0501
惹かれたのは、君の笑顔。
《泣いてほしくない、だから笑って》
明るく笑う君は、まるで太陽のようで。いつも周りの人に元気を与えている。だから、周囲の人はいつも笑っているのがアヤだ、と思う。そういう人が多い。本当は、違うというのに。
アヤは人前で弱っている姿を見せようとしないから。特に、あまり心を開いていない人の前では。
辛くても、作り笑いでごまかしてしまう。そして、一人になった時にそっと涙を流す。
月夜に見かける、一筋の雫。それはとても綺麗だけれど、哀しくて。だから、アヤのその姿を見ると、綺麗だと思うと同時に、あまり見たくないと思う。その時のアヤは、いつも独りでいることを知っているから。
今も、そうだ。
月明かりが差す中庭で、一人真上の月を眺めている。涙は零れていないけれど、心の中ではないている。
「アヤ……」
ゆっくり近づきながら声をかける。
「あ……」
「話したくないなら、何も言わなくてもいいよ」
そう言いながら、そっとアヤを抱きしめる。少しビクッと肩が跳ねたが、驚いただけだろう。すぐに身を寄せてきたから。
「だから、独りになろうとしないで」
独りになると、余計に傷つくのだから。
無言でキュッと僕の服を掴むアヤは、まるで甘える子供のようだった。
――泣いてほしくない。
君の笑顔が見たいらから、僕は優しく声をかける。――
Fin.
…ひとやすみ…
プロットの段階から短かったので、執筆しても短くなってしまいました。
少し、シリアス?
ほのぼのは、もう少しお待ちください。といっても、いつ、ほのぼの系を書くのかは未定ですが……。
H25 3/11