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はじまり
「私さ、ほんとは男なんだ」
なにも、言えなかった。
ただの中二だと思った。
中学の頃に自分のことを俺と呼んでいた女子はわんさかいた。(僕、もわりといた。名前呼びする子は少数ながら今も存在する)
それにここは女子更衣室の中だし、私はおおっぴらに着替えてるし、だけど中学でいつもプールは見学してたことや、今現在私から目をそらして顔を赤らめている様子からすると、真実味がある。
「わかる?男なんだよ、だからそういうの、困る」
さっきまで普通笑っていた親友は目をうつむかせて早々に着替え終えると、私を置いて教室に帰ってしまった。
今までの二人の思い出が大きな塊となって蘇る。