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自称平凡少年の異世界学園生活  作者: 木島綾太
【四ノ章】借金生活、再び
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第五十四話 ロマンは大事と存じます

グリモワール遠征を乗り越えた、彼らの強化イベントです。

 快晴な空の下。学園の中央部にある広い校庭の中心で。

 身体の怪我も完治したので、リハビリを目的に。

 エリック、カグヤと共に受けた戦闘科の授業で組手をしながら、ユキの状態と含めて共同生活の件を伝える。


「……なるほどな。そりゃ、気づかねぇ訳だぜっ」

「専門家の知識じゃないと、簡単には気づけ、ないよね」

「だな。んで、二人だけじゃ不安だから、俺も暮らさないか、ってかよ!」


 ぶつかり合う殴打と蹴りの応酬からわずかに距離を取る。

 間合いに踏み込み掬い上げるような拳を受け流し、(さら)された胴体に掌底(しょうてい)を入れるが寸前で防がれる。

 あぶねっ、と呟いたエリックの両腕を絡め取って。後ろに体重を掛けて転がり、巴投げ。


「綺麗に決まりましたね」

「だあっ!?」


 観戦していたカグヤから称賛の声を頂く。

 背中を(したた)かに打ちつけて、呻くエリックに手を伸ばす。


「さっきのアッパーは右でやるべきだったね。左じゃ背後を半身も晒すし、そうでなくてもすぐに引き戻して、前面を相手に向けないと」

「次の対応に遅れちまう、だろ? でも、どうしても一発入れたい欲が出ちまってな」


 手を取って立ち上がりタオルで汗を拭きつつ、エリックは自制できない行動を反省している。

 戦闘科の授業では彼と組む機会が多い。初めの頃に血液魔法の剣を破壊されて以降、武器を手放した事態を想定した特訓と称してこうして拳を交わしている。

 他の武器に慣れるより、素手での立ち回りを様々な動きに転用した方が戦術の幅が広がるからだ。


 これまでの経験上、長物を扱う点で恵まれた体格の彼に素早い動きは不得手である。しかしいくら打撃を与えても防ぐし、足の裏から根でも張ってるのかというレベルで動かない。

 浮かせればどうにかなるとはいえ、練武術の技を仕掛けてダメージを通して(あと)ずさりもしなかった時はビビった。大剣やスキル込みの状態でもハチャメチャに(かた)いのにお前は山か。

 故に自分から仕掛けるよりは、相手の出方を待った方がいい。


 狙いに行くのではなく、狙いを待つ。耐えて、耐えて……近づいてきた瞬間に会心の一撃を打つ──タイミングの見極め方は教えているし、既にエリックは物にしている。

 ただ、仕方ないとはいえ普段から守りに行くという動きを頻繁(ひんぱん)にしているせいか、攻めの意識もそっちに引っ張られてしまうようだ。

 性格や癖が原因の根幹だから矯正するのが難しいんだよなぁ。


「渾身の一発をぶち込むならカウンターか、小技で隙を作らせてそこを突くか。後者はともかく、前者の方がエリックには合ってると思うけどな」

「有無を言わさず速攻か、認識外から一瞬で刈り取ってくる奴に言われたくねぇ……」

「先手を取られたら相手の流れに持ってかれるし、最善ではあるよ」


 ドン引きしているエリックを尻目に周りを見渡す。

 今回の戦闘科の担当教師は爺ちゃん先生ではないので、各生徒は誘った相手と組手をするか、木製の武器を使って戦闘の訓練をしていた。

 七組の生徒は俺達以外にもいてセリスは別のグループと一緒に行動している。

 授業は一緒に受けているが、いつもの面子で集まっていては交友関係が広がらない。独自の交流を築いて学園生活を賑やかにしていってほしいものだ。


 ……それにしても、俺が槍を使う時の立ち回りを軽く実践して、教えただけなのに多人数の連携を捌き切ってるな。

 槍の石突きで相手の足を押さえつけ、動きを制限させて蹴り抜く。

 よろめいた隙に柄を短く持ち替えて穂先で手を叩き、武器を落として長い方で背後からの攻撃を払う。


 時に短剣のように、時に棒のように。

 柔軟に使ってみようとは言ってみたものの、まともに武器を握った経験が無い彼女の急成長ぶりには目を見張る。

 短時間であの練度って病弱な時期が無ければエリックですら勝てなかったのでは?

