第四十六話 「Are you ready?」
Q.投稿していない約二か月の間、何をしていましたか?
A.果樹園で働いてました。旬の果実がとても美味しそうでした。
Q.執筆はしていなかったのですか?
A.実はこの話は三日前辺りに書き始めた物です。長らく更新せず待っている方もいると思い、急ピッチで書き上げました。
……という見苦しい言い訳は置いといて、決戦前の準備回です。
──《グリモワール》冒険者ギルド支部──
『いやぁ、驚きましたよ。まさかアカツキさんから連絡が来るとは』
「お見舞いに来ていただいて以来ですね。すみません、ギルド支部長。お忙しい所に突然……」
『いえいえ、お気になさらず。それで、何かご用件が?』
「はい。先日の保留にしていた件なのですが、ぜひギルドの力をお借りしたいと思いまして。というのも最近《グリモワール》で起きている襲撃事件の犯人が、今度は《デミウル》の研究所を狙っているという情報を手に入れたんです」
『なんと……!? 確かなのですか?』
「知人に《デミウル》の関係者がいたので個人的に調査してみたのですが、夜間に怪しい恰好をした人物の目撃証言や滅多にない設備の破損があったという話を聞きました。調査の過程で日を追うごとに被害が増していることも分かっています。憶測ではありますが、おそらく……」
『近い日に研究所が襲撃される、ということですか』
「少なくとも俺はそう思ってます。──今でこそ、この程度で済んでいますが、もし襲撃が起こるとしたら被害はとてつもない規模になる。
《デミウル》は大企業、それも医療企業の頂点に立つ存在です。社員だけでも相当数がいますし、病院などの施設にも影響が出ないとは限りません。
……依頼の時からどうにも悪い想像ばかり膨らんでしまって怖いんです。また分校の生徒が、友達が巻き込まれるんじゃあないかって不安で……事が起きてからでは遅すぎるんです。運が良ければ助かるだろうなんて楽観的に見ていられない」
『貴方の気持ちは痛いほど分かりますよ。でも個人で出来ることなんて限られている、だからギルドの力を借りたい。そういうことですね?』
「はい。個人的な頼みに巻き込んでしまうのは心苦しいのですが、冒険者の皆さんに《デミウル》近辺の巡回警備をお願いしたくて。
たとえ捕らえることができなくても、牽制になればそれだけで身動きが取りにくくなるはずです。でも、ギルドの人員だけではカバーし切れない部分が出てくると思います。なので警察と連携して、より広範囲に人の目を広げられないかと」
『ふむ、そうですね……実は先日の件から警察と協同して各地区の警備を強化していまして。今日は分校がある地区を重点にと指示を出していたのですが、こちらもあの件でご迷惑をお掛けしましたし、何より貴方の行動力が生み出した確かな情報を無下にするのは申し訳が立たない。
──早速、人員を《デミウル》の方へ回しましょう。備えていれば憂いはありませんからね』
「ありがとうございます、支部長! よろしくお願いします!」
計画通り……ッ! などという呟きを口には出さず、一息ついてからデバイスの通話を切る。
あちらも既に行動していたおかげで比較的安易に事が進んでくれた。これでギルドと警察は巻き込んだし、騒ぎを起こせば軍の連中も確実に介入してくる。火種を用意すれば後は勝手に燃やしてくれるだろう。
ふと視線を感じて振り向くと、信じられない物でも見るような顔をしたルシアが。
いや、ルシアだけじゃない。周囲の外套を羽織った影達がひそひそと何か話し合っている。
耳を澄ませば聞こえてくるのは“あいつ本当に一般人か、実はどこぞの暗部の一員なのでは”や“わざわざボスに直談判するような奴がまともな訳ねぇだろ”などという誹謗中傷の嵐。
酷い言われようだ。こんな状況でなければ簀巻きにして、たこ殴りにした後で水の入ったドラム缶に頭から突っ込ませてやるのに。
……冗談は程々にしておいて、ジン、お前なに腹抱えて笑ってんだ爆笑してんじゃあないよ。
