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ヲタッキーズ135 ヒロイン活躍促進法

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。


ヲトナのジュブナイル第135話「スーパーヒロイン活躍促進法」。さて、今回は環境テロリストが動物実験施設を襲撃、現場で教授が死亡します。


犯人を追うヲタッキーズの前に、スーパーヒロインの為の法制定に必要なデータを得るため、極秘に動物実験を繰り返していた組織の存在が浮上して…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 環境テロリストの肖像


笑いながら、キャンパスを走り抜ける陽気な覆面男女。

笑顔はピエロの仮面だけと思ったら本人達も笑ってるw


自撮りしながら動物の鳴き声が聞こえる校舎へ。


「我々は"FA(フリーアニマル)"。罪のない動物達の命を救いに来た!」

「急げ、時間がない。爆破スル前に動物達を解放スル」

「さぁ、早くお逃げ!」


覆面男女は、大小様々なケージが解放して逝く。


「犬、猫、猿、やや?鳥もいるぞ?」

「そら、早く逃げろ!」

「貴方達は、みんな自由の身よっ!」


大小様々な動物が逃げ出す。覆面男女はスプレーで監視カメラを吹き壁に"虐待反対"と描く。その足元を子犬が走る。


「コレでお前も自由の身ょ。あらん?なぁに?」


子犬が覆面女の足にじゃれつく。


「さ、おいで」

「何してる?行くぞ!」

「待って。この子が…」


仔犬を抱き抱える覆面女。次の部屋に飛び込むと、ソコには膨大な数のラッツがケージの中で惰眠をむさぼっている。


「虐げられた動物達。彼等には自由がない。今、我々"FA"が全てのラッツを解放スル!」

「教授どもが君達を薬漬けにする前に!」

「おい、ネズミギロチンだ!」


別名"悪魔の道具"を床に叩きつけて壊す…その時!


「誰だ?おい、何してる!」

「動物達の虐待をヤメるのょ!」

「お前達こそ、バカなマネはヤメろ!」


ヒョロ長い人影。大学関係者?振り向いた覆面女の目から青い光線がほとぼしり出て"教授"の痩せたカラダを貫くw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。"潜り酒場(スピークイージー)"。


御屋敷(メイドバー)のバックヤードをスチームパンク風に改装したらヤタラ居心地良くて常連()が沈殿。メイド長(ミユリさん)はオカンムリだw


「エアリ、ちゃんとカードを切った?」

「ミユリ姉様、私のせいにしないで」

「ソレで最後にしてくれ。ピザが焼けたから」


ポーカーテーブルにダッジオーブン片手に割って入る僕。


「確かにミユリ姉様の御指摘どおり、カードをランダムにするには、最低5回切る必要がアルわ」

「そのランダムってマルコフ連鎖の意味でのランダム?」

「とりあえず、7回切ったからFAPPね」


スマホからオンライン飲みをしてるルイナが割り込む。彼女は、いわゆる超天才ナンだが…何?ランダム?機動戦士か?


「エアリとマリレは未だ?」

「存じません。私、また5倍にするわ」

「それじゃ5倍、20枚レイズ」


ミユリさんは突っ張ってるw


「姉様、どーせ弱い手でしょ…コール」

「クイーンの3カード」

「あのね、スピア。貴女のポーカーフェイス、大っ嫌い!」


ムキになってるミユリさんに萌える。僕も混ざろうかな、と思った矢先にエアリとマリレが戻る。2人ともメイド服だ。


「ビール買って来たわー。テリィたんには、パーコレーターで淹れたアイスコーヒー」

「ゲームは?」

「姉様を特訓中」←


ミユリさんは渋い顔←


「私も参戦しようかな」

「みんな、手作りのピザが焼けたぞ」

「1切れもらうわ」


スマホが鳴る。誰かと思ったらスマホの中のルイナだw


「大学のロマナからだわ…ネルンが研究室で襲われた?」

「どなた?」

「アキバ工科大学の生物学教授」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アキバ工科大学の現場。駆けつけたスピア(ルイナは車椅子で相棒のスピアが現場に出向くw)に自己紹介するロマナ。


「私は免疫学者で、鳥インフルエンザを研究してます。しかし、信じられないわ。ね、ルイナ?」

「私も何回か教授会で会ったわ。リモートでだけど。ココが彼女の研究室なの?」

「YES。緊急時は、お互いに連絡が入るシステムょ。私自身は、ネルンの研究室には入ったコトはナイけれど」


研究室の壁に落書きペイント。


"動物達に自由を!FA"


