短編 ちびっ子カルテット~巻き込まれた凡人~《エピローグ》
短めになりますが、これでちびっ子カルテットは終了となります。
もしかしたら他に考えてた短編も投稿するかもしれませんが、ひとまず次章の予告を後書きに載せておきます。
「──まあ、こんな事があった訳です」
「「おお……」」
魔科の国で起きた事件。さすがに《デミウル》やカラミティ関連は言わずに、新聞に載っていた物を細かく伝えた。
書面での情報よりは現実味があったのだろう。二人は食事の手を止めて、俺の話に聞き入っていた。
少し恥ずかしくなって、誤魔化すように果実水を呷る。
「いやはや、お主も中々に苦労しとるのぅ」
「それなりには、ですけどね。なんとか五体満足で帰って来れてよかったですよ」
「すごいなぁ、お兄さん……」
「我ながら頑張った方だとは思うよ。あんな大怪我しないように驕らず実力を付けていかないとね──って、そうだ」
ポン、と手を叩いて。
水色の髪を揺らし、こちらを見上げるレインちゃんに目線を合わせる。
首から下げた細長い袋を指差して。
「向こうでアクセサリーの本格的な作り方を学んできたから、ソレを使う日が来るかも」
「っ! 本当ですか!?」
「ああ。後でミュウちゃんにも伝えておいてくれる?」
レインちゃんは瞳を輝かせて笑顔を浮かべ、元気よく頷いた。
実は血仙花の件が終わった後に二人と話す機会があり、そこでフェネスの尾羽について相談されたのだ。
空に架かる虹を凝縮したような、鮮やかな彩りの羽根。
不思議な縁の証で、大切な物ではあるが袋に詰めたままでは窮屈。だからいつもフェネスと一緒にいると思えるような、そんな装身具を作れないか、と。以前に見せたペンダントの事を覚えていたからこその頼みだった。
しかしこちらは中学授業で習ったビーズアクセと編み物しか作れない凡人。尾羽の魅力を壊さず、際立たせるような装身具はまだ作れない。
そこで《装飾細工師》として自信と能力が付いたら、その時に改めて作成すると約束を交わした。
そして子ども達との《ディスカード》探検で出会ったルシアによって、ある程度の構想は浮かんできたので。時間がある時にでも作ってみようと思ったのだ。
「それじゃあ、そろそろ別の所に行きます。料理はまだまだたくさんありますから、存分に食べてってください」
喜色満面のレインちゃんと孫の笑顔にほっこりしてる親方。二人に手を振ってその場を離れ、他のグループの方に向かう。
誰にも言えない、けれど確かに成し遂げた五人の冒険は。
手に入れた成果も出会った縁も、全てが宝物だったあの日は今も、記憶の底に根付いている。
今よりもっと成長して、いつかあの日のような冒険が出来るように。
やるべき事は山ほどあるが、一つ一つじっくりとやっていこう。
中間テストを乗り越え、アカツキ荘で共に暮らし学園生活にも慣れ始めたセリス達。
しかし借金が無くなった訳ではない。返済の為に躍動するクロトだったが、そんな彼は学園長からとある依頼を受ける。
それは近くに開催される納涼祭──学園祭のような行事において、最高の企画を披露するという物。曖昧かつ大雑把な依頼だが、特待生として完遂しなくてはいけない。
七組を先導し、準備を始めるクロト。その背後に忍び寄るいくつもの影。
ニルヴァーナを舞台に引き起こされる、かつての因縁がもたらす災いを前に。
彼は何を想い、そして行動するのか。
「他人にどう言われようと関係ない。俺は、俺の道を進むだけだ……ッ!」
過去の戒めを引きずってでも、信じたモノの為に足掻け。
次章 納涼祭
乞うご期待!




