇っている。


 献身的なトラッシュの性格がマッチして、俺を萌えさせ始めていた。

 胸の内側が熱くなり、俺は思わず胸を押さえてしまうほどだ!


「凄く可愛いよ、トラッシュ!」


「ふふ、ありがとうございます!」


 トラッシュが俺にお礼を言っていると、オーシャンが彼女に向けて何かを投げ付けてきた。

 彼女は、反射的にそれを受け止める。


「これは、お好み焼きソース!?」


「ふん、中々可愛いじゃないか!

 なら、このお好み焼きに魔法をかけられるはずだろう?

 それが出来てこそ、一流のメイドと言える!」


「ふん、その挑戦受けましょう!

 では、スカイのお好み焼きに魔法をおかけしますわ!

 審査員は、スカイという事で問題ありませんか?」


「まあ、仕方ないね。

 お手並み拝見といこうか?」


 トラッシュは、色っぽい仕草で俺に近付いてきた。

 いったいどんな風に魔法をかけるのだろうか?

 俺は、心臓がドキドキしながら彼女の姿を目に焼き付けていた。

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