「FA?」

「英国サッカー協会?」

「ソレはFC」←


ソッと溜め息をつくスピア。


「落書き以外にも被害が?」

「実験動物が全て放たれた。致命的だわ。今後の研究に壊滅的な影響が出る」

「このケージ全部に動物が押し込まれてたの?」


研究室には空っぽのケージが並んでいる。

ロマナを先頭にして恐る恐る奥へ入ると…


「ああっ!出してあげて!」


ケージの中に…ネルン教授の死体w


第2章 革命の焔


万世橋(アキバポリス)に捜査本部が立ち上がる。


「昨夜、ネルン教授は遅くまで残ってた模様」

「専門はスーパーヒロイン達の心的外傷後ストレス障害PTSDです。ラットを使って実験してたようです」

「死亡した教授の外傷は全て表面的です。死因は、心臓発作か脳卒中」


頭をヒネるのは、万世橋(アキバポリス)の敏腕警部ラギィ。


「犯行中の死亡ね」

「殺人です」

「とりあえず、教授の死は伏せておきましょう。動物実験が原因かどうか見極めたい」


鑑識が透明ビニールに入った発火装置を示す。


「未点火の爆発物が見つかりました。ナパーム状のガソリンが入ってます」

「教授に見つかったから逃げたンですね」

「標的を変更した可能性もアルわ」


モニターにネット検索の結果が出る。


「コレは"アニマルライツ革命軍(FA)"のサイトです。今回の爆発物の作り方は、FAのホームページに出てるモノに酷似しています」

「FA?」

「過激な動物保護団体で、環境テロリストとして世界各地で動物実験施設への放火を奨励しています。世界的な地下組織のようです」


ラギィはウンザリ顔だw


「で、秋葉原支部はどーなの?」

「FAのサイトを見ながら、独自の行動をとっているようです。あ、SATOの姐さんがリモートで…」

「ラギィ。画像を消して」


スピアが入って来てスマホの小さな画像に映っているルイナ

を示す。本部のモニターに写っていた現場画像が消える。


「ごめんなさい。感情的になって。計画を立ててきたわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「それで捜査計画って?」

「環境テロリストの溜まり場から関連情報を探りたい。例えば、アキバ工科大学の研究や逃した動物の行方。ケージの中で見つかったネルン教授のコトとか」

「全ての団体を盗聴するの?」


ラギィが突っ込む。


個人情報検索(PIR)と言うプログラムを試してみる。キーワード検索に似てるけど、紛失、通信の技術を使ってる。例えば、希少なレコードを探すとスルでしょ。ボブ・ディランの2作目は波紋を呼んだ4曲が通常版ではカットされている。全曲中、最初の30枚だけね。でも、その価値をコレクターには知られたくない。先ず調査員を雇って、レコードを買い占めてもらう。そして1枚ずつ聞いて確かめるワケ。調査員達とレコード店は私の意図を知らないし、私は他の商品のコトは何も知らない。つまり、情報は共有されてない。ただし、唯一の例外がこのレコード。条件に合うデータしか見ない。犯人にもバレないハズょ」

「良くわかんないけど…合法なの?一応、私達警察なので」

「今のところ、この技法は未だ違法じゃないわ。幸い法整備が遅れてるから」←


幸い…なのか?


「OK。じゃ令状を手配スルわ。ルイナ、ネルン教授とは知り合いだった?」

「教授会で一緒だった。愉快な人でテリィたんみたいだった。でも、納得出来ないの。大学は象牙の塔だけど、こんなにも侵入者が絶えないナンて」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


動物愛護NGO。


「ウチの団体は暴力反対だ。FAと一緒にしないでくれ。いかなる動物にも乱暴を働かないコトを旨としてる」

「ご立派。で、他の団体はどーなの?そのFAとか?」

「本来、動物愛護活動家は人を傷つけない」


胸を張るNGO代表。


「昨夜は?」

「アレは間違いなくFAの仕業だ。過激な地下組織で、僕達とは基本線が異なる」

「メンバーの名前を教えて」


首を横に振る代表。


「昨夜の犯人なんて知らないょ」

「秋葉原の組織を知りたいだけょ」

「素人なのは確かだ。動物を助けたいなら、工場栽培の生命をこそ救うべきナンだ」


ラギィは聞き方を変える。


「FAのたまり場は?既に犠牲者が出ているし、貴方達も迷惑なハズょ。その、あの、同じ動物愛護団体として」

「地下アイドル通りのネットカフェだ」

「ありがとう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


亡くなったネルン教授と親しかったロマナと超天才ルイナは"教授仲間"だ。突然の不幸にリモートで意見を交換スル。


「ネルンはPTSDの治療法を探してた。今や戦場の兵士は、戦死より自殺で死ぬコトの方が多い。500匹のラットを犠牲にして自殺を防ぐ研究をするコトは価値がナイの?昨夜被害を受けた研究の中には、マラリア冠動脈疾患とかもアルんだけど」

「被害はソレだけじゃない。多くの研究者が萎縮してしまう。鳥インフルを早く解明したいのに研究者が命を狙われるなんて!」

「貴女の名前もFAのサイトに載ってたわ」


ロマナ教授の声は一段と高くなる。


「そーなのょ!もうアパートの前で2度も抗議デモがあった。動物虐待者ってね。車のフロントガラスも割られたわ」

「鳥を追跡するだけで?」

「FAは何もわかってナイ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


地下アイドル通りは、UDXが見下ろす裏通りだ。路面店のファミレスが潰れた後に居抜きで入った大型ネットカフェ。

いきなり個室が連なるタイプとは異なり、広々とした店内にはソファが散在。客は思い思いの格好でくつろぐ。お洒落。


「トイレは奥?ちょっと失礼」

「えっと今の彼女はラテ。私はモカチーノ」

「ウチ、豆乳しか使わないけどOK?」


ガムを噛みながら応えるツインドロップのピアス女子。


「いいわ。ネットのパスワードは?」

「ヴィーガン人」

「あら。ベジタリアンじゃなくてヴィーガニズム?」


その間にエアリはトイレ前の掲示板コーナーを写メるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"教授仲間"のリモート会話は続く。