 遅めの成長期かなぁ、と視線を外して。先に休んでいたカグヤの隣に座って荷物から水筒を取り出す。


「それで、シェアハウスについてどう思う?」

「いいぜ。先生が話を通してくれるなら退寮手続きに時間は掛からねぇだろうし、相部屋でそんなに荷物は置いてねぇから今日中にでも行けるぞ」


 渡した水筒を傾けて喉を潤しながら、エリックは快諾してくれた。


「つーか、事情知ってる面子で住んでも良さそうだけどな。負担はあるかもしれんが、分担すればいいし」

「あと数人は入っても余裕はあるからなぁ。でも、年頃の男女が一つ屋根の下はダメでしょ」

「あー、言われてみりゃそうか。セリスを基準に考えてたが、カグヤも一緒になるもんな」

「私は気にしませんよ? むしろ楽しそうでワクワクします」

「「俺達は気にするよ」」


 両手を前に目を輝かせるカグヤに対して、意見が合致した。

 エリックの提案も一理あるとはいえ、年頃の学生のみでの生活が軋轢(あつれき)を生まないとは言えないからな。


「ですがエリックさん、クロトさんが工房に入り詰めてしまい、先日のような状態にならないとは限りませんよ。見張る人員は多い方がよいのでは?」

「……確かに。寝食も忘れて鍛冶だ錬金術だと缶詰めされたら困るし、俺だけじゃ止められないかもしれねぇ」


 腕を組み、二人は大真面目に思案した顔で頷き合っていた。

 彼らの認識に偏見が混じってる気がする。俺はそこまで鍛冶バカじゃないやい。


「いざとなれば先生も巻き込んで説得できそうだしな。考えてみるか」

「えー、絶対許可しないと思うけどなぁ。そもそも、俺が家主ぞ? 最終的な決定権は──」

「お前は“いつかやらかす”という信頼を積み重ねている事実から目を逸らすなよ。ユキと生活させても直らないだろうし、授業態度や成績を絡めればきっと容易に説得できるぞ」

「ぐうの音もでねぇや……」


 今日は帰ってテストの復習を軽くしたら工房に行こうと思ってたので反論できない。

 違うんだ、属性爆薬の量産と新装備のアイデアを固めようとしただけなんだ。頑張れば三時間くらいで終わるから……テンション上がったらそのまま籠るかもしれないけど。

 …………そっか。あれだけ痛い目に遭ってるにもかかわらず、行動を(かえり)みようとしないから疑われるんだね。


「とりあえず昼間にでも先生に相談してみるとして、気になってたことがあるんだが……」

「私もいつ聞こうか迷っていたのですが、いつもの長剣が変わってませんか?」


 負の実績があるせいで発言力は無い、と。口を(つぐ)んでロングソードを取り出したら、カグヤから指を差された。

 彼女でなくとも、違和感の塊を見たら誰もがそんな反応になるだろう。

 手に持つ長剣には本来、(つば)があるべき部分にゴテゴテとした機械が取り付けられている。


 複雑な歯車が内部に収められたクリアカバーで鍔を挟み、刀身に伸びた部品には何かをはめ込むスロット機構が二つ。

 歯車の下、(つか)側の半分までグリップで覆われていて。沿うようにレバーがあり、剥き出しのケーブルで歯車や機構部分に繋がっている。


 所々の逸脱した見た目を省けば、イメージしやすいのはバイクのハンドル──スロットルグリップだろうか。アルバイトで原付を乗り回す機会が多かったので、なんだか懐かしく思える。

