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《遠く離れていても信じられる》


 ある日の午後のティータイム。


「遠距離、ですか?」


 穏やかな時間が流れる中、タクトとハルルは二人でのんびりお茶をしていた。

 アヤは、いつものように城下町へ出てしまっているため、不在だ。

 会話は、ハルルの唐突な質問から始まった。


「そう。不安にならない?」

「まぁ、違う意味で不安ですよ」


 タクトは、ハルルが尋ねてきたこととは違う意味で答えた。ハルルが何をしたいのか、質問を投げられた時点で判ったため、苦笑いを浮かべている。


「あれ? そうなの?」

「えぇ。てか、何で残念そうにするんですか」


 ハルルの声が少し残念そうだったことに気付いたタクトが、少しだけ表情を曇らせて言う。


「いや、二人のことは応援してるよ?」

「知ってます。でも、残念そうにしていたのも本当じゃないですか」


 呆れたように言い、小さな溜め息を吐く。


「気のせいだよ」


 タクトが呆れていることを気にすることなく、ハルルは笑って答える。


「まぁ、いいですけど」


 ハルルがそうやってごまかすのはいつものこと。何度同じ質問をしても無駄だということを知っているタクトは、早めに問い詰めるのを止める。

 それに、タクトには、どうせハルルがただ面白がっているだけだということが判っていた。


「でもさ、本当に心配じゃないの?」


 再び尋ねてくるハルル。


「悪い虫がつかないかって?」


 今度は、ハルルが聞きたい方の意味を言う。


「そう。違う意味で心配なのは判るけど、そっちの意味でも不安にならないの?」

「なりませんよ」


 即答だった。


「随分と自信をもって答えるんだね」


 ほんの少しだけ、つまらなさそうにハルルは言う。

 タクトは、それを無視して答えた。


「信じていますから」

「それだけ?」

「判ってて聞くんですか?」


 呆れたように尋ねるタクト。


「いいじゃない」


 それに対して、ハルルは悪びれもせずに笑って答える。


「まぁ、いいですけど」


 再びタクトは早々に手を引いた。


「ただ信じているだけじゃ、ないでしょう?」


 それではあまりにも不安定すぎるのだ。


「知っているだけですよ」


 タクトは優しい声で答えた。

 ハルルも、何を、とは聞かなかった。聞けなかった、と言った方が正しいかもしれない。

 タクトが、愛おしいものでも見るような、とても優しい表情を浮かべて、ふっと視線を下に向けたのだ。

 その様子を見ていたハルルは、何も言えなかった。

 それに、ハルルもその答えを知っている。


「だから、信じられるんです」


 タクトはハルルの方を見て、綺麗に笑った。



Fin.


…ひとやすみ…

この話は、お題を見てすぐに浮かんできました。

遠距離恋愛をすることになったらどうするのか気になったハルルが、面白半分にタクトに尋ねる話です(笑)

曖昧な感じに書いてしまったので、詳しいことは判りづらいと思います。今回は、雰囲気で書いたようなものですから←

というわけで、ちょっと説明をつけておきます。あくまで、私の考えです。

時間のある方、気になる方は読んでみてください。


ハルルが残念そうにしていたのは、タクトのことをからかえなくなったからです。ハルルは、少し?人で遊ぶような性格をしているので(笑)

それから、最後。タクトとハルルが知っていることとは、アヤが淋しがりやであること。他人にはあまり心を開かないし、ちゃんと開いているのは、今のところタクトとハルルくらいしかいない。そのため、誰かに心移りする可能性が低い、ということです。


ここまで読んでくださり、ありがとうございました(*^^*)



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