第拾話 過去の契約
『僕は転生してこの地、この世界に来た時に思った
"ここは知っている"と、、、、、』
『、、、、、けど、このことはもう忘れよう
"俺"は捨て"如月紫餡"として今ここにいるのだから』
『、、、、、でも、本当に過去を"過去のもの"にしてしまっていいのか???』
前回甘たちはシーシャの能力によって優先すべきとされた妖狐との契約を
効率化そして自動化できるように"種族制限転送装置"を作り、たまたま街に入るための
条件を説明しに来てたクウカの守衛たちがそれを村に置きに行ってくれた
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『、、、、、』
《僕はいつも思っている、、、、
いつもみんなは僕の周りの人のことを見ている
僕には一切興味を示さず
僕の周りはキラキラしていてアイドルみたいで主人公みたいで、、、、
それと違って僕はいつも蚊帳の外で前世でも魔族学校で忌み嫌われ
いじめの対象はいつも俺だった》
《、、、、でも唯一、前世ではガープとジマミイ、今では
甘が支えてくれてる仲間となってくれてる》
『恵まれてるなぁ、、、、』
「ん?急にどうした」
『あ、声にでてた?』
「ああ」
『ごめんごめん、ちょっと考え事してただけ』
「そうか
妖狐の街に行くか悩んでるのか?」
『やっぱりバレてるか〜』
「、、、、、、」
『ちょっと用事があったことを思い出してね
それを優先するべきか今の面倒ごとを片付けるべきか』
「、、、その"用事"とやらを優先していいんじゃないか?」
『いいの?
でもそうしたら妖狐の街の件はどうするの?』
「あれくらいの仕事俺一人でもできる
お前はそれが終わってからでいいから先に済ましてこい」
『わかった
ありがとう、、、 (ボソッ)』
そうして紫餡は部屋を出て行った
「感謝するほどか?、、、」
そして紫餡が村から出ようとした時、、、
『あれは、、、
お〜い、テト〜』
[ん?あ!シーちゃんだ〜
ちょうどよかったよ、少し話があったんだぁ
ところで今からどこか行く予定なの?]
『うん
ちょっと"魔界"に用があって』
[あー、、、、今はあまり行くことはお勧めしないよ]
『"魔王の暴走"でしょ』
[え、、、なんでそれを]
『それは秘密
まあ、少し見に行って帰るだけだから安心して』
[まあ、それならいいけど、、、]
『それで話って?』
[ああ、前に吸血鬼族族長の使いが来てたでしょ
その時の契約内容覚えてる?]
『うん
僕たちのお願いを聞いてもらうついでに吸血鬼の街の自然も
良くしてもらうようお願いするってやつでしょ』
[うん
それなんだけどね]
途端、空気が凍りついた
[後で呪莉にもいうんだけど今日の深夜に何者かが自然結界を破壊して
ある精霊の家族がその何者かに殺されてたんだよ、、、、
"羽をもがれて"ね]
『そう、、、か、、』
[まあ、その報告だけだよ]
『そっか、ありがとう』
[それじゃ、魔界に行くなら気をつけてね]
『うん、じゃあね』
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魔界にて、、、、、、
『ここに来るのは何百年ぶりだろう、、、、
澄んだ空気、一日中差し込む魔力循環型太陽、そして何より
この"他の世界の魔界"とは全く違う草木が蔓延るこの土地!
まあ、そんな懐かしみに浸るのは暴走を止めてからかな
んで、さっきから後ろをついてきてる君は誰?』
〔エ、気づいてたの、、、〉
『まあ、、君さっきから転けそうになっては魔力が出て、虫に驚いては魔力が出て
って感じで魔力が漏れ出しまくってたからね』
〔ああ、、、、またやっちゃった、、、
これでもお父様とお母様は魔王なのに、、、、〉
『ヘ?、、、君ってなんて言うの?』
〔僕?僕は"エレフセリア・フォス・ジミマイ"だけど、、、、〉
『エレフセリア、、フォス、、、"ジミマイ"、、、、、え、、、
"ジミマイ"!?
じゃあ君の親って、、、、』
〔僕の親?