 魔科の国(グリモワール)の出身や武器の造詣に深い人なら、可変兵装(マルチ・ウェポン)の一種だと思い至るだろう。しかし可変兵装の特徴である二種の武器が複合された姿とは異なり、長剣単一の形だ。


「グリモワールを発つ時にサイネが来たの覚えてる? あの時に渡されたアタッシュケースの中身がコレだったんだよ」

「ああ、そういやなんか騒いでたな。……見た感じ、取り付け可能な可変兵装パーツに見えるが」

「同封されてたマニュアルには汎用武装強化魔装具って書いてあったよ」


 手作り感満載の、プラモデルの組み立てシートのごとく折り畳んだマニュアルをエリックに渡す。

 昨日、夕食を食べたあとに荷物の整理をしていたら、銀色のケースがぽろっと転がり出てきた。

 それがサイネの物だということをすっかり忘れていたのだが、貰っておいていつまでも放置するのは申し訳ない。

 早速開けて中身を確認してみた所、この魔装具と付随する部品──スロットに装填する各属性のアブソーブボトルが詰められていた。


 ケースの内蓋に貼られた手紙によれば、グリモワールで世話になったお礼、そしてロマンを追い求める者への手向けとして魔装具を使ってほしい、と。

 ヴァリアント・ローズなんてロマン武器を愛してやまない彼女らしい、技術者目線の情熱的な文章でしたためられた手紙を読み終わり。

 ご丁寧に専用の工具まで入っていたので、試しにロングソードに装着してみたのだ。


「第五世代デバイスに搭載予定の外魔素流用魔法(アウターマギア)技術を流用。サイネが独自に開発し、一般的な武具にも転用可能である外装アタッチメント“トライアルマギア”──だってさ」

「“試験段階で調整済みだけど、色々と強力だから気をつけてね!”……もうすでに嫌な予感がするぞ、それ」

「やっぱり? カタログスペックを読んでもどういう状態になるか、いまいちよく分からなくてさ。戦闘科の授業でならカバーが利くし、試せそうだと思ったんだけどダメかな?」

「念の為にも教師の許しを得た方がよろしいのでは? 指導員の目が届かない所で万が一が起こったら大変ですから」

「でも、うーん……いや、いざという時は起きた問題を全て押し付けられるか」

「それはやめとけ」


 睨むような視線に気圧(けお)されて、大人しく許可を取りに行った。


 ◆◇◆◇◆


「……で、なんで授業参加した生徒全員で見てるんですか? ジャージ竹刀先生」

「お前は新作の爆薬だかで校庭の一部を破壊した実績があるからな。散らばって行動してる生徒に危害が向かわんとも言えないだろう」


 決闘用の、頑丈な魔力障壁の向こうで。

 大勢の見物人の中から呆れたような顔でジャージ竹刀は口を開いた。

 そう、俺は前に一度オリジナル爆薬でやらかした経験がある。その為、詳細を知る生徒や教師には異常に警戒されているのだ。

 ただの若気の至りじゃないですか、そんな危険人物を見るような目を向けないでくださいよ。


「あと他の生徒にも常々言っているが、いい加減あだ名でなく名前で呼べ。無駄に長い」

「わかりました、ジャージ」

「違う、そうじゃない」


 こめかみを押さえて俯くジャージを無視して。

 正面で黒く刃の無い鈍器大剣、《スクレップ》を構えたエリックを見据える。


「いいのか? いくら新しいスキルを習得したからって、試し撃ちの実験台になるなんて」

「問題ねぇよ。今の俺なら、どんな攻撃でも防げるからな」


 自信たっぷりな物言いに頼もしさを抱きながら、長剣のスロットに火属性のアブソーブボトルを装填。

 基本的には同属性、もしくは相性の良いボトルを二本セットする仕様らしい。だが一本だけでも問題ないようなので、今回はそれで試してみる。


「要はトライアルマギアを使えば、属性に応じた魔法剣が使えるってことだろ?」


 エリックの問い掛けに頷き、マニュアルの内容を思い出す。

 グリップを回せば回すほどボトル内に溜めてある魔力を消費して、クリアカバーのギア回転で外魔素流用魔法(アウターマギア)の回路を接続し、刀身に纏わせる。

 その状態でも属性付与(エンチャント)されているので攻撃しても効果があるようだが、副次的な効果に過ぎない。最も強力なのが振り抜くと同時にレバーを握り、纏わせた魔力を解放させる“シフトドライブ”……らしい。


