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僕たちの完全犯罪  作者: 中村冬雪
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第一話

高羽大翔は焦っていた。

高羽がいつも通り学校についたとき、明らかにクラス中が騒がしいことにすぐに気づいた。聞きたくもなくてもすぐにその原因は耳に入ってくる。


「古典の大倉先生が、死んだらしい」


それを聞いた瞬間、高羽は立ち上がり別のクラスへと向かった。

教室に入る前に、中にいた北原征矢と目が合った。北原は友人との会話をやめ、すぐに立ち上がり廊下に出てきた。


「大倉先生の件、聞いた?」

「当たり前だ、こんだけ噂になってる」

「…どうする?」

「…どうするも何も、放課後また集まって話すしかないだろ」

「あのメンバーで?」

「それ以外に何があるんだよ」

「わかった」


北原はすぐにスマホで連絡をした。

『放課後、2-A教室に集合で』


「これでいいだろ、今は話せない。あとは放課後な」

「…わかった」


放課後になり高羽は2-A教室に入ると、すでに北原征矢、東美羽、宮本結衣、成本樹、奥野莉子の5人は集まっていた。


「遅かったな」

「ごめん、うちだけホームルームが長くて」

「まぁ、とりあえず座れよ」


しばらくの沈黙のあと、北原が話を切り出した。


「なぁ、大倉先生が死んだのは聞いただろ。…しかも発見場所は体育備品倉庫だって」

「…」

「俺たちが昨日話してた、完全犯罪のプランと同じだ」

「…」

「だから…」

「つまりお前が言いたいのは、この中の誰が大倉先生をやったのかってことだろ?」


成本がぶっきらぼうに言い放った。


「言っておくが俺じゃないぞ」

「俺だって…!」

「私も…やってない」

「私も」

「私だって」

「僕もやってない」

「…じゃあなんだ、誰がやったっていうんだよ。この中の人間以外であの方法を思いついて実行したやつがいるってのか?」

「…事故って可能性も」

「事故なわけないだろ? なんで俺たちが考えた方法と全く一緒の死に方をしてるのに、事故だなんて言い切れるんだよ」

「でもなんで…」

「知るかよ」


成本はため息をつきながらそっぽを向いた。

東がそれを見ながらつぶやいた


「…私たちどうなるんだろう」

「どうなるってのは?」

「…もし、警察が事故じゃなくて殺人だと疑って捜査を始めたら?」

「それは…」

「ずっとそれが不安だったの。…調べたら、共謀罪とか、殺人ほう助とかになるのかもって」

「どういうこと?」

「…ここにいる人、全員が捕まる可能性があるってこと」

「ふざけないでよ!」


宮本が立ち上がる。


「そんなの納得いかない…関係ないのに!」

「関係ないはないだろ、お前だって昨日楽しそうに考えてたじゃんか」

「だからって…」


また沈黙が流れる。

言いにくそうに、奥野が話しはじめる。


「ご、ごめん。このあとバイトがあって…行かないと」

「行ってる場合かよ!」

「でも…」

「…しょうがないだろ」

「この状況だぞ?」

「…ここで今話しても、解決しないだろ」


成本は舌打ちをする。


「…とりあえず、みんな何もなかったようにこのまま過ごすしかないんじゃない?」


高羽の言葉には誰も返さなかったが、沈黙が同意だった。

申し訳なさそうに奥野がまず帰り、そのまま全員はゆっくりと別れた。



前日の放課後、6人は古典のグループワークで2-A教室に集まっていた。


「てかダルすぎ、なんで古典でグループワークなわけ」

「そんなこと言ってもさ、しょうがないじゃん。とりあえずやろうよ」

「美羽は優等生すぎ」

「そんなんじゃないけど…」

「ていうか大倉マジでキモいよな」


『どうやったら大倉先生をバレずに殺せるかな』


「え、何それ」

「確かにあいつ死んだ方がいいけどさ~」

「完全犯罪ってやつ?」

「いいねー、面白い」

「それ考えようぜ」

「でもどうやんの?」

「…一番自然なのは、事故に見せる感じだよな」

「事故ね…」

「首を絞めて、そのあと自殺みたいに見せるみたいな?」

「それだと首絞めないといけないし、あと首を絞めた向きとか調べられるらしいよ」

「そうなんだ」

「屋上から事故に見せかけて落とす?」

「どう屋上に連れ出すんだよ」

「今の時期なら雪で助かるんじゃない?」

「…案外難しいね」

「…一酸化炭素中毒とかは?」

「一酸化炭素中毒って?」

「火が不完全に燃えると出るガスだよ。練炭自殺とかさ、密閉空間で燃やし続けると人が死んじゃうんだ」

「って言っても練炭燃やした部屋に閉じ込めるの難易度高くね?」

「まぁな…」

「燃やすってなんでもいいの?」

「うん、そのはず」

「じゃあストーブとかでもいいわけ?」

「あー、石油ストーブとかも密閉空間で使うなって言われてるよね」

「石油ストーブある密室に閉じ込める?」

「石油ストーブある密室ってどっかあるかな」

「…あ、あるぞ」

「え、どこ?」

「体育備品倉庫」

「あんなボロいとこにあんの?」

「うん、確か小さいストーブがあったはず」

「でもどう密室にすんの? ていうか閉じ込めないといけないじゃん」

「入った瞬間、雪で埋める?」

「屋根から雪落ちてきてドア開けれずに閉じ込められる的なのはあるかもな」

「さすがに事故に見せかけるのむずすぎない?」

「うーん、ボロいし、ドアノブが取れた感じにするとかは?」

「案外いいかもな、事前にドアノブのネジゆるめておけばいけそう」

「閉じ込められたら、ストーブはつけるよね」

「この気温だぞ、つけないわけない」

「あとはストーブが不完全燃焼して一酸化炭素が出てくれるのを待つだけか」

「体育備品倉庫に行く瞬間ってあるかな」

「確かに」

「そもそもの話か」

「あ、先生が帰るときに、一通り学校内の施設を見回ってるはず。一応生徒が残ってないか見回るためにも」

「それで倉庫にもいくのか」

「じゃあそこで倉庫に入ったときに、ドアノブが壊れるってシナリオ?」

「…ありだな」

「決まったじゃん」

「完全犯罪だな」

「これまとめて提出する?」

「自分が殺されるシナリオを?」

「いいじゃん」

「いい加減にそろそろ再開する?」

「めんどくせー」

「まぁやろうよ」


そうして古典のワークを再開し、6人は別れた。

そして次の日、体育備品倉庫で古典教師の大倉が一酸化炭素中毒で亡くなっているのが発見されたのである。

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