「自分の立ち位置がわからナイ。研究には賛成だけど、動物も大切にしたい。ラットは、社会的動物で共感能力もある。ツガイが引き離されると悲しむコトもアル。それを承知で、人間の命を救うためと言う名目で命の簒奪を続けても良いものかしら」

「私には答えられない。でも、時に探究心には勇気が求められる時もアル」

「なぜ警察はネルンの死を隠すの?」


確かに。


「わからない。でも、迅速に犯人を捕まえるための捜査手法なのカモね」

「まだ大学では彼の死を誰も知らないのょ?」

「うーんロマナ、1つだけ。私、理屈じゃなく、最近ラギィ警部の勘を信じるようになった。自分の勘よりもね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ネットカフェ。


ロン毛の金髪男がスマホを見せてピアス女子に見せる。


「知ってる?」

「聞いてる」

「じゃな」


ロン毛の金髪男は店を出る。

入れ代わりにマリレが話す。


「彼はどこへ?」

「なんで?はい、ラテとモカチーノ」

「何か…面白そうだから」


はぐらかすマリレ。ピアス女子は探るような目。


「彼、未成年ょ?アンタ、17才のガキが好み?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"教授仲間"のリモート会話。


「あの夜以来、キャンパスに警備員の姿が多くなって」

「直ぐに落ち着くわょ」

「ウェブの世界でも、FAの動画がドンドン拡散して、ごく普通の掲示板まで炎上したり。見て。襲撃の動画がネットにUPされたわ」


スマホ画像の中で覆面男が叫んでるw


"我々FAは今、AIT研究棟の解放作戦を実行している。罪のない動物を救いに来た。虐げられた動物達。彼らには自由がない…何してる?…生き物を虐待するな"


「スピア。動画の出ドコロを突き止めてラギィに通報して」

「ROG」

「あら?外が騒がしいわ。待って」


ロマナが窓から顔を出すと、警備員が走りながら叫んでるw


「本部!南西の中庭に応援を寄越してくれ。至急!」


見ると、まるでUNIQLOのチラシから抜き出たような若い男女が中庭に集まり何の前触れもなく突然踊り出すトコロw


フラッシュモブ?ダサいなw


「動物解放!動物解放!動物解放!」

「踊りながら叫んでるわ!…でも、ヘンね。研究棟に入って来る気はなさそうょ」

「踊ってるだけ?単なるパフォーマンス?」


確かに突入して来る気配はナイ…ところが、次の瞬間、研究棟の2Fのフロア全体が爆発!全ての窓から焔が噴き出る!


「どーしたの?ロマナ?ロマナ!」


悲鳴、混乱。爆炎を前に、一斉にピースサインの若者達w


第3章 爆破現場


爆破現場。パトカーや消防車が何台も押しかけ、テンデンバラバラに赤ランプを回転させて、場末のディスコみたいだw


「フラッシュモブは、爆破テロから目を逸らすための陽動だったのね?」

「今どき流行らないのに怪しいと思ったょ」

「警部!逃げ遅れた奴をとっ捕まえました」


駆けつけたラギィ警部に制服警官が覆面男を突き出す。

ラギィは笑うピエロの覆面に手をかけ一気にはぎ取る。


「あら。厚顔(厚かましい)の美少年w」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)の取調室。取調べはヲタッキーズのエアリ。


「メイドさんとは、どこかで会ったっけ…あ、地下アイドル通りのネカフェだ」

「…シエル・シエラ19才。無職ね?」

「聴講生だ」


口を尖らせるシエラ。


「どこの聴講生?」

「休学してる」

「中退ね?2日前はどこに?」

「出かけてた」


書類を叩きつけるエアリ。モニターに画像を流す。


"罪のない動物を…"


