問題編
二〇〇九年二月。東京では後に「魔女人形連続殺人事件」と呼ばれる事件が発生していた。
最初の事件が発覚したのは二月十日の火曜日の早朝であった。お台場海浜公園の砂浜で、一人の女性の遺体が若いアベックによって発見された。すぐさま警察に通報され、その遺体の様子から殺人事件と断定。現場検証が行われたが、駆けつけた刑事たちはその異様な死に様にゾッとしていた。
「こいつはなんだよ……」
この地区を管轄する第一湾岸警察署の刑事たちは、首に巻きついたある物体を食い入るように見つめていた。被害者はどこかのOLらしく、パリッとしたスーツに身を包んでいる。死因は絞殺であるのはほぼ間違いない。ただ、その巻きついている物が問題だった。それは一見すると紐の長いストラップのようなのだが、そのストラップの先に、黒装束の少女の小さな人形がついていたのだ。その人形はこの殺人という現場に場違いなほどのあどけない微笑を浮かべており、逆にそれがいっそうの不気味さをかもし出していた。
「たしか、これは最近アニメで放送されている『魔女っ子キルル』のグッズですよ」
刑事の一人が告げた。
「よく知っているな」
「幼稚園児の娘がよく見ているんです。それに、放送局はそこですから」
その刑事はすぐ傍にそびえ立っている特徴的なテレビ局を見ながら言った。刑事の何人かがそのテレビ局に走っていく。
その後、遺体の近くに落ちていたバッグから身元が判明した。平目朱里。お台場にある証券会社のOLで、帰宅途中に何者かに襲われたらしいということが推測された。
第一湾岸警察署に捜査本部が設置され、凶器と思しきあの不気味なストラップ付き人形の詳細が報告された。それによると、このグッズは『魔女っ子キルル』を放送しているテレビ局が各地で販売しており、三十センチほどのストラップの先に大きさ十センチほどの人形がぶら下がったものだった。首からかけるように設計されたもので、紐の長さは調節可能。最近は若い女性にも人気があるらしい。今回、犯人はこのストラップの紐を最大まで伸ばした上で、被害者の首を絞めたらしかった。
犯人につながる重要な手がかりと言うことで警察はこのストラップのことをこの段階では公表しなかった。しかし、捜査は当初から暗雲が立ち込めた。何人か被害者とトラブルがあった人間を引っ張ってきて取調べをしたのだが、どれも決め手にかけたりアリバイがあったりして、結局全員シロと判断された。顔見知りの犯行である可能性が低くなり、となると無差別殺人の可能性が高くなるのだが、有力な証拠を提示できる捜査員は存在しなかった。
しかし、事件はまだ序章に過ぎなかった。お台場の事件から一週間たった二月十七日火曜日の深夜。明治神宮の境内で一人の男性が殺害されているのが神社の関係者によって発見され、警察に通報されたのだ。駆けつけた渋谷署の面々は、その遺体を一目見て、大変なことになったと直感した。被害者の首には、あの人形つきストラップが巻きついていたのである。
ストラップの件は公表されていなかったので模倣犯の可能性は低いと判断され、直ちに第一湾岸署と渋谷署の間で合同捜査が決定し、同時に警視庁捜査一課からも本格的に人員が派遣された。二人目の被害者の名前は瀬原憲吉。代々木で消費者金融会社を経営している男で、どこを洗ってもこのストラップにつながりそうなことはなかった。ただ、この男はその仕事柄トラブルが多く、犯人はこの殺人のおとりとして第一の事件を行ったのではないかという意見も出た。
