どうやら、私が目覚めたと話題になっているそうです。
ちょっと切りが分からないので、また続きは22時くらいに!
どうやら、私が目覚めたと話題になっているそうです。
「最近、街ではお嬢様の話題で持ちきりですよ」
「え、どうして……?」
ある日のリハビリ中のことだった。
治癒術師が去った後、リアが私の足をマッサージしながら言う。私はどうしてなのか、理由が分からずに困惑してしまった。すると彼女は、嬉しそうに応える。
「それはもう! 民衆に愛された『眠り姫』が、10年振りに目を覚ましたのですから! お嬢様はいまや、公共福祉事業における象徴なんですよ?」
「え、えぇ……!?」
……ちょっと待って、それは聞いてない。
『眠り姫』って言われても、私はお姫様ではないし。それに公共福祉の象徴と言われても、基本的には口出しをしていただけなので、色々と独り歩きしているように感じた。
だから称賛はありがたい反面、それは実際に動いてくれている人のお陰だと思う。本当に私は、ただただ10年間ずっと眠っていただけなのだから。
「あ、かなり困ってますね」
「うぅ……」
「でも、仕方ないですよ。お嬢様の提言がそのまま草案になって、福祉の基礎になっているんですから」
「うそぉ……?」
ミハエル元第二王子に提案した時、たしかに私はみんなを助けたい一心だった。
それでも、それがそのまま通るなんて思っていなかったし。さらに言ってしまえば、投げっぱなしの無責任も甚だしいとさえ感じてしまうのだ。
だから、そのように持て囃されるのは居心地が悪い。
そう思っていると、リアがこう提案してきた。
「そんなに不安なら、街のみなさんにお会いしますか?」
「え、いいの?」
「少しだけなら外出の許可も出ていますし、屋敷の前くらいまでなら」
「う、うーん……」
しかし、屋敷の前まで程度で人に会えるのだろうか。
そう思って首を傾げていると、リアがどこか含みのある笑みを浮かべた。
「では、明日。楽しみにしていてくださいね?」
「…………え?」
そして、そんなことを言う。
これはいったい、どうなってしまうのだろう。
私は心の底から不安だった……。