「いひひひひ……っ! き、君、こっち側にハマり過ぎじゃない? 演技だからって、し、白々しさがずば抜けてるでしょ!? 真顔でそんなこと言ってたら笑うしかないじゃないか! あっはっはっは!」
「……詐欺師?」
「違うよ?」
首を傾げるルシアの発言を明確に否定する。この程度で詐欺師扱いされても困る……本職はもっと容赦が無い上にアホだからな。
騙せなかったと分かった数日後に、家に人が居ても関係なく強盗紛いの実力行使に出てくるんだぞ? 馬鹿にされて勝手にキレて、いい年した恥知らずな大人がバールとか消火器とか持ってきて。その労力を他のことに回せばいいのに。
とにかく襲撃に必要な工程は済ませた。残りの個人的な問題を片付ける為、ジンに──聞こえてるかは分からないが──声を掛けてから外に出る。
一応ルシアにも着いてきてもらい、周囲に人影が無いか確認してからデバイスの連絡先を開く。
……俺のデバイスにジンが干渉してきたことを考えると、その気になれば簡単に盗聴でも何でも出来そうな気はするが、馬鹿正直に敵地のど真ん中で会話をするより精神的に助かる。
何より通話相手が身内関係ともなれば警戒するに越したことはないだろう。
──《グリモワール》分校──
『──私がいない間に、そんなことが……』
「信じられないかもしれませんが、事実です。《ディスカード》は《デミウル》の武装部隊によって壊滅。助けられたのは孤児院の皆だけで、ユキは攫われ、セリスは重傷を負って今も意識が戻ってません。それに地上への出入り口は包囲されていて、俺は何とか隙を見て戻れたのでこうして連絡を取れてますが……」
『他の皆さんは《ディスカード》に残されたまま、ですか』
「大人数での行動は発見されるリスクもありますし、何よりセリスを抱えて移動する訳にもいきませんから。偶々オルレスさんが付き添いで来てくれたおかげで最低限の被害で済んでますが、時間が経てば状況も変わってくる。
こんな状況で一番頼りたい医療機関に《デミウル》の息が掛かっていないとは言い切れなくて、安易に救助を要請するのも憚られてしまって……」
『──でしたら、分校の生徒で代用しましょう。ルーザーさんは除きますが、遠征に参加して頂いた方々であれば異種族を忌避することはありませんから。事情を説明すれば快く承諾してくれると思いますよ』
「っ、そうか、その手があったか……」
『彼らなら多少の荒事でも対応できますし、もちろん私も同行します。武装部隊が相手なら手加減を考える必要はないので、救出自体は問題なく可能です。クロトさんはどうしますか? こちらと合流して《ディスカード》に戻りますか?』
「俺は……」
思わず言葉が詰まる。カラミティと接触する前であれば、シルフィ先生の提案に乗っていたかもしれない。
でも、それじゃあ駄目だ。結局なにも解決しない。
ユキの救出、エリクシルの奪取ができなければ──目先の問題を先送りにしているだけで、超えられない壁に阻まれてしまう。
カラミティと協力関係を結んだ事実を話したらどうだろう? いや、俺がやろうとしている事は間違いなく違法であり、仮に信じてくれたとしても教師である彼女がどういう感情を抱くか予想するのは難しくない。だからといってこのまま黙っていても話は進まない。
伝えるべきか、否か。──考えるまでもなく、答えは決まっている。
「ユキを取り戻してきます。何を言われようと、俺は意志を曲げるつもりはありません」
『……そう言うと思いましたよ。どれだけ困難であっても、貴方ならその選択を取るだろうと』
深いため息が伝わってくる。無謀だと呆れているのか、それとも怒っているのか……きっと両方だろうなぁ。
最悪術式魔法で強制的に洗脳される可能性を考えると、今すぐにでも通話を切りたい。でも、何かしら反応が返ってこないと後が怖い。
俺の身の安全とか立場とか考慮して、もし《グリモワール》に《デミウル》襲撃に学園の生徒が関与していたなんて知れたらそれだけで大損害だし。そうでなくても自分の教え子が犯罪をやろうとしてるのを止めない訳が無い。
そうならないように保険をかけておくつもりではあるが、説明しても納得してくれるだろうか? デバイス越しの土下座で許してもらえませんか?