「この叫んでる覆面、あなた?」

「違う」

「昨夜と同じマスクょね」


美少年は、全く動じる気配がナイ。


「俺じゃないさ。昨夜はフラッシュモブだ」

「なんのこと?」

「大勢で集まって踊るのさ」


ストリートのダンサー気取りだw


「あなたが爆破テロを計画して火炎瓶を投げこませたの?」

「違う。俺は掲示板を見てモブに参戦しただけだ」

「ホント?」


疑り深そうなエアリの視線。


「"秋葉原ビーガンフォーラム"を見てくれ。俺は投稿してない。完全菜食主義者ナンだ」

「昨日カフェにいた?…え、何?マリレ」

「ちょっといい?」


相棒のマリレが呼びに来る。


「待ってなさい」


取調室を出て行くエアリ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


取調室の外でエアリとマリレ。


「美少年、何て言ってた?」

「フラッシュモブだって」

「確認スルわ」


リモートでスピアが割り込む。


「もう私達が確認した。彼等は、フラッシュモブを利用してるわ。FA本部お勧めの新戦略らしいわ」

「スピア。誰がモブを仕掛けたの?」

「ハンドルネーム"ジャングルガール88"。今回のモブの呼びかけ人。描き込みはネットカフェからだった」


スマホの小さな画面からスピアは語る。


「掲示板の常連投稿者達との文章を比較してみた。"ジャングルガール88"は、文章や話し方の癖がハンドルネーム"マグロJAL"とソックリ。そして、ナゼか2つのハンドルネームの持続時間は必ずズレる。ソレも"マグロJAL"が立ち上がるのは、いつも"ジャングルガール88"のログオフ直後」

「つまり?」

「ジギルとハイド。この2つのハンドルネームは二重人格で恐らく同一人物。だから、似たフレーズが何回も見られるわ」


文章の癖、治さないとなw


「確率も出しておくけど…こういうヲタク用語の重複使用はかなり決定的ね。いや、致命的かな」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田練塀町の安アパート。


「ジェシ・スキナ。別名"ジャングルガール88"か。23才だから、恐らく親と同居系の引きこもりね」


安普請の薄いドアをノックするエアリ。


「メイドさん?何か?」

「ヲタッキーズのエアリとマリレです。スキナさん、ジェシはどちらに?」

「あの子…今度は何をしたの?」


一気に悲しげな顔になる母親←


「スキナさん、今度はって?」

「昨夜から薬を飲んでいないの」

「薬とは?」


母親の答えは淀みナイ。


「娘は統合失調症です。犯罪者じゃなくて病気ょ。で、今度は何をやらかしたの?」

「彼女の投稿について話がしたいだけです」

「投稿?」


家に入る。ラクロスをやってたらしいジェシのフォト。


「あのフォトはジェシですか?」

「父親が死んだ9ヶ月後に病気が発覚、ほどなくパワーにも覚醒した」

「覚醒した?彼女はスーパーヒロインですか?」


母親はイライラと頭をかきむしるw


「YES。腐女子だった娘は覚醒して"blood type blue"ょ。あぁ何でウチの娘が」


最近、アキバに開いた"リアルの裂け目"の影響で、腐女子がスーパーヒロインに"覚醒"する現象が相次いでいる。

"覚醒"スルのは、アキバで働く腐女子に限られ、付与?されるパワーも怪力、透視、予知からサイコ系まで様々だ。


彼女達は、血の色から"blood type blue"と呼ばれる。


「お嬢さんは、今どこに?」

「大学で授業を受けてるわ。アキバ工科大学(AIT)…あ、あっち行って。シッシッ」


仔犬が出て来る。


「昨夜、娘が連れて帰って来たの。野生に戻したいって」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


AITのキャンパスを歩くメイド2人。


「今、科学論の講義を受けてるハズょ」

「場所は?」

「研究棟。コッチょ」


エアリとマリレはジェシを訪ねる。


「ジェシの情報は?」

「専攻は数学だけど、副専攻が哲学w一般的に、数学の能力と統合失調症には関連性があると言われているわ」

「同じ遺伝子が関係してる。抽象的思考に優れている者は精神疾患にかかりやすいの」


エアリが例を挙げる。彼女は図書館カフェのメイド長だ。


「ジョン・ナッシュとかね。優れた数学者だったけど、彼は、薬物を飲むと数学に支障が出た。ジェシも同じかもしれない」

「薬で頭が鈍くなるの?」

「そーとも言えるけど…現実の把握には必要な服薬なのょ」


エアリの現実的な指摘。


「確かにフラッシュモブは見事に仕切ってたわ」

「好きなコトは得意なの。統合失調症は、ストレスで予想外の行動が出る。なるべく穏やかに彼女に近づかないと」

「あら?研究棟って、襲撃のあったトコロだわ」


白い校舎の2Fの窓だけが、全て黒く焼け焦げている。

一方、1Fからは学生や教員が忙しなく出入りしてるw


「この校舎、普通に営業中?」

「AITはテロに屈しないと言う姿勢を示してる。講堂はココの1階らしいわ」

「じゃ御対面と行きましょう」


爆破された窓にはブルーシート。

正面にガードマンが立っている。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


講堂。


「ガリレオは、実験を用いて研究しましたが、その考えは、純粋数学で論じるコトに成功しました。科学的論証の創造的革命です。ガリレオのおかげで、数学は現実を証明するツールとなったのです。はい、今日はココまで。来週は、お待ちかね、デカルトの"精神指導の規則"です」


教授が講義を終えると、学生達は一斉に立ち上がる。

階段教室の狭い廊下は、たちまち人であふれかえる。


「通して!」

「ヲタッキーズょ!みんな、動かないで!」

「何だ?何なんだ?」


混雑に紛れて立ち上がった女子大生が音波銃を取り落とす。

ラッパ型の銃口をした音波銃が、フロアでクルクルと回るw


「ジェシ・スキナ!落ち着いて!冷静になって!」


エアリの願い虚しく素早く拾った音波銃を天井に向け、ぶっ放すジェシ。悲鳴は絶叫に、混乱はパニックへと発展スルw


「待ちたまえ!君!」

「問答無用!」

「何?…ぎゃっw」


学生達の頭を踏みつけるようにして講堂を飛び出したジェシは、階段の踊り場で出会い頭に出会った教授の腹を撃つ!