さっそく、被害者とトラブルのあった人間がリストアップされ、特に怪しい人物は徹底的に尋問された。しかし、そんな中どこから漏れたのかストラップの件がマスコミに流れてしまった。魔女っ子のストラップを使った連続殺人と言うことでマスコミ報道はヒートアップし、捜査員や証人に取材が殺到する事態に発展。重要な証人が次々口をつぐむ結果につながり、警察の捜査はますます困難になる。そして、ついには原因となった『魔女っ子キルル』のアニメが放送中止に追い込まれてしまった。
しかし、それでも犯人の凶行は終わらなかった。新たな殺人が発生したのだ。
二月二十六日木曜日の早朝。品川駅近くの立体駐車場に停車していた車の車内で人が死んでいるという通報があり、品川北署は現場に駆けつけた。その結果、車内からまたしても例のストラップをつけた遺体が見つかったのである。
二〇〇九年二月二十六日早朝。品川駅近くの立体駐車場の前にパトカーが到着し、中から男が降りた。斎藤孝二。今年で四十一歳となるベテランの警視庁捜査一課の主任警部で、現在はこの事件を担当していた。運転席からは相棒の新庄勉警部補も降りてくる。
「ご苦労様です!」
所轄署の刑事が挨拶する。現場はすでに封鎖され、初動捜査班の刑事たちや鑑識が捜査をしている。
「身元はわかったか?」
「免許証から判明しました。志賀早夫。名刺を見たところ、どうやらこの近くの出版社の雑誌記者みたいですね」
「今度はマスコミ関係者か」
斎藤は顔を険しくした。被害者は職種も性格もバラバラで、どのような基準で殺人が行われているのかはっきりしないのである。
斎藤と新庄は現場となった立体駐車場に足を踏み入れた。現場は立体駐車場の三階の奥の方で、黒の乗用車の周りを鑑識や初動捜査班の刑事たちがうろうろしている。
遺体は運転席にあった。シートがやや斜めに倒され、被害者は後ろにのけぞるようにシートに倒れながら事切れている。歳は三十代前後だろうか。絞殺されたときの苦悶の表情がそのまま浮かんでおり、首には生々しい索状痕がどす黒く残っている。そして、その索状痕に沿って、首に例の魔女人形のストラップが巻きついている。
「第三の事件か……」
斎藤はまず合掌すると、遺体と車内を調べ始めた。この様子では、どうやら後部座席から紐を巻きつけられて、そのまま後ろに引っ張られるように絞殺されたと考えられる。したがって、被害者のすぐ後ろの後部座席の痕跡が重要となってくる。
「何かあったか?」
「指紋等は発見できませんでしたが、被害者はかなり抵抗したらしく、被害者の爪に布の繊維を確認できました」
「ほう」
鑑識の報告に、斎藤は興味を持った。絞殺の場合、ほとんどが即死にいたらないため、被害者の抵抗が予想される。その際に、被害者が犯人を引っかいたりして、証拠が残ることがあるのだ。今回も、そのパターンだった。
「前回と前々回の被害者にはそんな痕跡はなかったな」
「今回が初めてです。何しろ狭い車内ですので、犯人も抵抗を逃れにくかったと思われます」
斎藤は車内から体を戻すと、事情を聞かれていた管理人に話を聞いた。
「監視カメラ等は?」
「入り口にありますし、駐車場のいたるところに設置されていますが、ここはちょうどこの間カメラが故障して取り替えている最中だった場所で、死角になっていたんです。ですから犯行の瞬間は映っていません」
「では、被害者がこの立体駐車場に入った映像はありますか?」
「ええ」
斎藤と新庄は管理室に移動し、そこでカメラの映像を見た。死体発見の数時間前、被害者の車が駐車場に入ってくるのが確認できる。が、後部座席に誰かがいるかどうかまでは、この映像では確認できなかった。
その後、他の映像を確認したところ、歩行者専用の非常階段を歩くフード姿の人物が確認されたのだが、これまた顔がはっきりせず、性別すら判別がつかない状況だった。しかし、状況からいってこの人物が犯人に違いない。
「とはいえ、手がかりは布だけ。長期戦になるかもしれませんね」