『…………いいですよ』
「すみませんちゃんとユキを連れて帰りますしマジで土下座でもなんでもしますからお願いです今日だけは愚かな馬鹿の奇行を見逃してくだ……ん? なんて?」
『ですから、いいですよ。ユキを迎えに行ってあげてください』
優しい声音で、困ったように。
『クロトさんの事ですから何も考えず自棄になる行動をする訳がありません。色々と策を講じているのは声色から察していますし、何よりそういった行動力のおかげで実際に私は助けられましたから。
……教師としてなら行かせるべきではない、個人としては貴方を失う恐怖の方が強い……けれど私の生徒の言う事ですから、貴方の意志を尊重します。
色々と思う所は、そこはええ、自分に言い訳を重ねて見逃しましょう。許しましょう。貴方を信じて、帰りを待ちましょう』
「先生……」
平静を保とうと取り繕っていても、わずかに震えた声までは隠せなかったのだろう。先生にとって辛い選択を選ばせてしまったと思う。
教師である自分が生徒を見捨てるようなマネをさせてしまうのだから。危険な道を進もうとする生徒を引き留めたいはずなのに、不安を押し殺して許してくれた。
申し訳ない気持ちが溢れてきて、胸が痛む。でも、嬉しかった。
俺を信じて背中を押してくれたことが──本当に嬉しかった。
『でも、これだけは約束してください。怪我をしないように、無理をしないように、なんて甘いことは言いませんが──必ず、二人で一緒に帰ってくること。いいですね?』
「……はいっ!」
『良い返事です。……ではこちらで人員を揃えた後、私達は《ディスカード》へ向かいます。もしクロトさんの方で何か手伝えることがあれば、いつでも私に連絡してください』
「その時はよろしくお願いします。では──」
「『必ず、また後で』」
同じ言葉の沈黙から少し間を置いて、通話が切れた。
「……俺には勿体ないくらい、良い先生だよ。貴女は」
「クロト?」
「なんでもない。それよりもう一人、話しておきたい人がいるんだ。時間が掛かると思うんだけど、まだ大丈夫かな?」
「問題ない。まだジンが笑い転げてるから」
「そういう判断基準なの?」
──《ニルヴァーナ》学園──
『なんだか随分と久しぶりに声を聴いた気がするわ』
「俺もだよ、フレン。とりあえず、時間あるか? 話したいことがあるんだけど、少し長くなる」
『……その口ぶりから察するに、厄介事に巻き込まれてるみたいね。シルフィから聞いたわよ? 国外遠征で初っ端からとんでもない事件に絡まれたって。挙句に監視対象にまでされてるとか……で、今度は一体なにが起きたのよ?』
「現状を簡潔に伝えるなら、エリックの地元が《グリモワール》の企業に焼かれて家族の身の安全が確保できない。しかも家族の内一人が瀕死の重体で、もう一人が攫われた。
エリック達の所にはシルフィ先生が遠征に参加した分校の生徒達を連れて救出に向かったが、俺は攫われた家族の方を取り戻しに今から企業へカチコミを仕掛ける」
『…………ん? なんて?』
「だから企業にカチコミを」
『そこじゃないっ! いや、十分気にはなるけども!』
そりゃ全く無関係な立場の人からしてみれば“なに言ってんのお前?”っていう話だよな。
「まあ、色々と言いたいことがあるのは理解してるがとりあえず落ち着け」
『自分から超ド級の爆弾放り込んできたくせに……仕事終わって帰ってお酒飲んで寝よって思った矢先にこれ? ……くそぅ、わかったわかったわよ! とにかく、何をしてほしいのか教えて。話はそれからよ』
「ありがとう。といっても、さすがに今からこちら側に干渉するのは距離的にも時間的にも難しいはずだ。だから、全てが終わった後のことを頼みたい」
