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何度目かの人生の挫折

作者: Hiro

俺はこれまで何度も挫折を経験してきた。

それは理不尽なものもあれば、自業自得のものもあり、原因は様々だ。

不器用で歪な形ではあったかもしれないが、俺なりのやり方で乗り越えてきた。


2024年10月末、俺はまたしても挫折を味わった。

今振り返れば、当時の状況はいつ転んでもおかしくないものだったと、ようやく危機感を持つことができる。


初めての社会人生活ということもあり、「気持ちで乗り越えよう」と自分に言い聞かせていた。 俺の今の気持ちは、甘ったれた言い訳のようなものだと押し殺しながら進もうとしていた。


俺が挫折した原因を一言で表すなら、「軽んじていた」だ。 人や仕事を軽んじていたわけじゃない。 俺は、自分自身の弱さを軽んじていた。


どんなものでもいいから、今の自分や環境に納得できる理由が必要だった。

道が逸れそうなら、阻止しなければならなかった。

今あるものを変えられないなら、新たに作り出すべきだった。

それが社会で生きること、大人になることだと、自分に言い聞かせてはいけなかった。

ご飯でも愛でも推しでも何でもいいから“好き”を大切にするべきだった。

「俺なら何とかなる」そんな慢心を持ってはいけなかった。


社会や環境に無理に合わせるのではなく、 自分が納得できる環境や理由を胸に生きることの方が大切だった。 少なくとも、俺にとっては。


12歳から真っ当な人生を送ってこなかった俺が、 20歳になって急に真っ当に生きるのは、そりゃ難しいよな。

働く環境も、今思えば踏ん張れる理由が何一つなかったな。

SESに就職したが、ITとはまったく関係のない仕事に無理やり飛ばされ、自社の先輩社員は誰もおらず、周囲は40代以上の人ばかり。 ルーティンワークの「ル」の字すらない業務をこなしながら、 管理職まがいの仕事まで覚えることを要求された。 テスターですらなく、事務的な仕事でもないどこにも活かせない仕事だった。


そんな環境でも、辞める直前まで元気に腐らず取り組めたのは、 自分でもすごいと思う。 その代償として、一つのきっかけで心を壊した。


あの日から今日まで、俺は放心するように生きてきた。

だけど、最近ようやく過去を振り返れるくらいにはメンタルが回復してきた。 資格も一つ取った。 何もしないのが怖いという理由で。


挫折を乗り越えるために培った無謀な前向きさが、 いつしか自分の首を絞めることになった。


これからは、自分の弱さを軽んじないように。

そして、生き長らえてもいいと思える“何か”を、見つけられたらと思う。

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