第10章「マジックサイエンス」
※「発言など」※【心の声】※[Geegleの音声]※〈無線〉※
〜日本〜
「また電気の亀裂が発生したのか。最近になって明らかに発生数が増えている。原因究明はまだできないのか!」「そんなこと言っても、電気の亀裂の発生場所の共通点は東京都内だということだけ、発生条件も不明。様々な手段で観測しようとしても、突然発生するということだけ。開明しようにもどうしようもない状態なんだ。」「何者かによるテロだとか、お隣さんが新兵器を開発したんじゃないのか?」「様々な手段で観測しても、原因が特定できないんだから、人為的なものであるわけないでしょう!」「電気の亀裂を最初に発見してからどれだけ経っていると思っているんだ!しかも、最初にサンプルを取ることに成功してから1ヶ月も経ったんだぞ!」「それとこれとは関係ないでしょう!」「君たち、落ち着くんだ。」「何だよ、お前。口出ししてきてんじゃねぇーよ!」「電気の亀裂の原因が分かった。」「「何だって⁈」」「君らは電気の亀裂を観測することに意識を向けすぎだ。電気の亀裂周辺を観測するんだ。」「電気の亀裂周辺の観測くらいしてますよ!」「ならば、電気の亀裂周辺のエネルギーの変動も観測したよな?」「もちろん。電気の亀裂が発生する時、周囲のエネルギーを引き寄せて、それにより密度が高くなったエネルギーが可視化したのが、電気の亀裂だろう?」「そうだな。五割はそれであっている。」「五割?この観測結果のどこが間違っているというんだ。」「エネルギーを引き寄せて、密度が高くなるまではあっている。だが、密度が高いから可視化するのではない。空間に穴が空いているからだ。穴が空いているからエネルギーが吸い寄せられる。吸い寄せられてエネルギーが渋滞するから、原子核•電子が止まる。」「その根拠は?」「観測したエネルギーをしっかり見ろ。元々その周囲にあったエネルギー量と電気の亀裂発生後のエネルギー量を比較すると、減少している。」「減少だと?増加するなら観測ミスを疑えるが、減少はエネルギー保存の法則的におかしい、減少したエネルギーをどこに行ったんだ。」「空間の穴を通って別世界に行った。だから、前々から言っていただろう。『向こう側の世界がある』と。」「そうだとでもしないと減少の説明がつかないか、」「そんなら、その穴を通った先の世界を観測すべきなんじゃないのか⁈」「エネルギーが通れないのだがら、小型カメラのようなものが通れる訳がないだろう。」「だったら、結局のところ原因が分からないじゃねぇか!」「向こう側の世界のことは推測を重ねるしかないのだよ。」
「マントの解析終わったー!」【うーん⁈、いつの間にか寝落ちしてたのか、そういえば、ハイドに透明化装置と思われるマントの解析を任せて、魔法がどこまでできるかの検証をしたんだった。】「こっちも魔力増幅機光型と電気型が完成した。まだ、利便性には難があるサイズだが、エネルギー保存の法則を魔法という科学の枠を超えた存在で粉砕できたな。」【光型増幅機、LEDに電流を通して光を出し、それを光魔法石に当てて光魔法石に変換する。電気型は先に光魔法を打って、太陽光発電機に当てる。発電機に合わせた波長の光を打つことにより発電効率が最大になり、それによりできた電流を魔法石に通して、電気魔法石に変換する。今のところは、光魔法石と電気魔法石しか有用できないけど。そういえば、寝落ちする前に何か思いついた気がしたけど、まぁいっか。また思いついたら実行すれば良いやろ。】「マントの方は光魔法で透明になるらしい。」「なら、光魔法で光学迷彩とホログラムによる本体の保護ができそうだな。」「日常の魔力消費にもなるし、ちょうど良いな。」「さて、この国を発展させると宣言したわけだし、何か開発したことにしないとなぁ。転生者と戦うことになった時に手札は取っておきたいから、何なら公開できるだろうか」「試作機で良いやろ。零戦とかも作れることが分かったし、試作機はもう不要。」「そうやな。あと、試作機を公表するなら、魔法石の公表は必須だろう。魔法科学の基盤だし、」「試作機を公表するとなると、初めての空飛ぶ機械になるからなぁ。悪用を防ぐ工夫もしとかないとな。」「防ぐと言うより、悪用されてからの対策を用意しておいたほうが効果的な気がする。」「対策は零戦にしておいて、防ぐ方法は・・・」「公表した相手に条件をつけて提供する形にするか。」「気休め程度ではあるけど、条件を破ったとなれば合法的な攻撃理由を手に入れられるし、ストロング帝国が世界を手にするには良い方法だろう。」「あと、零戦だと魔法石がないから試せないし、試作機にエネルギー増幅機を積んで飛行試験しておくか、エンジンの回路中に増幅機を設置するくらいならスペースに余裕あるし、」「エンジンといえば、あの手が対策として使えるな。」「よし、光学迷彩シールドとホログラムの身代わりを使いながら、平良仁にワビシア国、ベイトリー国、ムートリカ国の人を集めさせて、試作機の公表するか。」「そうしたら、早速シールド粒子に光魔法石を追加して、光学迷彩を起動っと。ハイド、見えなくなったか?」「おー、完璧じゃん。」「よし、あとはホログラムだな。手前に自分を映し出して、動かしてみると。成功。服装も迷彩柄の長袖長ズボンと海賊風で切り替えられるし、結構良いな。何歩か進めさせて、五歩先が限界か、それ以上遠くだと、ホログラムを出せないかぁ。もう少し距離が欲しいが、それは後々開発するか。今は最低限あれば良いだろう。」「ハイドとしては、光学迷彩シールドは常時起動かな?」「そうやな。裏側担当ってことで、存在は隠すつもりだし、表面上は姿見せないようにするかな。まぁ、どのみち光学迷彩は常時起動で、ホログラムを使うか使わないなの違いだけど。」「さて、平良家屋敷に行くか。」