失敗した時のリスクを考えると、やはり俺を切り捨てた方が《ニルヴァーナ》側に迷惑が掛からない。捨て身同然の作戦を決行しようとしているのだから、《デミウル》もしくは《グリモワール》に俺が襲撃犯の一員だったとバレてしまった際の保険として、フレンには“アカツキ・クロトという人間は存在しなかった”と主張できる手回しをしてほしかった。
──だが、シルフィ先生と約束した以上、負けた展開を想像するのは逃避でしかない。
振り返ることも後退りするのも無しだ。ただ前を見て、進んで、この手で選んだ未来を掴み取る。
だからこそ、他でもないフレンを頼るしかなかった。
「最終的な結論を出すには先生とエリックも交えてやらないといけないが……フレンや学園にとっても悪くない話のはずだ。なにせお前が抱えてる問題の解決に直接関係してくるからな」
『──ああ、そういうこと……なるほどね、理解したわ。シルフィに説明だけ通しておいて、後は君が戻ってきたら相談すればいいわね。それだけならこちらとしては万全の準備が出来るけれど、いいのかしら? かなり無茶を言ってる自覚はあるんでしょ? 結果として、エリック君だけじゃなく君も大変な目に遭うわよ』
「すでにがっつり首を突っ込んで抜け出せなくなってるんだ、最後までとことん付き合ってやるよ。今回の特待生依頼の達成報酬として扱ってくれて構わないし」
『覚悟決まってるわねぇ。そこまで言うなら私からは特に……いや、ちゃんと伝えましょうか』
何を、という前に。遮るように。
『いざとなったら守ってあげる。だから、しっかりと落とし前をつけてきなさい。二度と立ち上がれないくらいにね』
「──言われなくてもそうするよ。じゃあ、よろしく」
『任せなさい』
最後に楽しげにハミングしながら、フレンは通話を切った。
あいつ、俺が掛けようとした保険のことを見抜いてたな。相変わらず底が見えないというか、そんな所が頼りになるというか。
……正直な話、国外遠征で《グリモワール》に来なければ、こんな状況にならなければ、フレンに連絡を取るか迷っていたと思う。シルフィ先生の時は問題が解決したから良いものの、過程で国を滅ぼしたやべー奴と戦わされる羽目に遭ったのだから。
今回だって分校と合同で関わった依頼の全てに──地域によくいるヤンキー集団の暴動、謎の魔導人形達の強襲、《グリモワール》の裏側で暗躍する組織の介入など──予想外の問題が発生している。
国外遠征の主目的は生徒に他国で見聞を広めさせて個人として、そして班というグループでの生長を促すことだ。そういった意味では、ここは中々に刺激的な場所であると言える。
しかし分校があるとはいえ、《グリモワール》というドブ臭いヘドロのような暗部が見え隠れしている場所へ俺達を送り込むなんて、思い付きとはいえ危険すぎるのではないか? いや、むしろそういう場所だからこそ様々な危険を考慮した上で……でも通話越しの反応が演技だとは思えないしなぁ……。
多少の心構えが出来ていた辺り、少なくとも何かしら想定外の事態が発生するのではないかと。
俺に依頼したということは、俺なら何かやってくれると。フレンはきっと、期待していたのだろう。
出会った時からそうだった。俺のことなんて知らないはずなのに何かを知っている素振りを垣間見せる姿は──嬉しそうで、でもどこか悲しげで、罪悪感を押し殺しているような……図り知ることのできない感情が渦巻いていた。
理由は分からない。聞いても答えてくれる訳でもないだろう。でも、今はそれでいい。
「話、終わった?」
「ああ、もう大丈夫だ。時間取らせてごめん……行こうか」
「ん、わかった」
