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自称平凡少年の異世界学園生活  作者: 木島綾太
【五ノ章】納涼祭
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第八十七話 学園最強《中編》

本当は昨日の時点で出来あがってましたが、眠気に負けたので日を跨いで更新します。

 十本勝負、二本目。

 凄まじい速度で振るわれる魔剣の連撃、フェイントの連続に押されていく。

 さらに影すら掴ませない高速移動に反撃の術もなく、足を払われ視界が反転。

 負けじと胴を捻り、強引に反撃を試みるが難なく避けられ、がら空きの胴を袈裟懸けに斬られた。障壁が砕ける。

 決着──試合時間、二十三秒。


 十本勝負、三本目。

 血液魔法解禁。捌き切れない連撃で負傷した部分から血の腕を創り、魔剣に絡ませて動きを封じた。

 瞠目(どうもく)した生徒会長の視線から逃れるように体を沈め、魔導剣で斬り上げ……る前に、上段に構えられた魔剣の振り下ろしが右肩に炸裂する。障壁が割れた。

 いつの間に抜け出した? 睨むように血の腕を見れば、綺麗な断面を覗かせて真っ二つにされていた。……魔剣の切れ味を甘く見ていた俺の負けだ。

 決着──試合時間、三十五秒。


 十本勝負、四本目。

 スキル解禁。《アクセラレート》と《コンセントレート》、その他で常時発動しているスキルをフル活用。

 次々と砕ける魔力の光輪が宙を舞い、強化された体で縦横無尽に駆けまわり重撃(じゅうげき)を浴びせていく。

 対抗するように生徒会長もスキルを行使。《アクトブースト》に《レイジインパルス》と同系統スキルの完全上位互換で逆に翻弄され、こめかみを魔剣の柄頭で殴打された。障壁が散る。

 滲むような鈍痛と揺れる視界の奥で笑顔を浮かべる彼女の顔が妙に腹立たしかった。

 決着──試合時間、十七秒。


 十本勝負、五本目。

 シフトドライブ解禁。相性の良い水と雷属性、そして最大出力のシフトドライブで広範囲を埋め尽くす。

 地面・空中の逃げ場を無くしてかく乱から自爆覚悟の特攻。接近し、エンチャントされた刀身をわざと足下にぶち当てて衝撃で地面を揺らす。

 直後に発生した紫電を纏う水壁が両者を阻み、瞬時に《アクセラレート》でボトルを入れ替えた。


 火と光。グリップを二度回し、レバーを握れば煌々と輝く魔力の刃が魔導剣に宿る。

 すかさず横薙ぎに振り抜けばリーチの延びた魔導剣が水壁ごと生徒会長を斬る……ことはなく、範囲外まで離れた彼女は冷静に、指先に集めた光属性の魔力を解き放った。

 反射的に魔導剣で軌道を逸らしたものの右脇腹を灼熱が襲う。無様に、弾かれたように吹き飛ばされた。障壁は貫かれていた。

 苛立ち混じりに飲み干した魔力回復ポーションの空瓶ごと地面を殴りつける。手のひらを破る破片の痛みは気にならなかった。

 決着──試合時間、一分八秒。


 十本勝負、六・七本目。

 召喚獣解禁。ソラの魔法をスキルで強化し、水、雷、風、光の魔法をばら撒き、合間にシフトドライブで追撃。

 観客を保護する魔法障壁すら半壊させるほど暴れ回るがボトル装填の隙を突かれて敗北。体だけでなく頭まで熱が回ってきて血が沸騰しそうだ。

 決着──試合時間、一分一〇秒。


 七本目はソラが最近になって会得した尻尾に魔力を纏わせ、実体のある刃を生み出す魔法で近接戦闘に持ち込む。

 俺とソラのコンビネーションで追い込み、初めて彼女の制服に傷を付けた。しかしすぐさま切り返された刃でソラを狙われ、庇う為に背中を晒して敗北。

 珍しく気が立っているソラと一緒に、威嚇するように両手を挙げる。些細な反抗は彼女の笑い声に掻き消された。くそったれぇ。

 決着──試合時間、一分三十四秒。


 十本勝負、八・九本目。

 爆薬、ルーン文字解禁。改造制服に仕込んでいた爆薬にルーン文字を刻み、威力を強化し範囲を拡大させストレートでぶん投げる。

 行動を拘束、妨害、阻害させる爆薬が破裂し生徒会長に襲い掛かるが、高速詠唱で放たれる光属性の魔法で打ち破られた。単一属性の癖に応用力あり過ぎだろ、ふざけんな。


 怒りのまま血液魔法の紐を括りつけた魔導剣を槍投げの要領で投擲。

 まさか武器を投げるとは思わなかったのか。しかし目を見開きながらも甲高い音を鳴らして弾く──瞬間、衝撃を与えられた魔導剣が爆ぜる。

 既にグリップを回してレバーを固定した状態で投げたのだ。風と土、暴風に乗った(つぶて)が彼女を襲う。


 紐を手繰り寄せ手元に戻った魔導剣のグリップを再度回す。そのまま岩の嵐に突撃するが、早々に抜け出した彼女の魔剣が閃く。

 復帰の早さは織り込み済みだ。突きの動きを逸らして懐へ魔導剣を振り抜く……腕を蹴り上げられた。

 空白の思考に滑り込んだアクティブスキル、《ソニックレイド》が胸元を断つ。音速の斬撃は障壁を越えた。

 決着──二本とも試合時間、一分四十八秒。



 そして、泣いても笑ってもこれで最後。

 十本勝負の終わり、十本目が始まろうとしていた。


次回、決着。


ちなみにクロトがイラついているのは攻撃に当たると分かっていながら避けられない自分にムカついてるからです。

例えるなら超高速QTEを連続でやらされた挙句、最後の最後でコンマ単位の入力に遅れて失敗しているのです。しかも何度も。そりゃキレる。

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