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極光  作者: 松殿
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地区大会編

でも、同じ位の年の彼女を運ぶのは流石に躊躇したが、これは人命のため、、、ためと心に訴え


た、ただいま。

頭の帽子からぽたぽたと雪が溶けた雫が落ちるのと、苦しそうに荒くした彼女の吐息が響く中、ドタドタと誰かが二階から降りて来る音が聞こえた。

『お兄ちゃんお帰り…て、誰?、』と元気よく言ったのは俺の妹のまなだ。

『お兄ちゃんまさか…』と怪訝そうな顔をしてる妹に、

『そんな事より母さん呼んできて。』といいその場で待つ事に、すると

『ん〜どうした?』と母を呼びに行った妹と入れ替わりにトイレから出てきたのは祖父の三郎爺さん。

『爺ちゃんこの子が駅の中で倒れていたんだよ。しかも凄い熱、すぐに病院に行かないと…。』

ん〜。ちょっと待った、どこかで見た覚えがあるの〜。と彼女をじっと見つめている。


妹に呼ばれ急ぎ足で降りて来た母は『ちょっと二人とも、いつまでそこに立っているの?寒いんだから早く居間に入りなさい。』と怒られた。コートを彼女に被せていた俺はずぶ濡れで、母に彼女を預けて氷つきそうな体を温めに大浴場へ向かった。

家は旅館でたまたま宿泊者が夕食の時間で人が居なかったため、入る事にした。

暖かい〜。冷めた体はすぐにポッカポッカになり、霜焼けの手はジンジンと温められる。

頭まで湯に浸かり、俺は彼女の事を考えていた。誰なんだろ、見た目は可愛いかったな〜と思った後頭に血液が集まって来た感じがした。ざばーん、べ、別にそんな事かんがえて無いし…あれは事故、そう救助だったから問題無いと自分に改めて言い聞かせたが、温泉に入っていた事もあるのか、顔は赤く染まっていた。

その頃、母は近所の町医者を招いて彼女を見てもらっていた。

『熱は高いが、大丈夫でしょう。解熱剤と抗生物質を出しておきますね。』

『ありがとうございます。』と母が言い、お大事にと医者が言って帰っていった。

しばらくして、大浴場から上がって来た俺は、『あの子は大丈夫?』と聞くと、さっき薬を飲んだら少し落ち着いて来たと言い、『お母さんは、仕事戻るね。あの子の事見とくんだよ。』と言い、『うん。』と俺は首を振りそれぞれ持ち場へ行った。

居間に入ると妹と祖父が様子を見ていた。

入ると直ぐに妹から

『兄ちゃんこの人誰?』

と、問いかけられた。

なんて答えれば良いのか、駅で倒れてたから連れて来たとか、信じて貰えるのだろうか…と疑念を抱いたが。

『えっと、え、駅で倒れて居たんだよ』

と俺は答えると、『な〜んだ、お兄ちゃんの彼女さんじゃ無いのか〜。まぁお兄ちゃんにこんな可愛い人なんてありえないし、そもそも人見知りなお兄ちゃんには無理だもんね〜』と妹がお世辞でも無い事を述べた事に対して、なにも反論出来なかったのは悔しかった。だが事実、俺、正親町千歳には16年間一度も彼女無しの生活を送って来ている。

幼稚園、小学校、中学校、そして高校、誰一人として俺の事を好いてくれる人は居なかったー。「それが、どうした、俺にはこの軍艦コレクション(軍コレ)の金剛さんが居るかな〜わはは、わはは。」

そんな俺を蔑む目で見る妹は「はぁ〜」と溜息をついていた。

そんなくだらない物を観ながらお茶を飲んでいた、祖父は急に、立ち上がり

『あ〜思い出したぞ、この子は隣の北見じじいの孫じゃよ』

「え〜」と俺と妹は叫んだ。

「あ、あの爺さんの? 頑固で厳しいと評判の?」と俺は声を震わせながら話た。

「うーむ、間違い無い、確か名前はシャ…シャ…シャーベーット。だった様な…。(違います。…)とにかく、ワシはあのじじいの所へ行ってくる。お前たちはしっかり見ておるのじゃぞ。」と言い、家から飛び出していった。

ちなみに、北見じじいこと、北見旅館は川を挟んで直ぐ向かいの所にあり、家と同じ代々受け継がれている立派な旅館である。

俺の祖父と北見爺さんは幼なじみでありライバルであり犬猿の中でもあるよく分からない関係で、二人が顔を合わせると、いつも…

「おーい、じじいや〜じじいはおるか〜。」

「あら、正親町の旦那さん。どうしたのです?」この方は北見爺さんの妻の楓さん。

「主人ならこの上のスキー場へ行っておりますよ。」

「なんじゃと、まぁええわそれよりもお宅のお孫さんが家で寝込んで居るんじゃはよ来い。」

「え、え〜あの、どうしてですか?」

「そんな事は後で説明するから来るのじゃ。」

「え、ええ。わかりました」

半ば意味も分からず祖父に連れて来られた楓婆さんがうちへ来た。

すると、「まぁ、シャルちゃん。酷い熱。」

「どうしたのですか?なんで…。」

「ま〜なんだ、おい、説明してやれ千歳。」

え、俺が、、。

人見知りな俺は頬を赤らめ少し間を置き、「えっと、えっと…駅で倒れていたので家に連れてきました……。」と軽く状況を説明した。とりあえず緊張から解放された安堵からふ〜と一息つくと、妹が「お兄ちゃんって本当に人見知り凄いよね〜」とからかわれた。

「し、仕方ないだろ。昔からなんだし。」

対照的に妹は誰とでも話が出来る。そこは羨ましいと思った。

とは言え、年が近そうな子との生活。想像をしてみればこれはラッキーなのかも知れないと脳内妄想して顔をニャつかせる。

するとジト目でそれを見ていた妹が「お母さん〜お兄ちゃんがぁ…あぐぅ、うぐ…」

慌てて俺は妹の口元を押さえ、危機一髪を逃れた。

その頃、スキー小屋ではコーヒーを飲みながらスキー板をメンテナンスしてるコーチこと北見鑑連の姿があった。



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