迷いは捨てた。
覚悟は決まった。
これから起きることに、背を向けて逃げるなんて情けないマネはしない。
ただまっすぐに──やるべきことをやろう。
『さてさて。大体の段取りは決まっているから良しとして、あともう一つ重要なことを決めようか。そう……君のコードネームをね!』
『……ああ、咄嗟に名前を呼ぶ時に本名なのは確かにマズイな。“ナンバーズ”のような名称があれば円滑にコミュニケーションが取れる……まあ、一時的な協力関係なんだから凝った名前じゃなくていいだろ。そっちで適当に決めてくれ、番号以外で』
『えー、番号は無しかい? せっかくだから新しいのを名付けてあげようと思ったのに……んー、そうだなぁ、何がいいかな』
『──“ネームレス”というのはどうでしょうか。番付け未満の無名の構成員という意味合いにはなりますが、私と共に行動していて名前付きである以上、相手側に一定の警戒を抱かせることは可能なはずです』
『おお、セカンドが珍しい提案をしてくれたね。ネームレス……うん、良い響きだ。君はどう思う?』
『変に角が立つような呼び方よりはマシだろうし、そう呼んでくれ。……名前はいいとして恰好も変えないといけないな。外套はどうにか誤魔化せるから良いとして──セカンド、悪いけどナイフを貸してくれないか?』
『いいけど、何を……ッ!? ちょっと、急に自分の額を切るなんて……!?』
『そんなに深く切りつけてはいないさ、派手に血が出てるだけだから気にしないでよ。後はこの血で……』
『なるほど、仮面を作って顔に貼り付けるのか。ま、そのくらいカモフラージュ出来ていればバレる心配はないだろうね。
──既に他の構成員は第五区域の《デミウル》本社付近で配置に付いている。君が襲撃の火種を起こせば、後は彼らが焚きつけてくれる。ネームレスにとって一夜限りの宴だ、存分に楽しむといいさ』
「……楽しむだって? そんな心持ちでこんなことやれるかよ」
家路へと急ぐ人々の喧騒、すれ違う魔導車の波が激しさを増していく。
日々の疲れを肩に乗せて歩く彼らの耳に、一日の終わりを示す鐘の音が当たり前のように響いた。見上げた曇り空は沈んでいく夕日に焦がされ、静かに黒く染まっていく。
淡々と過ぎていく日常の一部が変わり始めていた。
雑多な騒音がひしめく地上を見下ろす夜が来る。吸い込まれそうなほど、暗い夜が。
「──想像せよ、位相たる汝の身を」
言葉は力であり、意味があり、想いを形にする。
脳裏に浮かぶのは創作に登場する英雄。
多くの人に慕われ、悪を挫き弱きを助け、世界を救う──そんな存在が持つ力。
この身には無い絶対の力。可能性の幻想が溢れ出し、光の奔流が星空のように散りばめられていく。
「──創造せよ、確固たる我が身を」
伸ばした右手に紡ぐ言葉は光を束ねて、幻想を現実へと形成していく。
焦げた雲の上で輝く光球によって、まるで雷雲のように閃光が奔る。
音は無い。しかし何気なく見上げた人にとって無視できる現象ではない。そして、異常というもの一度でも目にしてしまえば病のように伝染していく。
困惑を含んだ声が所々から上がる。デバイスを構えて撮影している者もいるが、不穏な空気を感じたのか、その場から離れていった。
光が強くなる。指先から溶けだしていくような感覚が身体を蝕む。じくりと痛む胸を抱き、怖気を殺すように歯を食いしばる。
……それでも、と。祈るように、願うように。
「“愚者を断罪する裁きの剣──星よ、降り注げ”《異想顕現》!!」
光から生み出された無数の星が、闇を切り裂くように。
眼下の街並みを呑み込んだ──。
五十話までに終わるか不安になってきた。
なんとか頑張ります。