「…た、助けてくれw」

「嫌ょ。でも一緒に来て」

「介抱してくれ…」


殺人音波を腹に受けた初老の教授を抱き抱えるようにして、近くの実験室へと逃げ込むジェシ。さらにもう1名が続く。


「近づかないで!」

「ジェシ・スキナ、話し合おう?」

メイドさん達(ヲタッキーズ)、don't move」


実験室の扉が閉まる。

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


閉めた扉の前に空のケージを山積みにして閉鎖スル。


「ジェシ・スキナ!出来れば平和的に解決したいの。ケガ人を出したくないわ」

「どうすれば良いの?私を殺そうとしたクセに」

「違うの。貴女と話したいだけ」


扉越しの説得は失敗スル。


「じゃあ話してょ。私に音波銃を向けながらね!」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


現場に急行した移動指揮車。作戦会議が始まる。


「ラギィ警部!奴は2発撃ったから音波カートリッジの残りは4発です」

「一緒に立てこもったのは誰なの?」

「1年生のクラド・ドラド。FAメンバーだけど犯罪歴はナシ」


実験室の見取り図が広げられる。


「窓がナイ。狙撃は無理ね。研究室の奥の方は?」

「壁の向こうは配管や電線のダクトです。バックヤードもアル。侵入出来ます」

「テリィたん。彼女を扉の辺りに止めておいて」


え。僕が?


「では、テリィ様。私はダクトから参ります」

「ムーンライトセレナーダーに万世橋SWATを2名つけて」

「ROG。スコィ、コット。行け」


僕は、早速閉まった扉越しに話しかける。


「ジェシ。最後の落とし所を考えてるか?君は怯えてるだろ。クラドさん、貴女は大丈夫ですか?」

「私は…」

「クラド、答えてはダメ!コチラから要求がアルわ!カメラょ。ライブ映像で動物虐待の現実を世界中に流したい!」


吠えるジェシ。何処が統合失調症だょ?


「わかった。最高級でデラックスなカメラを手配しよう…何だょエアリ?今、取り込み中だけど」

「…テリィたんこそ静かにして。ロマナから電話。今、実験室の奥のバックヤードにいルンだって。もしもし?テリィたんに代わるね」

「大丈夫か?ソッチはどーだい?」←


1呼吸おいてロマナの声。


「実験室の中の様子が丸見えょ。撃たれたバルマ教授がいる。苦しそうだけど意識はアルみたい」

「全員の位置を教えてくれ」

「音波銃を持った学生は部屋の北側にいて、教授はソイツの足元の床の上。もう1人は歩き回ってるわ」


情景が浮かぶナイスな描写だ。見取り図を指差すラギィ。


「フロアの何処かから入れないの?」

「アチコチ試したけど開かないわ」

「必ず誰かを送り込む。このママ切らないで」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ムーンライトセレナーダーがフロアのハッチを焼き切る。

その、つまり、彼女の必殺技である"雷キネシス"でねw


「テリィ様、穴が開きました。今から潜入します」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕は扉の向こうのジェシ・スキナに話しかける。


「教授の様子を教えてくれないか」

「生きてるわょ。ああ、サイキック抑制蒸気が濃厚でアンタ達の頭の中に入れないわ」

「(ジェシはテレパスなのかw)今、君からリクエストされた最新式で最高級かつデラックスなカメラの手配をしているトコロだ。期待して待っててくれ」

「お肌がナチュラルな色で撮れる奴?」


ラギィからカメラを渡される。慌てて送話口を塞ぐ。


「ラギィ、ココを代わってくれ。僕は現場に入る」

「そっか。ココはテリィたんがいても逆効果みたいね。OK、交渉人(ネゴシエーター)は任せて。カメラも無傷で返してね」←

「ミユリさん、ソッチはどうだ?」


ヘッドセットからムーンライトセレナーダーの声。


「ダクトに入りました。真っ暗でSWATの方が…」

「テリィたん!こりゃ俺達ベトナム戦争の地下坑道の攻略部隊(トンネルラッツ)だ!」

「テリィ様じゃなくて私がラッツ。うふっ」


僕の昔のストリートネームを気取ってはしゃぐミユリさんw


「ジェシ、どうにかしないとヤバいわ」

「ジェシ、誰も君に何かを強制はしない」

「ジェシ、ジェシってウルサイのょ黙って!扉の向こうの人!貴方、テリィたんょね?国民的ヲタクの」


やっと出番だw


「私の名前は、クルマ・ナドアル・バテリィ」

「え。誰?どこの名前?」

「インドの山奥だ。ゆえに、僕はベジタリアンだ」


ヴィーガンと逝わないトコロがミソ。案の定…


「素敵!何でソレを最初に言ってくれなかったの?」

「いや、実は僕も"スーパーヒロイン活躍促進法"には反対ナンだ。実は、僕の"推し"もスーパーヒロインに"覚醒"した口ナンだけど、頭が保守的な連中は、彼女達"ヲタク"が人類の進化形であるコトを認めたがらない」

