二話 彼のためにチョコを作る決意をしました
二話 彼のためにチョコを作る決意をしました
ヴァレンタインデーが近付くとエスパーダと能の話し合いが活発になって来た。
「やっぱりカラスのクチバシが良いかな?」
「いやいやいや、一個数十円のチョコで良いんだよ。そしてリターンをデカくしてもらうプレッシャーをお兄ちゃんにかけまくるんだ」
「それ、ケンカになるんじゃない?」
「血のつながりがないと無理かもね。お義姉様の場合はエロをプラスするとかすれば良いよ」
「エロ……」
「封印された逆バニーを解き放つ時が来たんだよ」
「それは勘弁して」
エスパーダは頑強に逆バニーを拒み続けていた。要はもう見れないものだと諦めていたが、能は違うようだ。
「作った物がタンスの肥やしになることは私のプライドが許さない。一回着て写真を撮るだけで良いから」
「写真に残すのがイヤなんだって」
「じゃあ他のエロいやつか」
「能ちゃん、別にエロくなくても良いんじゃない?」
「え? お義姉様からエロを取ったらお兄ちゃんに何でアプローチ出来るの?」
質問に質問で返した。エスパーダは衝撃を受けているようだ。
「かわいらしさ……とか」
「日がな一日ゲームやって、ゴロゴロしているお義姉様がかわいらしいわけないじゃん」
「じゃあ、料理の……チョコの味で……」
「日がな一日ゲームをやって、ゴロゴロしてるお義姉様が料理うまいわけないじゃん」
「私の作ったカレーを要はおいしいって食べてくれたもん!」
あれはみんなで作ったはずだが、いつの間にかエスパーダの手柄になっていた。
「今までお義姉様が作ってるの見たことないよ。ホラじゃないの?」
能は疑念を振り払えないでいる。エスパーダは宣言した。
「そこまで言うならチョコを手作りする!」
「え? 出来んの?」
「出来る! だから手伝って」
一人でやると絶対に言わないのがエスパーダの料理である。要としては自分が貰う物のクオリティーを上げておきたい。
「能、手伝ってやってくれ」
「分かったよ。でもエロい衣装は着せるかんね」
なんだかんだ言っても協力してくれる能は優しい居候だ。