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どうやら、騎士さんはお疲れのようです。









 どうやら、騎士さんはお疲れのようです。






「ふむふむ……」




 書斎にやってきた私は、クリスさんにも手伝ってもらって目当ての本を発見できた。テーブルにそれを数冊置いて、順番に目を通していく。

 すると対面に腰かけたクリスさんは、不思議そうに首を傾げた。



「公共福祉改善草案……どうして、貴方がそれを?」

「え、へんですか?」

「変というより、何故、ですね」

「…………ん?」



 私の前に広げられているのは、この国の福祉関係の法案についての書物だ。過去から現在にかけるまで、特にこの10年になにがあったのか、ということが纏められている。

 私としてはおかしいところなんて、なにもないと思ったのだけど。

 クリスさんからしたら、疑問の方が大きいようだった。




「そこに書いてあるのは、貴方が考えた草案です。それをどうして、貴方が改めて読んでいるのですか?」

「あー、なるほど」




 それを聞いて、私と彼の認識にズレがあるのに気付く。

 なので、私はひとまず手を止めて考えを口にした。



「だって、わたしのかんがえ、ちゃんとつたわっているかわからないから。それに、いまがどうなってるかしりたいので!」



 我ながら舌足らずだと思いつつ、必死にそう伝える。

 するとクリスさんはしばし考えてから、こうまとめてくれた。



「つまり、過去の自身の思惑と現行法に齟齬がないか。また、それに関して自分なりの意見や考えを再認識しよう、というわけですか?」

「そう! そうです!!」



 彼の言葉は、私の考えそのものズバリ。

 思わず嬉しくなって、大きな声を上げてしまった。そして、その後になって少しだけ恥ずかしくなる。私は苦笑いをしながら、再び書物へと視線を落とすのだった。

 すると、ふいにクリスさんが立ち上がって私の傍にやってくる。

 そしてページをめくる手伝いをしながら、こう言った。




「それでは、当時のことを交えながら解説した方が良いでしょう。貴方は眠っていましたが、こちらは当事者でしたので」




 ややぶっきら棒なその口調は、しかしとても親切なもので。

 私は彼の綺麗な顔を見て答えるのだった。




「はい! ぜひ!!」




 そうして、二人での勉強会が始まって……。








 ……数時間後。

 私は一通りの書物に目を通し終えていた。

 現行法についての理解も深められたし、課題も見つけることができた。それもこれも、クリスさんが解説をしてくれたからだろう。

 彼には感謝しなければならない。

 そう思って、向かいの席に戻ったクリスさんを見ると……。





「くりすさん……?」

「…………」





 彼は、とても心地よさそうに眠っていた。

 自分の腕を枕にして、ちらりと覗く横顔は普段の何倍も幼く見える。

 そんなクリスさんの顔を見ていると、やはりどこか面影を感じるのだが、どうにも思い出すことはできなかった。

 ただ、とりあえず起こさなければ。

 そう思って私が声をかけようとした、その時だった。




「……アリシア、さま……」

「ん……?」




 クリスさんが、寝言で私の名前を呼んだのは。

 それに思わず言葉が詰まって、声をかけることができなかった。





「まぁ、おつかれなんだよね。きっと」





 そして、どこか気が抜けてしまう。

 なので私は西日の差し込む窓の外を眺めながら、彼が目を覚ますのを待つのだった。





 


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