 血液魔法でも魔力さえ貸してもらえば似たようなマネは出来るが、血を失うリスクを考慮するとこちらの方が安全に思える。

 ちなみに最大で六段階まで出力を上げられるがボトルの消費が激しく、武器の耐久性を度外視しているので滅多にやらない方が良いそうだ。

 結局、危ないんじゃないのコレ?

 見た目に似合わず軽量で取り回しは以前と変わらないが、どことなく危険な雰囲気を漂わせるトライアルマギアを見つめる。


「ロマンを求めるなら、多少のリスクは背負わなくてはならない。……けど、俺が使う武器、ほとんどギャンブル性高くない? 一長一短だなぁ」

「お前なら使いこなせそうだけどな。とりあえず、やってみようぜ」

「うい。まずは一段階からいくぞー」


 宣言し、両手で構えた長剣のグリップを一度回す。

 ボトル内に凝縮された魔力が泡立ち、歯車──複数属性の魔法陣に変化するサークルギアが駆動し、赤く光り出した。

 光芒を散らして、刀身に幾何学(きかがく)的な線が奔る。この時点で男性陣の心を揺るがしたのか、野太い声援が飛んできた。

 かくいう俺も想像の何倍もかっこよくて噴き出しかけた。いやぁ~、サイネよく分かってるぅ~。


「んで、これで斬りかかる、と。エリック」

「おう、いつでもいいぞ」

「それじゃ……!」


 駆ける。右手で後ろに引いたまま、距離を詰めて。

 防御スキルの発動に応じるようにレバーを握り──炎が(ほとばし)る。

 手先に感じた熱と推進力を振り下ろし、スクレップと衝突した瞬間、爆発が起きた。

 衝撃から跳び退き、赤熱した長剣を地面に突き刺して、痺れが残る手でグリップを二回転。


 駆動音を鳴らし、《アクセラレート》で回り込み、突きを繰り出す。大剣の腹で流されるが放射状に炎が放たれ、障壁に当たり霧散した。

 両手で引き戻し、刀身に回路を浮かばせて連撃を叩き込む。

 フェイント混じりの斬撃や刺突も。大剣の柄まで使われて防がれ、スキルによって大きく弾かれる。

 肉厚な鈍器が迫る前にグリップを追加で回す。ぐっと握りしめて、上段から捻りを加えて。

 弧を描き、空気を裂く赤い斬線が、爆炎を引き起こした。


「「っ!」」


 周囲から上がった悲鳴と息を呑む音が掻き消され、視界を火と煙が埋め尽くす。

 即座にその場から離れて、火の粉を払い、黒煙が立ち昇る中心から周囲に目を向ける。

 障壁のおかげで外までは被害が及ばなかったようだ。ただ、内部は地面に散らばった炎によって焦げつき、温度を上昇させている。


 汗を拭いながら、右手に持った長剣を見下ろす。

 刀身はシフトドライブによって赤熱したまま、一向に戻る気配が無い。少し揺らすだけで火が舞うほどの高温だ。後でちゃんと手入れをしないと確実に面倒なことになる。

 他の属性ならまだ何とかなるかな、と考えながら。抜き出したボトルの内部を見れば、ほとんどの魔力を使い果たしていた。

 一本だけだとすぐに使い切ってしまうから、二本同時使用が推奨されていた訳か。


「というか、四段階でこれか……」


 予想通り、反動のダメージを負いそうな新装備だった。立ち位置や距離感を間違えたら、自分はおろか味方すら危ない。

 常用するなら三段階まで。一発で決める時は四段階以上にした方がよさそうだ。

 空のボトルをポケットに仕舞い、水属性のボトルを装填していると。


「──っぶねぇ、間に合ったぜ。って、あっつ!」


 黒煙から紅い半透明の障壁じみた球体が現れ、中に居たエリックが大剣を下ろすと同時に消失した。

 球体で覆われていた部分はシフトドライブの影響を受けておらず。彼自身も解いて初めて、空気の熱に気づいたようだ。