「その通りなの、クルマ・ナドアル・バテリィ!彼等"保守的人類(コンサバ)"は、スーパーヒロインをミュータント扱いし、極秘に人体実験したり解剖したりしてる。この虐殺を止めナイと。ねぇ聞いてるの?」


ココでジェシは足元で痙攣してるバルマ教授を足蹴にスルw


「お願いだからヤメて!まだ生きてるのょ!」


思わズ隠れていたバックヤードからロマナが飛び出す。


「わ!アンタ、誰?なぜココに?何処に隠れてたの?」

「バルマ教授!教授の容体を見させて。意識がナイわ!」

「ジェシ、奥に部屋がアル!誰か隠れてるカモ」


1年生のクラドがバックヤードを指差すw


「他に誰かいる?」

「…いや。もう誰もいない。そのオバさん1人みたい」

「そう。もうダマされナイわょ」


怒りたつジェシ。


「今までズッと隠れてアタシ達を見てたのね?アンタも実験動物のように拷問してやる。脳を切り刻み、目を縫い付けて…あの男と同じように!」

「貴女がネルン教授を殺したのね?」

「アンタも殺してあげょうか?」

 

☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ミユリさん、問題発生だ。やむにやまれずロマナが中に入った。別命あるまで突入待機。繰り返すょ突入は待機だ」


暗く狭い配管の中を進むムーンライトセレナーダーとSWAT隊員の口から、聞くに耐えない呪詛の声が漏れる。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジェシのスマホを鳴らす。


「誰?」

「インドの山奥生まれでベジタリアン、スーパーヒロイン活躍推進法に心から反対のクルマ・ナドアル・バテリィだ。リクエストどおりにカメラを用意した」

「どーせ爆弾入りでしょ?」


良く思いつくな!笑


「いいや。インド人、ウソつかナイ。カメラとバルマ教授の交換だ。彼が生きているのなら、だけど」

「ライブ映像の配信は?」

「先ずはカメラから始めよう」


おぉ我ながら上手い交渉だ。ところが…


「ダメょ」←


途端にデータリンク中の外野から非難轟々←


「テリィたん!ココはウソをつきなさい、ウソを」

「ソレこそダメょウソは禁物。テリィたん、カメラで中の様子を確認して来て!」

「ウソの方が良いわ。お得意でしょ?」←


こういう交渉の時は別だょ。


「あのさ。ルイナ、リンクに入ってる?何かわかった?」

「みんながテリィたんをウソつきだと思ってるってコトがわかったわ。ショックだけど愉快クスクス」

「あのさ…もぉ(どーでも)いーや!」


突入?直前の扉の前で頭を抱える僕。


「テリィたん。論理に問題はアルけど、ジェシの数学は独創的で緻密だわ。恐らく精神疾患はウソょ。スーパーヒロイン活躍促進法の反対サイトに匿名でUPした論文がアルけど、論理を駆使して、法の価値を否定してる。明確な意図と哲学を持ってる。しかも"囚人のジレンマ"を用いてスーパーヒロインの利他主義を明快に説明までしてた。どんな人なの?」

「だから、統合失調症」←

「あのね。統合失調症の患者って時々"神"の声を聞いたりスルらしいわ。ジェシの"神"って誰だかワカル?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ジェシとロマナ。女子っぽくフロアにペタンとお尻をついてM字開脚座り(僕達には絶対ムリな例の奴だw)をしている。


「貴女、ペットは?」

「犬がいるわ」

「ペットは奴隷と一緒ょ。有史以来、人類は犬の魂を破壊し続けてる」


このタイミングで僕はスマホを鳴らしてしまうw


「クルマ・ナドアル・バテリィだ。みんなと相談したんだけど、どーしてもライブ配信したいのなら、先ずバルマ教授を渡して欲しいな」

「ムリ。だって、奴の懺悔を配信スルんだモン」

「そっか。ソレもそーだね。じゃカメラはあげるょ。open the door」


すると、何と解錠スル音がして、扉が薄く開く!


「入って来て」

「インド人のクルマ・ナドアル・バテリィだけど、わかった。でも、撃つなょ」

「撃たないわ。貴方はね」


お隣のロマナに音波銃を向けるジェシ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


移動指揮車のラギィ警部に連絡。


「ちょっち中の様子を見て来るょ」

「テリィたん、気をつけて。何かあれば連絡スル」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


トンネルラッツのムーンライトセレナーダーにも連絡。


「ミユリさんはどうだい?」

「いつでもどうぞ、テリィ様。anytime you say」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