駐車場を出ながら、新庄は斎藤に言った。斎藤はなにやら考えていたが、不意に新庄に告げた。
「新庄、先に帰っていてくれないか?」
「どうしたんですか?」
「せっかく品川にいるんだ。この際、あの人の助言でも仰いでみようかと考えてな」
新庄はその言葉でピンと来たようだ。
「榊原さんですか」
「ああ。そういうわけだから、先に帰って指揮を頼む」
「わかりました。警部もお気をつけて」
新庄は頷くと、パトカーに乗って捜査本部に帰っていった。斎藤はそれを見届けると、ゆっくり現場を離れ、品川のビル街に向かった。
「確かこの辺り……」
斎藤はビル街をしばらく歩いていたが、その一角の裏路地を見つけると、そのままそこに入っていった。品川の裏町。あまり人が来ないので不良などのたまり場になっていることが多いが、ここに目的地はあった。
しばらく行くと、お目当てのビルが見える。かなり年季の入った三階建てのビルで、その二階に「榊原探偵事務所」の看板が見えた。
榊原恵一。それがこの事務所の主である。元警視庁捜査一課警部補。斎藤の先輩に当たり、十一年前に三十二歳の若さで警視庁を辞職した後、ここで私立探偵事務所を開いている。斎藤にとってよき相談相手でもあり、今までにも警察が行き詰った事件に関する相談を行ってきた。榊原自身、犯罪史に名を残す事件をいくつか解決していて、全国的にも名探偵として有名である。
斎藤は脇の階段で二階に上がると、榊原探偵事務所のドアの前に立った。
「すみません」
ドアをノックする。が、返事はない。早朝なのでいないのかと思い、何気なくドアノブをひねると、鍵は開いている。
「失礼します」
中に入ると、事務所の中は書類で埋め尽くされていた。榊原自身のデスクはもとより、秘書のデスクや、来客用のテーブルにも書類が置かれている。どうやら、何か依頼を受けて、何事か調査中だったらしい。そして、当の榊原本人は来客用のソファに転がって、スーツの上着を掛け布団代わりにして寝ていた。
「ん……んぁ……」
と、斎藤の入ってきた音に気がついたのか、ゆっくり起き上がる。
「斎藤か……どうした?」
グレーのスーツにベージュのネクタイ。刑事時代から変わらぬ格好であるが、そのスーツは長年着ているせいかすっかりヨレヨレになってしまっている。
「お疲れですね」
「ちょっと依頼があってな。まぁ、気にせず入ってくれ」
榊原は来客用テーブルの書類を片付けようとする。
「いえ、忙しいなら出直しますが」
「いいんだ。ちょうど一区切りついたところだったし、一休みしたかったところだ」
テーブルの資料がどけられ、斎藤は榊原が寝ていたソファの反対側に置かれたもう一つのソファに腰掛けた。榊原はいったん給湯室に引っ込んだが、すぐに茶と菓子を持って現れる。
「簡単なものですまない」
「いえ、お構いなく」
榊原も、今まで寝ていたソファに座った。
「さて、さっそく本題に入ろう。また何か事件の相談か?」
「実はそうなんです」
「察するに、今騒ぎになっている『魔女人形連続殺人事件』か?」
榊原の言葉に、斎藤は頷いた。
「少々アドバイスでも拝借できないかと思いまして」
「私が知っているのはマスコミで流れた情報くらいだ。まぁ、多少気にしてはいたんだが、そんなに難航しているのか?」
斎藤は険しい表情で告げた。
「まだニュースでも流れていないと思いますが、今朝、この近くの立体駐車場で第三の殺人が発生しました」
榊原の表情も険しくなった。
「詳しく聞きたい」
斎藤は、今朝発生した殺人事件に関して現在わかっている限りの大まかなことを話した。
「なるほど、今度は雑誌記者か」
榊原は唸った。
「一件目のOLに始まり、二件目の金融会社社長、それに今回の雑誌記者。全員つながりらしいつながりがなくて苦戦しています。唯一の共通点は凶器の人形つきストラップだけです」