 ユニークスキル《ディバイド》が進化し、彼が新たに得た力。

 恐らくグリモワールでの一件が、精神と肉体を大きく成長させた為に発現したスキル。

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「《イグニート・ディバイン》だっけ……名前、長くなったよね」

「その分、効果はとんでもないだろ?」

「まあね。遠征前よりも、もっと頼りになりそう」


 得意げに笑うエリックに肩を竦ませて、天井の障壁に向けて三段階のシフトドライブを放つ。

 三日月状に飛んでいった水の塊は到達と同時に弾けて、火の海を消火する雨になった。肌に当たる冷感が、火照った身体に心地よい。


「なるほど、そういう使い方も出来るのか」

「うん。大体の仕様は把握したけど、ドライブの出力に耐えられる素材で武器を作らないと、使用後の後始末が大変かもね」

「うわっ、ほんとだ。ジュージューいってら……そのまま肉とか焼けそうだな」

「串焼きならぬ剣焼き? さすがにそれは……非常時ならやるかもしれないけど」


 とにかく、トライアルマギアを使う点での問題も浮き彫りになった。

 新装備のお披露目はこれくらいにして。消火し切った頃合いで魔力障壁を解除してもらい、セリスと共に俺達は次の授業を受ける教室に……。


「どこ行こうとしてんだ。先生に共同生活の案を伝えて、許可貰いに行くぞ」


 向かおうとして、後ろ襟を掴まれ職員室に連行される。ああ、そんな話してましたね。

 その後、エリックの卓越な交渉術──ユキの事情が四割、俺の生活態度が六割くらいを占めていた──により。

 エリック、セリス、カグヤの三名が寮から俺の家に移り住むことになった。

 おかしいな、家主の意見を聞かずに居住が決定してるぞ?

 そもそもいいんですか? 生徒だけで生活するなんて……みたいな目線を送ったら。


「過保護すぎるかもしれませんが、打てる手は打っておきたいので。……それに食生活は問題ないと思いますが、エリックさんの貴方に対する懸念には賛同できるというか、同意しかないというか……」


 気まずそうな顔で告げられた。

 衣・食・住の内、食以外の信用が無さすぎて泣けてくる。


“トライアルマギア”別名、汎用武装強化魔装具。

 サイネが他企業から持ち込まれたアウターマギアの技術を自己流に改良。可変兵装以外の武具に転用できる取り付け装置として開発した、オリジナル魔装具。

 柄側に出力調整用のグリップと魔力解放のレバー。

 鍔に多属性の魔法陣に変化するサークルギアを内包したクリアカバー。

 刀身側にアブソーブボトルを装填する二つのスロット機構。それらを繋げる剥き出しのケーブル、というメカメカしい外見をしているが非常に軽い。

 近しい物で例えるならバイクのスロットルグリップ、分かりやすく言うならバイクの右ハンドルである。

 シフトドライブという魔法剣を放てる画期的な装備だが、良くも悪くも強力過ぎて扱うのが難しい。

 六段階の出力調整が可能なのに一段階の時点で、衝撃を逃がさないと武器が吹っ飛びそうになる。あげく魔法を放つ特性上、周囲への影響も有るため下手をすれば自分だけでなく味方も巻き込む。まーたコイツ自傷ダメージで怪我するんじゃないか?

 さらに武器の耐久性を一切考慮していないので、トライアルマギア専用の素材で作り直さないと手入れが面倒。

 多大なリスクはありつつリターンも大きいという、ギャンブル性の高い新装備。上手く使っていきましょう。


《イグニート・ディバイン》については後日、別の話で詳細を載せます。

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