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第5話 VS空賊団

 俺は、オーシャンの助けと案内によって、かなり早めに運送作業を終了していた。

スィネフォ』地区での危険な箇所や、飛行艇の隠れた機能なども知る事ができた。


「よし、これで『スィネフォ』地区の作業は全て完了した。

 ありがとうございます、オーシャンさん。

 惚れ惚れするような見事な配達テクニックでした!」


「ははは、良いよ。

 それより、今日の1日で随分と『スィネフォ』地区の事を知れたんじゃないのかい?


 ビルとビルとの間は、排水管で繋がっている。

 植物ならば、根っこによって支えられているので、移動手段になり得る。

 飛行艇を停める場所は、指定されたところに停めて、無謀な挑戦はしない。


 ここ『スィネフォ』地区で生き残るのに重要な事だ。

 建物のひび割れなど、危険を感じたら絶対に近寄らない。

 こういう基本を遵守するのが生き残るのに必要なんだ」


「今日1日で、俺、大人になった気がします!

スィネフォ』地区で初めての女性がオーシャンさんで嬉しいです!」


「うーん、引っかかる言い方するけど、まあ良いか。

 それよりも、私も『島(二スィ)』地区に興味があるんだ。

 あんまり行った経験がないから、案内してよ!」


「じゃあ、俺と一緒に『島(二スィ)』に行きましょう!

 そこで、俺の知り合いを紹介しますよ?」


「配達業のウザい男共はごめんだね。

 せめて、可愛い女の子とかが知りたいよ!

スィネフォ』地区でも、女性は貴重な存在だからね。


 すれ違うだけでも、20人くらいしか会った事がないよ。

 それが『島(二スィ)』の女性なら、相当貴重で優遇されているだろう。

 持っている物とかも、高価な物だろうからね!」


「え、持ち物に興味があるんですか?」


「いや、オシャレな衣装とかが好きなんだよ!

 ほら、こんなに宝石を持っていても、価値がわかる人じゃないと虚しいだけだしさ……」


「そうか……、ならトラッシュならもしかしたら……。

 彼女、子供さえ産める体なら王族だったらしいし……。

 少しは、そういう知識があるのかも……」


 俺は、そう言ってオーシャンとトラッシュを会わせる事にした。

 俺は、トラッシュ自身に子供を産んで欲しいと願うが、卵巣を代用する場合や養子とする場合でもオーシャンの存在は重要だった。


 最悪、俺と他の女性が結婚して、トラッシュとの約束を果たさなければならない。

 オーシャンは、この星の中ではかなりの確率で俺と付き合う可能性も高い。


 彼女は、女性としては魅力的で、俺よりも精神的にも、身体的にも上のように感じられた。


 おそらく20代前半といったところだろう。

 髪の色は、茶髪のセミロングで、胸はEカップほどの大きさらしい。

 俺は、オーシャンの体を見ては、触れてみたいという衝動に陥っていた。


 確かに、俺はトラッシュの事が好きだ!

 それでも、トラッシュの身体的な特徴は、あまり見た事がない。

 初めて見る女性らしい女性だけに、ちょっと興奮し始めていた。


 ちなみに、アビス姫は、女性的に可愛い顔と女性らしいバストはしているが、高圧的で威圧感があって、同年代の女性としては見られなかった。

 グイグイと押して来るタイプは、俺に危機感を感じさせる。


(アビス姫とオーシャンの態度は似ているが、やはり優しさが違うように感じられる。


 アビス姫は、強引に求婚を迫って来るのに対して、オーシャンさんは俺を引っ張って行ってくれる感じだ。


 それは、トラッシュにも感じられる。

 好感度的には、トラッシュ、オーシャン、アビス姫といった感じだ!

 まあ、俺にえりごみする余裕もないが……)


 俺とオーシャンは、『スィネフォ』地区を出て、『島(二スィ)』地区に行こうとしていた。


 俺達が『スィネフォ』地区の境界を越える寸前、突然に大きな飛行艇が姿を現した。


 俺達より3倍以上は巨大な飛行艇を前に、俺は圧倒されていた。

 どうやら俺達は、空賊出没の危険地区を掠めてしまったらしい。


 不運にも巨大な飛行艇を持った空賊が上空を飛行しており、俺達を追跡して来ていた。


「ちい、まさか空母を確保した空賊『蜘蛛アラーネア』に出会うとは……。

 今日は、運が無かったみたいだね!

 荷物が無い以上、飛行艇を奪われてしまうかも……」


 オーシャンは、無線で俺にそう連絡をする。

 俺とオーシャンは、常に無線の通信をできるようにしていた。

 彼女の呟きのような言葉が、俺の耳に届く。


「そんなに、ヤバイ状況なんですか?

 戦わなくても、逃げるだけなら可能なのでは……」


「少し前に発見できていればね……。

 でも、ここまで近付かれては、逃げ切るのは不可能だ!

