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第6話 オーシャンとトラッシュの会合

 俺達は、空賊『蜘蛛アラーネア』の下っ端を捉えていた。

 俺は手加減していたので殺してはいないが、オーシャンは遠距離からの狙撃の為に定かではない。


 一応、捉えると共に怪我した箇所も確認する。

 どうやら致命傷は避けられているようで、全員無事だった。

 血が派手に飛び散り、初めて見る俺に衝撃を与えさせていた。


「ふふ、私が殺したと思っていたのかい?

 入念に一人一人体の怪我を調べていたようだが……」


 縛って一人一人を運ぶ俺に、オーシャンが飛行艇の上からそう問いかけて来た。

 手には、彼女の愛銃である狙撃専用の長い銃を持っている。

 銃をあまり扱ったことの無い俺には、カッコ良く感じる。


「ああ、戦闘訓練は受けているが、さすがに流血した人間を見るのは初めてでな。

 ちょっと衝撃的だっただけさ……」


「ふん、大方、私が奴らを殺したと思っていたのだろう?

 隠さなくても良いよ!

 でも、私の狙撃技術は相当高くてね。


 動く的でも当てる百発百中の腕を持っているのさ!

スィネフォ』地区で生活するには、特殊な技術が必要でね。

 戦闘や強盗なんか当たり前の出来事だよ!


 まあ、あんたの上司もその危険を知っているから、あんたみたいな強い奴を成長させているんだろうけどね。


 あの戦闘でも、冷静かつ的確な判断は凄いと思ったよ。

 ビギナーズラックってやつかな?」


 俺は、ゴーグルに手をやる。

 俺の頭の上には、常にゴーグルが装備されていたのだ。


 このゴーグルを装着していれば、どんな時でも冷静に困難に立ち向かう事ができるのだ。


「いや、このゴーグルのおかげさ!

 俺自身は、気弱で緊張するタチだが、このゴーグルを付けていると緊張も焦りもないんだ。


 このゴーグルは、これから紹介しようと思っていた女の子がくれた物でね。

 俺の宝物と言える!

 これが無ければ、俺は空を飛ぶ事さえできない!」


「ふーん、高価そうなゴーグルだけど、あんたにとっては最高のお宝ってわけだ!

 私の宝石と同じだね。

 もっとも、私の宝石は、ヤマネコの腹の中だけど……」


「え、そんな貴重な物だったのか?

 すまない、必ず綺麗にして返すから……」


「いやー、実は、私が生まれた時に近くにあった物らしい。

スィネフォ』地区では珍しい事でもないが、親が事故で死んだらしくてね。


 私が物心ついた時には、すでに生きているのか死んでいるのかすら分からない状況だったよ。


 もしかしたら、生活が出来なくて私を捨てたのかもしれない。

 でも、あの宝石が私と両親を繋ぐ物だったようだ。


 アレがあると、自分が生まれて来ても良かったと思える時があって、安心するんだ。

 まあ、気休めみたいなものだけどね!」


「どうやらオーシャンさんは、俺よりもずっと過酷な世界を生きて来たようだね。

 凄く尊敬します!」


「いや、『スィネフォ』地区がちょっと過激というだけさ!

 郵便配達員ならば、そのうちもっと過酷な状況にもなるかも知れないよ!

 油断せず、訓練を怠らない事だね!」


「肝に命じておきます!」


 俺達は、縛った空賊を捕らえて飛行艇に積み込んだ。

 少し重量が重くなったが、飛行に問題はない。

 後は、空賊が張った鉄製のワイヤー網を突破するだけなのだが……。


「ビルの所有者には連絡が取れる。

 4人に状況を確認して貰えば、明日には網も無くなるだろう。


 私達は、奴らが作った逃げ道から脱出すれば良い。

 あいつらが開けた穴から通過するだけなら、大した問題ではあるまい!」


「凄い!

 無線だけでビルの所有者4人と連絡を取れるなんて……。

 本当に凄い人なんですね、オーシャンさんって……」


「いや、偶然知っていただけだよ!

 以前このビルに盗みに入った時に……。

 ゴッホ、ビルの所有者と友人だったというだけさ!」


 俺達は、先にビルの所有者と連絡を取り、その後に警察へ移動する。

 オーシャンさんがビル所有者と連絡を取ってくれたので、俺は犯人を刑務所まで連行していた。


 人数は多く、ちょっと抵抗されたが、なんとか1時間ほどで処理する事ができた。

 後日、俺とオーシャンさんが表彰されるという。


 警察自体は、数人いるが『スィネフォ』地区までは捜査や管理の手が及んでいない。


 俺のような郵便配達員が戦闘訓練をして、臨機応変に対応するしかない。

 空賊などの犯人を捕まえた場合には、金一封が出るという。


スィネフォ』地区の警察官は、俺達郵便配達員であると言っても過言ではない。

 郵便配達ができる所だけは、犯人逮捕も捜査もできるのだ。


「ありがとうございました!

 またのご利用をお持ちしております!」


 俺は、警察署を出て、オーシャンさんと落ち合う。

 トラッシュがいる『王宮ロイヤルガーデン』で合流する事にした。


 警察署に服役している犯人は別の農場で労働されているが、一般の人は『王宮ロイヤルガーデン』で作業している。


 女の子は、トラッシュ1人なので、女の子に会いたいと言えば、すぐに彼女の元に案内してくれるのだ。


 こうして、俺は、オーシャンとトラッシュを会わせる事に成功した。

 俺が『王宮ロイヤルガーデン』に辿りついた時には、オーシャンとトラッシュが話をし始めていた。

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