さらに扉が開き…何とクラドが飛び出して来るw


「助けて!ギブアップょ!」

「クラド、何してるの?危ないわ!」

「こんなの、もぉゴメンょ!」


ドアの外で拳銃、短機関銃、対戦車ロケットランチャー、火炎放射器、音波銃に一斉に狙われながら保護されるクラド。


入れ替わりに踏み込む僕←


「ジェシ、クルマ・ナドアル・バテリィだ。中に入るぞ。僕は、最高級でデラックスなカメラを持っている。だから、撃つな」

「クラドに手を出さないで。未だ1年生なの!…あら?クルマ・ナドアル・バテリィってインド人じゃなかったっけ?」

「ソレはともかく、クラドには誰も手を出さないから落ち着いて。やぁジェシ・スキナ。やっと会えたね。約束通りカメラを持って来た。先ずバルマ教授の手当てをしたい」


すると…何とジェシは棒立ち?しかも謎の胸キュンポーズw


「ラッツ?ラッツなのね!なぜ秋葉原にいるの?ねぇ元気にしてた?」

「えっ?(いつも)元気だょ?」

「"ワラッタ・ワールドワイド・メディア"のウェブニュースを見て駆けつけてくれたのね?ウレP(←死語だょ)」


捜査陣は総立ちになる(狭くて立てないトンネル組除くw)!


「何?ジェシはテリィたんの知り合い?」

「まさか、またまた"元カノ会"の会員なの?」

「会員No.は?…ってか会員、いったい何人いるの?」


全員に注目されフランス人みたいに肩をスボめるスピア。

彼女は、僕の"元カノ会"の会長だ。ラギィがつぶやく。


「ソンな会に入りたくナイわ」


第4章 元カノが知っている


「ラッツ。さぁ扉を閉めて!貴方はココに残るでしょ?」

「モチロンさ!」←

「ウレP(←死語、以後省略)わ!ねぇお話ししょ?」


扉を閉めると、実験室内に一気にフレンドリー(ラブリー?)な空気が満ちる。

コボれるような笑顔で見つめ合う僕達(音波銃を突きつけ合ったママでw)←


「いやぁ僕もウレしいなー」

「今宵は語り合いましょ?殺しちゃダメ」

「じゃ一緒に武器を置こうょ」


ニッコリ微笑むジェシ。瞳に狂気の色w


「そうね。でも、ラッツから」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


データリンクにムーンライトセレナーダーから発話。


「テリィ様は?テリィ様は実験室なの?中でジェシとナニをしてるの?」

「姉様、落ち着いて!テリィたんは、恐らく別人と勘違いされてる。ジェシは統合失調症で脳内が運動会なの」

「とにかく!突入ょ。状況は?」


珍しく強硬に突っ走るミユリさんw


「ジェシは、実験室の真ん中でテリィたんに音波銃を突きつけてる。バルマ教授は撃たれて、ジェシの足元。ムーンライトセレナーダー、貴女がハッチから突入スルとテリィたんは貴女の射線上ょ」

「せいぜい気をつけるわ。でも、中の様子が分からないからGOサインはラギィが出して」

「わかったけど…ねぇムーンライトセレナーダー。中ではテリィたんがジェシを説得してると思うけど?」


すると、スーパーヒロインは鼻で笑う←


「あの人には無理ょ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「ジェシ!2人で逃げよう、アキバの果てまで」

「近っw上野広小路辺り?ソンなコトよりラッツ、お話ししょ?"科学の進歩と動物虐待"って"人類の進化とスーパーヒロイン解剖"と類似な思考だと思わない?」

「(狂ってるなw)思う思う!今、そーだと思ってたトコロさ。さぁ折角だから、お互いに音波銃を下げて一息入れないか?」


突然、高笑いを始めるジェシw


「ダメょラッツ。貴方、ウソをついている時の顔だわ。なぜ私に音波銃を向けるの?」

「だから!一緒に銃を下げよぉよ」

「ラッツも寝返ったのね?貴方は純粋だと思っていたのに…貴方も汚れた"保守的人類(コンサバ)"だった。コイツと同じょ!ホラ、起きて!アンタの研究内容を話して」


倒れているバルマ教授を足蹴にスル。すると…何とバルマ教授は大きくアクビをしながら立ち上がりノビを…寝てたの?


「私は首相官邸からの依頼を受け"スーパーヒロイン活躍促進法"の制定のために必要な科学的知見の収集に当たっていた。具体的には動物実験によるデータ収集だ」

「動物実験?まさか、スーパーヒロインや腐女子で人体実験を行なっていたのか?…ってか教授、音波銃で撃たれたンじゃナイの?」

「被験動物は、多くの場合アカゲザルだ。DNAは99%人間と同じだから。確かにタマにはスーパーヒロインや腐女子も科学の発展のために…ソレからアレは空砲だ。ココに突入させないための芝居。私はジェシと"グル"だ」