僕の親は《ジミマイ』お母様と(ガープ〉お父様だけど、、、、〉
『マジ!?あいつら結婚したのかよ!なんで俺に伝えてくれねぇんだよ〜』
なんとエレフセリアは南北の魔王の子であったのだ
〔お父様とお母様を知ってるの?〉
『知ってるも何もあいつらと俺は切っても切れんような関係やからな』
〔お父様方の友人だったんですね
尾行などという無礼を働いたこと申し訳ないです〉
『いいよいいよ
ところで君の両親は今どこにいるかってわかる?』
〔分かるけど、、、
行くんですか、、、?〉
『ん?もちろんだ
あの契約は死んでも続くからな』
〔あの契約?〉
『あいつらから聞いてないのか?』
〔あー、、、僕は生まれた時からお母様とお父様は暴走してたみたいで
一度も会えてなくって聞く機会がなかったんだ〉
『あ〜そうだったのか』
その時一つの疑問がよぎった
『え、じゃあなんで城の場所を知ってるの?』
〔それは僕を育ててくれた無価値乃邪さんが教えてくれたんだ〉
『あ〜だからかそれなら君の性格にも納得がいく』
無価値乃邪とは別名ベリアルと呼ばれている元天使であり、
その姿を今もなお保ち続けている唯一の悪魔だ
その容姿から"悪魔たちの指導者(お母様)"という二つ名も持っている
〔それで、あの契約って何?〉
『歩きながら話そう』
それから紫餡とエレフセリアは城に向かいながら
契約のことや三人の関係について話していた
〔へ〜紫餡さんとお母様とお父様はそんな関係だったんだ〉
『ああ、そうだな』
そんな会話をしつつ数十分歩いているとエレフセリアが歩みを止めた
『どうした?』
〔着いたよ〉
そういった周りには紅野が広がっていた
『え、何もないように見えるけど』
〔まあ、そんなデカデカと立ててたら侵略されやすいからね〉
そういうとエレフセリアは構えた
〔"隠蔽:開示"〉
すると目の前に赤黒いレンガで建てられた城が現れた
『おお、、、、これまた立派な、、、』
〔立派だよね
僕はここからはいけないから頑張ってきてね〉
『え、どうして?』
〔僕がこの家の周辺にいるときは能力相殺が
起こってこの家が外から見えちゃうんだ〉
『そうなのか、じゃあまた後でね』
〔うん、また後で〉
そして、紫餡とエレフセリアは別れた
同時に魔王城も姿をくらました
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魔王城入り口にて、、、、、
『これは、、、印?』
入り口には四つのチェーンと釘で止められたような封印が施されてあった
『、、、、気配から察するに魔王に匹敵する魔物が北東、北西、南西、南東
に一匹ずつとその周りに愚怒種の魔物が二匹ずつ、
壁群種の魔物が五匹ずつって感じかな
そして目の前には四つの釘ってことはこの四方にいる
魔物の場所に解除用の何かがあるってことか』
《にしても、この気配どこか見覚えが、、、、、
まあいいか》
『さてまずはどの方角にいくか、、、ん?』
“「ザ、、ザザザ、、、ザ、、ザ」”
その時脳内にノイズ音が響いた
そして次の瞬間声が響いた
“「、、、い、、おーい、聞こえるか?」”
『呪莉!?』
それは甘の声であった
“「おお、やっと繋がった
さっきまでなんかしらの力で通信ができなくなっててな」”
『いやそれ以前になんでテレパシーが使えるの』
“「それは前、お前に首輪あげたろ
あれに通信石をつけてたんだ」”
『ああ〜、あの時にくれた』
そう、紫餡はここ(魔界)に来る前に甘にある
赤黒い石のついたブレスレットをもらっていたのだ
“「それはともかく、東北からいけ」”
『それってどういう、、、』
“「やべっ、こっちも今ちょっと大変でな
また後でかけ直す」”
『わ、わかった』
そして、テレパシーが切れた
『、、、まあ、じゃあ東北の方から行くか、、、
あとせっかくだからあの姿になっていくか』
その時、紫餡に雷のようなものが振り紫餡の姿が変わった
それは女性の人の姿に見え、背中から黒紫の翼が生え
手には獣のような爪が生えている
『まさかこの姿になれるとはね
ここ(転生した世界)にきてすぐの時にテトがくれたこの腕輪、
これが“転生前の姿”になれるって聞いた時は驚いたよ』
そうこれはまだ紫餡がここに転生し、呪莉が目覚める少し前のこと、、、、、
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転生してすぐの時にて、、、、
『、、、、、ん、、まぶしっっっ、、、
ここはいったい、、、、』
《周りは途方もなく続く草原と所々にある木のみ
そして隣には寝ている呪莉》
その時目の前に赤と黄金色の丸いポータルが現れた
そしてその中からテトが出てきた
『テト!?』
[えへへ、驚いたぁ?]
『え〜!本当にテトなの!?
久しぶりじゃぁん!』
[久しぶり〜
まあ時間がないからこれだけ伝えとくね]
『なになに?』
[今からシーちゃんはこの腕輪を腕に嵌めてから
このことを忘れてある人間を倒した後に思い出す
そしてシーちゃんはこれまで生きてきた姿を支えるようになるよ]
そして、テトは僕にこれまた黄金色の腕輪をくれた
『わぁぁ〜情報が多すぎて整理できないけどとにかくこれを腕に嵌めればいいんだね』
そしてそれを嵌めた途端紫餡は身体中の力が抜けたように倒れた
[また後で会おうね、、、、]
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そして鬼人の街に着き一旦休憩中の時、、、
《ああ〜、思い出した
なんでこのタイミングで思い出したんだろう
少しラグが生じるのかな》
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そして今に至る、、、、
『まあこの姿なら他のものたちも見覚えがあるだろうし、あいつらもわかるだろう』
そうして紫餡は東北にある気配へと翼を広げ向かった
こうして暴走している元友達の元に会いにきた僕であった
これから何が待ち受けているのかたのしみだ
さて、第二主人公視点の物語の開始です
これからどのようなことが起こるのか、そして紫餡の前世の姿とはいったい、、、、