どうやら、みんな首を傾げているようです。
すみません。
今日(2022年11月9日)の夜更新はお休みです。休憩挟みますね。
申し訳ございません。
個人的な問題発生のため、11/10の更新は休みです。
本当に申し訳ございません……!
※追記※
Wi-Fi、というかルーターが直るまでお待ちください……!!ごめんなさい!!
どうやら、みんな首を傾げているようです。
「国民各々の資産に応じて、あらかじめ金を徴収する……?」
「はい、そうです!」
善は急げと、私はさっそくライネル様のもとを訪ねていた。
同行人にはクリスさんと、リアの二人。彼らも私の提案に対して、どこか首を傾げている様子だった。ライネル様でさえ疑問符を浮かべているので、ここは少し噛み砕こう。
そう考えて、私は手頃なところにある紙に絵を描いた。
「まずはその資産に応じて、お金を出してもらいます。これを国の方で取りまとめて、怪我などをした国民がいたら、その治療費を国から補填するんです。そうすれば、生活に余裕のない貧困街の人も多くの診察を受けられます!」
「ふむ……」
「アリシア様、すごいです!!」
拙い説明になるが、要約するとそういうことだ。
さすがに最初から国民全員から徴収、というのは難しいかもしれない。だからまずは、金銭的に余裕のある貴族などからお金をあつめるのはどうだろうか、と。
私が語ると、クリスさんとリアは納得したように頷いていた。
しかし、反応が悪いのはライネル様だ。
「だが、それをあの貴族院の連中に、か……」
彼は非常に渋い顔をして、口元に手を当てている。
おそらくこの案の最大の障害となるのは、ライネル様の口にした貴族院など富裕層からの反対だった。特に貴族などは、自身の資産を外に出すのを嫌っている。
それに加えて貧困街への偏見もあった。
富裕層の人間は、彼らが同じ人間だという意識も薄い。
さらに言ってしまえば、貧困街の人々の生活そのものを知らない者もいた。
「難しいとは思います。それでも、多くの人を救うためには、それだけ多くの人々の協力が必要なんです……!」
私は必死に訴える。
ライネル様はそんな私の顔を見て、しばし沈黙した。
「本当に、キミは昔から変わらないね」
「え……?」
そして、途端に小さく笑うと彼はそう口にする。
私が呆けると、ライネル様はクリスさんとリアの両名を見た。
「この二人を救ったように、より多くの貧しい人を救いたい。アリシア……キミは昔から、貴族に生まれながらもとにかく柔軟な考えを持っているね」
「そんなことは、ないと思いますが……?」
「あはは! それでいて、本人は無自覚ときたか!」
彼の言葉に首を傾げていると、思い切り笑われてしまう。
どうして笑われているのか、その答えを得る前にライネル様はこう言った。
「だが、覚悟してくれよ? 貴族院を説得するとなれば、一筋縄ではいかない。それでも進むというなら、キミは多くの壁に当たるだろう。だとしても、行くというなら――」
どこか、こちらを試すように笑ってから。
「俺だって精一杯、頑張らせてもらうよ」
「…………! ありがとうございます!!」
そう、約束してくれた。
私はそのことが、とても嬉しく思える。
本当に私は恵まれているのだな、と改めて思うのだった。




