どうやら、第一王子様が私に会いたいらしい。
短めかな。今日の最終更新は、22時予定です。
(本当はこの話数で〆るはずだったのに……)
どうやら、第一王子様が私に会いたいらしい。
「……と、言いますと?」
「アリシア様のご回復にお祝いを申し上げると共に、愚弟の行いに対する謝罪。また、外交の問題でそれらが遅れた謝罪をしたい、とのことですよ?」
間もなく夏本番、という頃のことだった。
なかなかに呂律も回るようになって、喋ることが楽しくなってきた私にそのような一報。リアに理由を訊ねたら、なんとも律儀な答えが返ってきた。
第一王子――ライネル様は、昔からそういう方だ。
「あの方は本当に、生真面目というかなんというか。誰かのために頑張るのは良いんだけど、たまには自分の身体を労わるべきじゃないかな……?」
「それ、アリシア様にそのままお返ししますね?」
「え、なんで……?」
私が王子のことを心配すると、何故かリアに心配されてしまった。
首を傾げていると、彼女は呆れたようにため息をつく。だけどすぐに気持ちを切り替えたのか、こちらに向き直って訊いてきた。
「それで、お会いになりますか?」
「うん、会いたいです。久しぶりに外国の話も聞きたいし」
「分かりました。それでは、そのように」
断る理由も特にない。
なので、私はそう即答して頷いた。
ライネル様は昔から諸外国を外遊されておられて、滅多にお目にかかる機会はなかった。それでも帰国された際には、弟であるミハエル元第二王子と、婚約者であった私に土産話を多く語ってくれたのである。
彼の話からは色々と、刺激を受けることがあった。
公共福祉の草案を考えるときにも、様々な部分を参考にしたのだから。
「ずいぶんと楽しみみたいですね?」
「えぇ、もちろん。今回はどんなお話が聞けるのかな、って」
「ふふふ。これは、クリスさんが妬いてしましますね」
「……え、どうして?」
「………………」
なにやら、リアがまた唖然とした表情をしていた。
どうしてここで、クリスさんが嫉妬するのだろうか。私と彼はそのような間柄ではないし、そもそもとして、ライネル様は既婚者だった。歳だって大きく離れているし、娘のように思われていてもおかしくはない。
「これは、彼も苦労しますわ……」
「え、え……?」
だけども、リアはがっくりと肩を落としてそう言った。
私は本当に意味が分からずに、首を傾げていることしかできない。
だが、とにもかくにも。
ライネル様との接見は久しぶりで、本当に楽しみなのであった。