 完全に奴らの射程距離内に入っているよ!」


 オーシャンがそう語っていると、敵の飛行艇から巨大な槍が発射された。

 その槍には、巨大なワイヤーが取り付けられており、ビルの壁に槍を差し込んで行く。

 4方向に巨大なワイヤーが撃ち込まれていた。


「なんだ、これは?」


 俺が見ていると、巨大飛行艇から網のような物がワイヤーを伝って広げられて行く。

 網状のワイヤーに絡みとられて仕舞えば、飛行能力が無くなって上空に引き摺り込まれてしまう。


「巨大なワイヤー製の網で、私達の飛行艇を取り囲んで撃ち落とすんだ。

 この飛行艇が空に引きずる込まれても捕獲できるほどの強力な網だ。

 これが、奴らが『蜘蛛アラーネア』と呼ばれる所以だ。


 ゆっくりと網が広げられて、一見逃げられるように見えるが、特殊な電磁波によって網状のワイヤーと私達の飛行艇を引き寄せるようにするんだ。

 撃ち込まれたワイヤーの範囲内にいる物は、まず逃げる事ができない。


 しかも、網状のワイヤーは、かなりの強度があって強引に突破も不可能だ。

 まあ、捕まっても飛行艇が盗られるだけで、命までは盗らないだろう。

 女の私は、どうなるのかは分からないがね……」


 俺が飛行艇を見ていると、撃墜できそうな大砲も発見できた。

 おそらく飛行艇で反撃しようとすれば、間違いなく敵の主砲で撃墜される事だろう。


 撃墜しても、上空に引き摺り込まれる事なく、所持品や飛行艇を奪えるのが強みらしい。


 つまり、飛行艇による戦闘では、圧倒的にこっちが不利だった。

 設備も武装も奴らの方が一枚も二枚も上だ。


「仕方ない。

 下手に反撃して撃墜されてもつまらん。


 一旦、網の上に不時着と行こう。

 強度的には問題ないはずだよな?」


「ああ、そうだ。

 スカイ、まさか白兵戦を仕掛ける気じゃ無いだろうな?

 相手の人数が分かっているのか?


 少なくとも、10人は飛行艇に潜んでいるぞ。

 それに、網があって足場はあるとはいえ、動きが不安定になるはずだ。

 圧倒的に、こっちが不利だよ?」


「俺が先に仕掛ける。

 オーシャンは、銃で応戦を頼む!

 このまま、むざむざと捕まりたくは無いだろう?」


「やれやれ、自信有りか!

 少しは手伝ってやるよ!

 まあ、勝てないと悟ったら投降するけど……」


「ああ、それで良いぜ!」


 俺達は、飛行艇を不時着させて、敵が現れるのを待つ。

 オーシャンは、飛行艇から援護射撃をする為に、銃を構えて待つ。

 しばらくすると、飛行艇から数人の男達が姿を現していた。


 ゆっくりと網を伝って、俺達に近づき、武器を使って投降させるのが目的のようだ。

 銃やら棍棒を持って武装しているが、俺の敵では無い動きだ。

 俺は、郵便配達員として戦闘訓練を施されていた。


 俺は、ナイフを片手に大軍へ向かって行く。

 10人以上いるが、足場の不安定な戦闘により四苦八苦していた。

 俺は、絶妙なボディーバランスによって、彼らより数段早く動ける。


「なんだ、こいつ……。

 不安定な足場なのに、地上で走っているような動きだ。

 くっそ、銃で射殺しろ!」


 空賊は、俺に向かって銃を撃ってくるが当たらない。

 足場の悪い所からの狙撃で、ワンテンポ遅れて発射される。

 俺は、相手の死角をついて攻撃していた。


 ナイフの柄を使い、3人ほど気絶させる。

 すると、空賊は俺を取り囲むように包囲していた。

 いくら俺でも、多方向から攻撃されれば隙ができる。


「捕まえた!

 棍棒で殴り付けろ!」


 俺は、倒したと思った敵に足を取られて動きが鈍る。

 そこを、背後から来た敵に棍棒で攻撃されそうになっていた。

 咄嗟にナイフでガードしようとするが、さすがに敵うはずもない。


「大人しくしろ!」


 俺は、棍棒を持った敵が視界に入って、死を覚悟した。

 いくらナイフでガードしても、棍棒で弾き飛ばされる事だろう。

 棍棒が俺に当たる瞬間、相手の棍棒を握る手が緩んだ。


 俺は、一瞬の判断で、棍棒を手で掴んで投げ捨てる。

 棍棒による攻撃力は、全くと言って良いほど無くなっていた。

 俺が素手で掴んでも、キャッチできる程度の威力だ。


「あれ?」


 俺が不思議に思って相手を見ると、手の甲に血を流しているのに気が付いた。

 なんと、オーシャンが数メートルも離れた先からピンポイントで狙撃していたのだ。

 相手は、痛みによって怪我に気付いていた。


「バカな、あの位置から狙撃したというのか?」


 驚いて振り返ったところを容赦なく奪った棍棒で殴る。

 柄の部分なので威力は低いが、気絶させるには十分だった。

 俺の足を掴んでいた奴も、棍棒で容赦なくボコる。


「このお!」


 ちょっと離れた所から射撃して来た奴がいたが、俺が棍棒をぶん投げて気絶させた。

 それ以外にも数人いたが、オーシャンの見事な射撃技術によって倒されていた。

 外に出て来た敵が全滅して、巨大な飛行艇が逃げ腰になっていた。


「ぶっは、なんだ?」


 空賊の飛行艇から大量の煙が出始めていた。

 どうやら煙幕を張って逃げ切るらしい。

 俺は、息を止めて煙の外へ逃げる。


「どうやら、逃げられたみたいだな……」


 俺が煙から逃れると、すでに巨大な飛行艇は仲間を見捨てて逃げていた。

 網の一部を破壊して、巨大な飛行艇を脱出させる。

 おそらく俺と戦闘になるのはヤバイと判断したのだろう。


 俺が気付いた時には、すでに網の外へ出ようとしていた。

 どうやら特殊なカッターによって、強力な網状のワイヤーでも切断できるらしい。

 俺とオーシャンは、空賊を追う事はしなかった。


 わざわざ敵の罠があるかもしれないエリアに行くのは危険だ。

 奴らの仲間を捉えて、俺の飛行艇に運ぶ。

 後で、彼ら10人ちょいを『島(二スィ)』の警察に引き渡す事にした。

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