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10/11

0901

《来年もその先もずっと一緒にいてくれますか》


 あと数日もすれば、長いようで短かった一年が終わる。

 この国も冬を迎え、毎日冷たい風が吹く。夜になれば辺りは暗い闇に変わり、昼間以上に冷えこむ。

 いつものように居間でくつろいでいると、先程まで見えていた姿がないことに気が付いた。この部屋の扉が開いた音はしなかった。もしや、と思いバルコニーの方に目をやると、外に黒い人影があった。

 バルコニーへ続くガラス戸を開けると、冷たい空気が入りこんできた。あまりの寒さに身をすくませ、外にいる人影、アヤを見た。


「アヤ? 身体が冷えるから中に入りなよ」


 いつ外に出たのかは知らないが、コートもマフラーもつけていないままでは風邪をひいてしまう。


「うん。でも、もう少しだけ……」


 心配して声をかけたのに、返ってきたのはもう少し外にいたいという言葉。

 何がアヤを引きとめているのか、気になって外に出てみる。アヤの隣に立ち、同じように空を見上げた。

 広がる星空に、思わず息をのむ。月のない夜であることも手伝って、いつも以上に星が明るく輝いているように見えた。まるで、秘密の宝石箱の中を見ているような感じがした。


「綺麗、だね……」

「……うん」


 長い間だったのか、少しの間だったのか。吐く息が白いことも、時間さえも忘れて夜空を眺めていた。それほど、静かな時の流れが心地好かった。


「……ねぇ」


 ふと思いついて、口を開く。

 すると、アヤは何も言わずに顔だけを向けてきた。


「来年もその先も、ずっと一緒にいようね」


 空を見上げたまま口にすると、優しい声で頷きが返ってきた。

 少しすると、右肩に重みを感じた。横に目をやると、すぐ近くにアヤの頭があった。思わず口元が緩む。

 そっとアヤの肩に手を乗せ、少しだけ自分の方に引き寄せる。

 驚いたのか、一瞬だけ顔を上げてこちらを見てきた。しかし、すぐに先程と同じように頭をのせてくる。

 流れる時間は、とても穏やかで。

 今の、この幸せな時間がいつまでも続けばいいのに、そう思った。


fin.



H10/7

…ひとやすみ…

 とりかかった時期から完成までに時間がかかってしまいました。一応、ほのぼののつもりでいます。

 大切な人に出会って、ようやく一年が経つって感じでしょうか。来年だけでなく、その先もずっと一緒にいたいのはタクトもアヤも同じ気持ちだと思います。


 というわけで、これで10のお題シリーズは終了となります!

 難しいお題もあって大変だったこともありました。ですが、いろいろな話を書くことができたので良い体験になったかと思っています。そして、とても楽しかったですv 機会があればまた挑戦してみたいと思っています。


 最後に、最初の話の「ひとやすみ」で提示したちょっとした仕掛け、判りましたか?

 この話でこのシリーズは終わりとなりますので、「たねあかし」ページを開いておきますね。



 それでは、最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。

そして、更新はゆっくりまったりになってしまいましたが、これからもよろしくお願いします!


H25 10/7  夜音沙月

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