【ノックして外に突っ立って待つのも、俺が下かのように見えるような気がするし、気分的にそのまま入るか。】【なんだ、すぐそこに居たのか。】「松澤さん。何の用ですか?」「最初の魔法科学として、試作機を完成させたんだけど、この世界では初めてとなる、空を飛ぶための機械だからな。まずは、外国相手に発表と提供をするべきだと考えたから、他国との調整を任せに来た。」「なるほど、」「まぁ、提供は交流のあるワビシア•ベイトリー•ムートリカだけでも十分だと思うから、そこら辺を集められれば良いよ。」「分かりました。」「滑走路の近くに会議テントみたいなのを建てておくから、そこで発表ということで、よろ。」【さて、押しつけ終わった訳だが、ホログラム状態で喋ると姿の位置と声の位置でズレが生じるからなぁ。喋る時はホログラムと同じ位置に立ってないといけなくなるから、あらゆる奇襲を防ぐためのホログラムの意味がなくなるという欠陥が判明したんだよな。対策しておかないと。】
【さて、ホログラムの調整もしたいところだが、提供する試作機の準備をしておかないとな。ついでに、提供しない試作機には光型増幅機を搭載させる実験しておくか。】「そしたら、ハイドは魔力増幅機の方をやって、こっちは提供する三機を準備するか。」「把握。」
〜数日後〜
【やっと試作機の発表か、これでどこかの国が条件を破ってくれさえすれば、合法的攻撃理由が手に入れられてゲーム中毒の症状緩和になると良いんだが、PvPの準備だけして、PvPが起きないみたいになるのは防ぎたいところ。一応、仁に各国の印象みたいなのも聞いておいたが、「ムートリカはそこそこ友好的。ベイトリーはあまり好印象ではない。ワビシアはよく分からない。」って感じだったが、ムートリカは友好的に見せかけて実はとかじゃない限り期待できなそうだし、ワビシアは水面下で何かをやっていたりとかかな。まぁ、ベイトリーが一番可能性あるか。そういえば、結局ホログラムは使わずにハイドが後ろから光学迷彩で見張っておくってことになったが、ホログラムに引っかかる敵を見たいなぁ。】
「皆さん、初めまして。ライパング国新国王の源元軍こと、松澤強です。」「ムートリカ国大使、月本 大です。」「ベイトリー国大使、米谷 大輝だ。」「ワビシア国大使、中井 和。」「今日、一世一代の発表があるということで集まってもらったのですが、その発表とは、世界初となる空を飛ぶ乗り物。『飛行機』が完成した旨のものです。」【色んな聞いたことのあるセリフを切り貼りしただけだから、「敬語は使われているが、しかし」みたいな感じになってるのはしょうがないかなぁ。】「空を飛ぶだと⁈」【どうした、どうした、ワビシア。本性出してきそう?w】「・・・なんでもない。続けてくれ。」【本当に、よく分からないな。】「世界初の大発明ということで、我らライパング国と貿易などを盛んに行っている友好国の皆さんに、『条件付きで一機ずつ差し上げよう。』ということで集まってもらいました。」「『キ』と言うのは飛行キの単位のことか?」「空を飛ぶ『機械』ということで、飛行機のことは一『機』、二『機』と数えることにしました。」【実際に、どういう理由で単位が「機」になったのかは知らないけど、七割くらいはこれであってるんじゃないか?】「『キカイ』?」【あれ?前に「機械」って言った時には理解してたような気がするが、まぁ説明すれば良いか。】「特定の操作を行うことで、特定の動きをする物のことを『機械』と言言います。」「なるほど。」【さて、これでムートリカも転生者の常識に疑問を呈したわけだが、残るベイトリーが疑問を呈するかどうかで、転生者と関係がある可能性が変わるが、どうなるかな?】「では、飛行機を提供する条件についてですが、『飛行機は国で管理し、運用すること』、『提供した飛行機を元に、飛行機を製造しないこと』、『飛行機に異常が出た場合は自分に連絡すること』の3つです。一通りの安全確認等はしましたが、一人でできる程度しかチェックはできていないので、以上の条件を守って運用してください。」【条件①は、国で管理してテロ組織みたいなのに渡らないようにする義務。条件②は、空軍配備の禁止。って感じの条件だが、安全面という言い訳を用意したし、ここでの反論はないやろ。】「では、飛行機の『操縦』方法を説明するので、テントの外に来てください。」【ベイトリーの反応はなしか。】「あ、そうそう『操縦』とは飛行機を操作することです。」