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鍵の音

作者: 藤宮詩織

ある日の体験談を元にしたお話です

ある日のこと。

両親は飲み会で少なくとも11時までは帰らないと言って家を出ており、弟はすぐ近くの友人の家に泊まりに行っており、私は久しぶりの一人での留守番に、「好きなことが好きなだけできる!」と浮かれていました。

奇しくも翌日は学校も予定もなく、夜更かししても何の問題もなかったからです。

ですから、私は好きな歌をいつもの癖で片耳イヤホンで聞きながら(普段は親が様子を見に来ることもあるのでそれに気づけるように片耳のみイヤホンをしていました)、少し前に買ったっきり、忙しくて読むことができていなかった本を嬉々として読んでいたのです。


そういう風にして、暫く読書を楽しんでいると、不意に、【ガチャッ】と鍵の開くような音がしました。

そのときの時間はまだ18時位でしたので、弟が忘れ物でも取りに帰ったのかと特に気にしませんでしたが、いつまでたっても何の物音もしません。

声をかけないことですら滅多に無いのに、二階に上がってくる音も、一階で動いている音も、それどころかドアを開ける音すらせず、不思議に思って玄関まで行ってみると、鍵は確かに空いていたのですが、誰かが帰ってきた形跡もありません。

不思議に思いつつも、音は気のせい、鍵は両親が掛け忘れたのだろうと思い、私は鍵を閉めて再び自室に戻りました。



暫くして。

再び、【ガチャッ】と音がしました。

今度はドアの開く音もしたため、今度こそ弟が忘れ物でも取りに帰ったのだろうと思い、手伝ってやろう、などと上から目線な事を考えながら部屋を出ようとしました。



…しかし、階段を上る足音に、違和感を覚えました。

弟なら、【ダダダダダッ】と駆け上がってきます。

もし両親だとしても、母は【トンットンットンッ】と軽快に登ってきますし、父の足音は、もっと重みのある、【トギシットギシッ】と言った足音なのです。

それなのに、聞こえる足音は酷くゆっくりで、重みを感じさせない足音でした。

〈泥棒〉そんな単語が頭を過ぎり、私は部屋のドアに寄りかかり、すぐ目の前の壁に足を突っ張り、ドアが開かないようにしました。

とにかく、鉢合わせをしたく無い、その一心でジッと息を潜め、ギュウッと体に力を込めていました。



ついに、足音は階段を登りきり、突き当たり、私の部屋のドアの前まで近づいて来ました。

そして、足音はピタリと止まり…




ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!



恐ろしいほどの勢いで私の部屋のドアを叩きました。

そして、暫くすると、その音は始まりと同様に突然ピタリと止んだのです。

私は恐怖のあまり暫く動くことができませんでした。

ようやく動けるようになり、恐る恐る部屋の外を覗いてみると…



そこには、明らかに家族の誰よりも長い黒髪が数本、落ちていたのでした。

その後、その髪を家の外に捨て、塩を振りかけ、本で得た知識で簡単な九字を唱えたことが功を成したのか、特に変わったことは起こっていません。

あれは一体何だったのでしょうか…


感想でどこまでが本当かはいらないとの意見を頂いたので、消去しました

本文は全く弄ってません(2016.8.9)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 擬音表現が楽しいお話です(ホラーなのに?!) 特に人によって階段を上る音が異なるさまは、感性の豊かさがうかがえます 文字のみで表現する小説の場において、音で恐怖を演出するという試みを用い…
2016/08/09 08:51 退会済み
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