「模倣犯の可能性は?」
「二件目の犯行時点でストラップの件は公表されていないので、その可能性は低いかと」
「事件の大まかな流れは大体把握しているが、それに対する警察の捜査がどのようなものだったのか、詳しく説明してほしい」
榊原はメモをとる準備をしながら尋ねた。
「一件目の平目朱里殺害に関しては、金銭が奪われていなかったことから当初は顔見知りの犯行と考えられ、その方針で捜査が進められました」
「容疑者は?」
「何人か挙がったんです。第一に、被害者の恋人で、事件当日喧嘩をしていた港区区役所課長補佐・浜沢章裕。被害者とは二年越しの付き合いで、結婚も前提にしたものだったそうなんですが、事件の数日前に、平目が中年男性と親しげに歩いているのを浜沢が目撃し、それで喧嘩になっていたそうです」
「その男が捜査線上から外れたのは?」
「平目の死亡推定時刻は死体発見の前日、すなわち二月九日の午後十時ごろと推定されました。当初、浜沢は事件当時喧嘩の憂さ晴らしに一人で居酒屋で飲んでいたと主張し、アリバイらしいアリバイがなかったんです。動機があり、しかもアリバイがないので当初はこの男を徹底的に絞り上げたんですが、そのうち、突然アリバイの証人が現れたんです」
「誰だ?」
「浜沢の上司です。彼は事件当時同窓生たちと飲んでいたんですが、その飲んでいた居酒屋が浜沢のいた居酒屋と一緒で、彼にも気づいていたんだそうです。なにやら声をかけにくい雰囲気だったので何も言わなかったそうですが、この思わぬ証言で浜沢に対する事件当時の完璧なアリバイが成立したんです。ちなみに、上司とこの同窓生たちは偶然会って居酒屋に行ったもので、前もって用意できる類のアリバイ証言ではありません」
「では、次に問題になるのはその平目の浮気相手だな」
「実は社内でも前々から噂があったんです」
「相手と目されていたのは?」
「片町伝吉という平目の所属する部署の部長です。既婚者ですが、女性に手が早いことで有名で、社内でも美人で有名だった平目が長年この男と何の噂もなかったので、最近になって平目が浜沢以外の誰かと付き合っているらしいという噂になるにあたって、真っ先に疑われた男です」
「当人はどう言っているんだ?」
「本人は平目と交際していたことを否認しています。ただし、やや挙動不審で怪しい部分は存在しますが」
「それでどうなったんだ?」
斎藤は首を振った。
「残念なことにこの男にもアリバイがありました。事件当時、彼は臨時の出張で大阪にいたんです。当日に入った急な出張で、本人も予測できないものです」
「これも完璧なアリバイだな」
「この二人が有力容疑者だったんですが、両者ともにアリバイが成立し、さらに捜査範囲を広げました。結果、被害者が最近帰宅途中に誰かの視線を感じていたことが同僚の証言でわかり、以前彼女にストーカーをしていた木坂丙也というコンビニ店員の男が浮かび上がりました。ですが、この男は彼女に以前訴えられた以降改心して今はストーカーなどやっていないと主張し、しかも事件当日江戸川区のコンビニでバイトをしていたという完璧なアリバイを主張しています」
「つまり、浮かんでくる容疑者全員にアリバイがあると」
「そうです。結局、全員アリバイのせいでどうにもならず、捜査は暗礁に乗り上げました」
「そこに第二の事件か」
「ええ」
斎藤は第二の事件に関する説明を始めた。
「被害者の瀬原憲吉は代々木で消費者金融会社を経営していたんですが、これがいわゆる闇金融というやつで、金銭に関するかなりの被害者がいたようです。それで彼を恨んでいる人間、平たく言えば顧客の取調べが中心となったんですが、何しろその数が多い。会社自体が個人経営で小さいとはいえ、名簿でわかるだけでもざっと三十人ほどいて、名簿に乗っていない裏の取引相手も含めると、現段階でも把握しきれていない客が多いんです」
