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9.


久しぶりの続きです!

よろしくお願いします!



「あっっっっま!!!」


顔を真っ赤にしてフラフラと帰ってきたリーリアはその後ボンヤリと午後の授業を過ごしていた。

あまりの変わりように終業の鐘が鳴った瞬間、マーリンに手を引かれて彼女の家に連行されたのは言うまでもない。


「?これそんなに甘いかなぁ」


フワフワした気持ちのまま、気付けば洗いざらい吐き出されていたリーリアは顔を真っ赤にしながらもマーリンが出したお菓子を幸せそうに摘んでいた。


「そっちじゃないわよ!いや何よそれ…氷の王子はどこに行ったのよっ」


「?」


実はマーリン、既にリーリアの愛しの『お菓子の彼』が誰だか知っていた。

リーリアの話を聞いた当初は、猫相手ならば流石の彼も噂とは違う姿を見せるのだなぁと思いつつそれでもリーリアのことが心配で時折こっそりと覗きに行っていたりする。


「いや元々『猫』相手の時はあの鉄面皮も剥がれて笑ってたりはしたけど…人としてのリーリアとは初対面だったわけでしょ?なのにその対応?おかしくない?まさか…いやでも…」


マーリンの仮説がもし、当たっていたとしたら…

彼はとっくに『猫』の正体に気づいていたことになる。

気付いた上でそれならば、彼もまたリーリアのことを…


「マーリン?」


「…なんでもないわ」


「そ、それでね。彼がね『またおいで』って言ってくれて…」


もそもそとお菓子を食べながらも恥ずかしそうに語るリーリアの後目にマーリンの頭の中は大荒れだった。


というか…正直、それしか考えられないのよねぇ。

そうじゃなきゃ、あの『氷の王子』が!

初対面のはずの!しかも女子と!

2人きりでお菓子食べるはずがない!

しかも何?食べさせ合いっこ~?!

どこのバカップルよ!!もうデロデロじゃないのよ!!


「マーリン聞いてる?」


「氷どこよ!!それもう砂糖の塊じゃないの!!」


「こ、氷?砂糖?」


「リーリア!!」


「はいっ!!」


「リーリア、貴方これからどうしたいの?!」


「どうって?」


「『彼』と、どうなりたいの?」


「っ、どうって言われても…わ、私平民だし」


「そういうのはいいから。あんたの気持ちを聞いてんのよ。彼のこと、どう思ってるの?…もう、答えは出てるんじゃない?」


「…マーリンにはやっぱり、隠し事できないね」


「あんたがわかりやすいだけよ」


そりゃ、あんな幸せそうな顔して語らたら誰でもわかるわよ

アンタの両親なんか、泣いて(父、号泣してたわね)喜んで(母、お祝いしなきゃ!)たわよ。

因みに、弟は大好きな姉が何処の馬の骨とも知らない男に!って怒ってたわよ。


「…あのね、私…彼が好き。彼のこと考えるだけで胸がドキドキして、フワフワした気持になるの。

今迄みたいにお菓子を一緒に食べたりするのがすごく心地よくて、あの穏やかな時間がずっと続けばいいのにって…でも私は平民で彼は王族ってこともわかってる。手の届かない、本来なら傍に居ることも許されない遠い存在だって分かってるよ…それでも人としてじゃなくて…ね、猫でいいから!私は…彼の傍に居たい。せめて卒業までは」


照れくさそうに、しかし寂しそうに語ったリーリアの姿にズキリと胸が痛む。


「…そう」


「だ、ダメ…かな」


心細そうにそう呟いて聞いてくる彼女の頭をポンポンと撫でる。ついでにすっかりへたり込んでいる耳も。


「それがアンタの気持ちなんでしょ?なら別にいいんじゃない?」


「で、でも」


「それに、彼ならアンタのこと全部受け止めてくれると思うわよ?」


だって、彼絶対知ってるわよ。


「そもそも、気持ちなんて止められるものじゃないでしょう?想いあってるなら止める必要も無いし、それはアンタだけのものだから自由にしなさいな。

今迄だって、アンタ私の忠告全く聞く耳持たないで自由にしてきたんだし?まぁ、リーリアらしくていいけどさ」


「マーリン…ありがとう、大好き!」


「…言う相手が違うんじゃないかしら」


抱きついてくるリーリアを受け止めて、呆れたように1つ溜息をこぼしたが…マーリンの顔は優しげに微笑んでいた。






お読みいただきありがとうございました!

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