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半泣きの幼児を可愛いと思うのはサドっ気があるのでしょうか

作者: 音乃 響

 日頃会社と家との往復が中心で友達と出かけることも少なく、旅行だとかイベントに出かけるのも億劫に感じる引きこもり人間の私にとって、スーパーやコンビニですれ違う人たちは希少な人間観察の機会となっています。

 

 まさかどんぴしゃで同じ空間にいた人がこのエッセイを読んでいるとは思いませんが少しだけ脚色してこの間面白かった人間模様を紹介したいと思います。


 近所のスーパーでのこと。日曜の午後ということもあって子連れのお客が多く、子供が乗るカートもたくさん通路を通っていました。

 そこでは子供用カートが二種類あって、かごを置く手前、ハンドル部分に座らせるタイプと、自動車型と言うか子供が足元に乗り込んで上にかごを置くタイプのカートがありました。

 いやその体制無理あるやろと突っ込みたい位身体を折り曲げて乗り込む子供や窓にあたるところから上半身乗り出して乗り込んでいる子供やら、色々アクロバティックな姿勢を日々見せてもらっております。


 そこで通路でお母さまが似たような商品を比較するため立ち止まり両手に商品を持ち見比べておりました。にこやかに乗り込んでいたお子様がドアを開けて通路に身体を進め、ハイハイし始めたんです。

私はその通路に入り込もうとしている状態だったので、良い笑顔のお子様が楽しそうにハイハイするのを目撃しました。

 しかしながら天気は小雨。そこは清掃の外注さんが常時巡回しているので結構きれいな状態の通路なんですけど、それでもハイハイするには向いていない状態。

 お母さまは商品に集中していたらしく気が付いていません。駆け寄ろうかと思った瞬間、そのお子様は別のカートを押しながら商品を眺めていた老婆にぶつかりました。

 背後からぶつかられたので、一瞬老婆が転ぶのではないかと思ったのですが、強く当たった訳ではないらしく、事なきを得ました。

 びっくりして老婆を見上げるお子様。その雰囲気にやっとお子の脱走に気が付いたお母さま。

 駆け寄ろうとしたお母さまが見えたので私はその場で傍観。


 きょとんと老婆を見上げるお子様に老婆はにっと笑って顔を少し近づけ――カートをしっかり持っているのですごく至近距離までは近づけない様子でした。

「おばあに若さ分けてもらおうかねぇお母さんから離れたんだから構わないよねえ」

 と、魔女の様に声を掛けました。


 お子様は目を真ん丸に見開いた後、すばやく方向転換してお母さまの方へハイハイで戻りお母さまの足にしがみ付いて立ちがると抱っこをせがみびええと泣いております。

 お母さまはぺこぺこと老婆に謝り、老婆はいいのよ~と言う風に手を振りお子様とは逆方向へ立ち去りました。


 帰宅して母に話をすると、これに懲りてカートから脱走しないようになれば良いねと笑っていました。

 私もあのお子様が魔女に対する良い意味での恐怖を覚えて人込みで保護者から離れない様に成ればいいねと思います。

 びびってびえびえ泣くお子様は可愛いのですが、子供に取ったら大人に笑われて可哀そうではありますよね。

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― 新着の感想 ―
[一言]  “泣き相撲” なんてのが日本全国にあるくらいですからギャン泣きしても幼児はカワイイのが共通認識?  まぁ年齢が限られますけど。
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