「結果は?」
「名簿に載っている人物で、海外在住、殺人に走るほどの被害額でない等の条件を出して絞っていったところ、有力容疑者が三人ほど浮かびました。古美術商・松中龍太郎、アイムラ保険事務員・中屋裕子、旅行代理店「ウォークス」営業部員・横島宏一。以上三名が少なくとも瀬原殺害に走る可能性を十分に秘めた人物としてマークされたんです。ところが……」
「情報がマスコミに漏れた」
「ええ。人形や容疑者のことも全部漏れて、今言った三人にも激しい取材攻勢が起きました。結局、このマスコミ攻勢のせいで三人とも非協力的になってしまって……」
「アリバイは?」
「それはかろうじて。ですが、三人とも瀬原殺害に関しては何かしらのアリバイがありました。松中は静岡で開かれた古美術オークションに出席。中屋は複数の事務員とともに残業。横島は沖縄に出張中です」
「平目殺害に関しては?」
「松中は自宅に一人でいたということでアリバイはありませんが、他の二人にはアリバイありです」
「平目に関する容疑者たちは?」
「一応調べました。浜沢は自宅にいたといってアリバイがありません。ですが、残り二名に関してはアリバイありです。片町は今度は北海道へ出張。木坂は相変わらずのコンビニバイトです」
「なるほどね」
榊原はメモにいろいろと書き込んでいる。
「結局、この三人以外の容疑者も調べましたが、あまり進展はなく、情報漏洩の件もあってまたしても捜査は暗礁に乗り上げました」
「それで今回の事件か」
榊原はペンをしまうと、メモを見直した。
「連続殺人の場合、このアリバイがネックだな」
「ええ。一件でもアリバイがあったらその時点で容疑者圏外ですから」
榊原はメモを見ながら何事か考えている。
「何かわかりますか?」
斎藤の問いに対し、榊原はしばらく考えた後、
「今まで容疑者に浮かんだ人間の、今回の事件のアリバイが知りたいな」
と言った。
「今、新庄が確認しているはずです」
斎藤はそう言うと、一度確認するために携帯をかけた。榊原はその間も考え続けている。
「わかった。ありがとう」
やがて斎藤は電話を切った。
「アリバイ確認取れました。平目殺害の容疑者三人に関しては、片町のアリバイがありません。他の二人はアリバイありですね。浜沢は今日から港区で行われるイベントの準備に徹夜で追われていて、木坂は再びコンビニのバイトです。瀬原の容疑者三人に関しては、寝ていたという横島を除き、徹夜で麻雀をしていた松中と、有給を取って友人三人と長野旅行中の中屋にはアリバイありです」
「なるほど」
「志賀に恨みを持つ人間の捜査はこれからですので、現段階ではわからないとのことですが……」
榊原はアリバイをメモに書き込むと、何事か考え続けている。
「どうでしょう。何かわかることがあれば教えていただきたいのですが」
榊原は答えない。そのまま考え続けている。このような状態のとき、榊原の頭が高速で回転しているのを知っている斎藤は、そのまま黙って榊原を待った。
十分くらいしただろうか。榊原は不意に顔を上げた。
「推測でよければ……」
榊原はそう断ってから、
「推測でよければ、一つ考えられることがある」
と告げた。
「それで結構です。参考にさえなれば」
「そうか。わかった」
榊原は座りなおした。
「もう一度言っておくが、これは推論だ。あくまで可能性に過ぎず、証拠は何もない。何しろ、ややとっぴな考えだからな。ただ、これでつじつまが合うことも事実だ。その点を肝に銘じてほしい。決してこの推理だけを鵜呑みにするな」
「わかりました」
「じゃあ、始めるか」
榊原は推理を開始した。