さすがに僕もムッとなりジェシを振り向くと、彼女の瞳に宿る狂気の色…ドコロか完全に目が逝っちゃってる。ヤバいw


「ラッツ。貴方は裏切り者!存在すら怪しい」

「ジェシ、僕は存在してるさ」

「信じられないわ」


ラッパ型に開いた音波銃の銃口を突きつけるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


移動指揮車。リモートでルイナが解析結果を共有。


「ジェシは、スーパーヒロインは"保守的人類(コンサバ)"より魂の力が強いと信じてる」

「つまり"保守的人類(コンサバ)"は劣等な種で、汚れてると信じてる?だから、テリィたんを人質を取るのね?」

「YES」


余計なお世話だw


「…ソレでどうすれば?」

「有史以来、人類は"暴走した神様"に対して、何をしてきたかしら」

「…復讐?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僕は、バルマ教授をナジる。


「アンタ、スーパーヒロインを何人解剖した?」

「ヤメろ、全ては"スーパーヒロイン活躍促進法"のタメだ。やむを得ない犠牲だった」

「ウソつけ。単なる自己満足のためじゃナイか。僕には、命乞いスル腐女子の声が聞こえる。アンタは呪われたょ」


怒りたつジェシ。


「ラッツ、スーパーヒロインも動物も同じ命ょ!」

「ん?だから、そう逝ってルンだけど」

「矛盾してるわ!」


その時、突然全ての動きがスローモーションになる。扉が開き、犬が入ってくる。おや?あの犬は…


「あら?貴方、どこから来たの?」


次の瞬間、万世橋SWATが実験室に雪崩れ込む!


万世橋警察署(アキバP.D.)万世橋警察署(アキバP.D.)!」

「対抗スルな!全員、手を頭の後ろで組め!」

「ジェシ、ムダだ!テレパシーは効かないぞ!」


室内はサイキック抑制蒸気で一杯だ。


「犬を傷つけないで!」

「犬は無事ょ。アンタ、自分の心配しなさい」

「バルマ教授、ご無事ですか?」

「待て!バルマ教授は犯人と"グル"だ!」


その時、フロアのハッチが開く。


「私は、ズッと床下で突入のGOを待ってた。ジェシは私が捕まえたかったのに!ところで、犬を入れたのは誰のアイデア?」


ラギィが黙って僕を指差すw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くなり客の回転率は急降下。メイド長はオカンムリだ。


「さぁ準備出来たわ!エアリ、マリレ。ビキニでお願いね!ビーチバレーの延長ナンだから」

「ミユリ姉様、ホンキなの?」

「当たり前でしょ!私を見て!」


カウンターの中のミユリさんは、花柄ビキニw


「ミユリ姉様、スポーツの経験は?」

「最近は練塀町の運動会に出たわ」

「ソレってスポーツの経験なのか?」


僕は…花柄ビキニに目が釘付けだ。眼福w


「しかし、今宵がアキバ工科大学の教授会主催のナイトプールバレー大会だったとはね。みんな、頑張って来て!アイスパックを用意しておくわ」

「え。ルイナ、車椅子でも出来るのょ?パラリンピックでもマラケシュ大会から正式種目になったんだから。行こう?」

「ムリ。私の特技はパズルだもの。でも、ビキニにはなってみたいな」


超天才ルイナもリモートで参戦中だ。


「しかし。まさか大会の発起人がロマナ・マーナとはね。彼女は意外に度胸がアルと逝うか活動的と逝うか」

「テリィたん、まさかロマナのコト…」

「ないナイ。スポーツやる女子、基本的にムリだから」


パッと顔を輝かせるルイナ。うーんルイナのビキニか←


「ミユリさん達が惨敗する前に何か食べに逝かないか?」

「テリィたん。私はベジタリアンになるかもしれない」

「ホントに?どうして?」


さすがに面食らう僕w


「私、今回の事件で倫理的な疑問を抱いた。動物の認識と動物実験について少し考えてみたい。答えが出るまでは、認識の対象を食べるべきじゃないと思うの」

「な、なるほど(何で?)」

「複雑な問題だわ。この100年間、医学は動物実験によって進歩した。つまるトコロ、医学とは経験科学だから、その歴史は解剖結果の積み重ねだと思う。ならば、実験で失われる生命の重さは、どこで線引きする?ハエやアリなら踏み潰しても構わない?」


スマホの小さな画面から、いたいけな瞳で僕を見る。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


最後に読者サービス?コーナー。アキバの大箱ホテル"24"の屋上スカイプール。ナイトプールバレー大会が開幕だw


「私、今話は少し損な役回りだったわ」

「姉様、少し考え過ぎょ」

「ビキニになったのにテリィ様ったら見にも来ない」←


ミユリさんの強烈なサーブが決まる!


「ミユリ、絶好調ね。楽勝だわ」

「そうね!もう1セットやりましょう」

「え。」


のけ反るエアリ&マリレ。顔を見合わせる。


「ねぇコレから毎回こんな終わり方なの?」



おしまい

今回は、海外ドラマによく登場する"動物実験"をテーマに、スーパーヒロインに係る法制定の為に色んな動物実験を繰り返す教授、その同僚、環境テロリストの美少年、統合失調症のテレパス、その子分の1年生、スーパーヒロインに係る法制定のために人体実験を含め手段を選ばずデータを集める教授、殺人犯を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズに敏腕警部などが登場しました。


さらに、主人公にヤキモチを焼くヒロインをコミカルなサイドストーリーとして描いてみました。


海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、今や街逝く人の半分以上がインバウンドと思われる秋葉原に当てはめて展開してみました。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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