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~1年後

え〜、平凡な戦士職の成り上がりの後日談、ご要望がございましたので2話程投稿したいと思います。


今回はその1話目になります。

「ルークスさん、ミモザさん、マリンさん、そろそろ出ませんか?」


 トオルがルークス達に声を掛ける。


 現在トオルとルークス達はピサロ北の森のダンジョンでレベル上げを行っていた。


「ふう! そうだな! トオルのお陰でかなり経験値稼げたし、そろそろ出るか!」


 ダンジョン出口を目指し歩き出す。


「いや……流石【光速の神剣】トオルだな! 上位種をなぎ倒すあの姿……ケンヤを見ている様だった!」


 ルークスがトオルの戦いに感心しているとミモザも


「本当ね……回復師の私の出番全くないもの……【光速の神剣トオル】その2つ名に偽り無しね!」


 少し膨れっ面のミモザ……


「トオル! ズルいぞ! 私にももう少し出番を寄越せ! 如何に【光速の神剣トオル】と言えど!」


 マリンも納得がいかない様だ……


「皆さん……その2つ名……止めて貰えませんか……ってか、わざと言ってるでしょ!!」


 真っ赤になるトオル。


「「「当然!!!」」」


 3人の揃った返事に膝が砕けそうになる……


 ワイワイガヤガヤ騒ぎながらダンジョンを出ると、ルークスは「んー!」と身体を伸ばしながらトオルを振り替えり


「あれから1年かあ〜、しかしなんだ……まさかお前達がくっ付くとはなあ〜、未だに信じられん……トオルの性癖……恐るべし!!」


「もう! ルークス! そう言う貴方もでしょ! まさかまさかよね〜」 


 本当にまさかなのだ!


 あの邪神軍との戦いの後、ピサロに戻ったトオルはミモザに猛烈にアタック! 見事ミモザを射止めたのだ!!


 あの戦いで死を覚悟したトオル、何も怖い物など無い! その恥も外聞も無く自分に迫るトオルにミモザもほだされた様だ。


 現在ミモザはトオルの婚約者、第2夫人候補となっている。


 第1夫人は当然あのマーガレット嬢、本人が言っていたように本当にピサロに移住してしまった。


 第2夫人としてミモザを紹介されたマーガレットは怒る訳でもなく、むしろ姉が出来た様で嬉しいと喜んでいる。


 そしてルークスは……

 

 マリンと結婚していた!


 口説いたのはまさかのルークスから。


 プロポーズから僅か1ヶ月でのスピード婚である!


 新居も構え、傍目め気にせずギルドでもイチャイチャしている姿はかつてのマリンからは想像もつかない……だか結婚後、明らかに女性らしくなって行くマリンに周りの冒険者達も驚きを隠せずにいる! ふとした際に妙に色っぽく見えるそうだ。


 そんなマリンを見る冒険者達にやきもきするルークス……


 なんにしても幸せそうではある。




 北の森を抜け平原に出ると、見習いの子達がスライムを相手に苦戦していた!


 よく見ると男の子2人と女の子1人のパーティ。


 男の子2人が戦士系、女の子が魔術師の様だ。


 なんとか凌ぎ、ダメージはもらっていない様だが……


 トオルは昔の自分を思い出す。


 そう言えば俺も最初は……


 つかつかとその見習いパーティに向かって行くトオル。


「手伝おうか?」 


 トオルが声を掛けると目を丸くして驚いている。


「お、お願いします!」


「了解した!」


 トオルはショートソードを鞘から抜くとその場から姿が消える!!


 驚く見習いパーティの子供達!


 さっきまでいたトオルが突然その姿を消したのだ!!


 その直後!


 パンッパンッパンッ


 スライムの弾ける音が聞こえトオルが姿を現す。


 見習い達は口をあんぐり開け固まってしまっている……


「大丈夫? 怪我とかしてない?」


 トオルが声を掛けるとハッ我に返り


「「「ま、まさか! 光速の神剣トオルさん!!」」」


 くっ! 思わず悶絶しそうになるトオル……


 なんと気力で持ち堪える!


 この2つ名を付けたギルド長……絶対デコピンしてやる!!


 流石弟子と言うか……発想がケンヤそっくりだ……


「すげーっ! 俺あんなの初めて見た! ってか見え無かったけど……」


「だよな! こんな簡単にスライムを! しかもあの動き……勇者パーティの一員だったトオルさん! スッゲー!!」


 大絶賛である。


 そしてもう1人の魔術師の少女はと言うと……


 両手を胸の前で組み、頬を赤らめぼーっとトオルに見とれていた……


 トオルは頭をかきながら


「お前達、街から離れ過ぎだぞ! 見習いのうちはもう少し街に近い所でレベルを上げるんだ。わかったな!」


 なんて俺とサラも最初調子に乗ってバサンの丘の帰り道、スライムに襲われてケンヤさんに助けて貰ったっけ……


 昔を懐かしむ様な目で見習い達を見つめる。


 するとミモザはトオルに腕を絡めて来ると、イタズラっ子の様な表情で言い放った!


「この子達、貴方が鍛えたらどうかしら?」


 えっ? お、俺がこの子達を???


 見習い達の目がパっと輝く!


「だってねえ……ほっては置けないでしょう。貴方も実はそう思ってたんじゃなくて?」


 ん〜……俺が弟子を……確かにほっては置けないけど……


 うっ! キラキラした期待の籠った目で見つめてくる……


「クスッ、あなた達、後一押しよ!」


 ミモザさん……何を……


 ズサっ!


 あっ……3人共土下座してるよ……


 なんなんだ? さっから感じるこのデジャブ感想……


 トオルは溜息をつくと……


「分かった! 分かりました! 鍛えます! しばらく面倒みます!!」


 見習い達はパッと顔を上げ


「や、やったあ! 俺達あの【光速の神剣トオル】の弟子だそ!!」


「マジか……俺もあんな風になる!!」


「ウソ……夢みたい……トオルさんの弟子!」


 はしゃぐ見習い達。


 そんな3人を見て苦笑いのトオルである。


「まさかあのトオルに弟子が出来るとは……なんか感慨深いな……」 


 ルークスが呟く。


「だな……私の中ではまだ子供だった頃のトオルの記憶が鮮明に残ってるんだが……」


 マリンもルークスに寄り掛かり昔を思いだす。


「あら、私の旦那様はまだ13歳だけど、もうすっかり1人前の男性なのよ? ねえ!」


 トオルの腕を取り、その豊満な膨らみを押し付け意味深な事を宣うミモザ……


 トオルは……ご、ゴホンと咳払いをする。


 すると……見習い達が空を見上げ何かを指さしている!


「と、トオルさん! あ、あれ……もしかして!!」 


 トオルが目を細め指差す方角を確認する。


 あっ! あれは……


 確認したと同時に物凄い速さで上空を飛び去って行った……


「ケンヤさん……大変そうだな……」


 飛び去った方角を眺めポツリと呟く。


「あのアルファって奴のレベル上げに付き合ってるんだろ? 聞いた話じゃあ世界中のダンジョンを攻略しまくってるって話しじゃねえか……異変後のダンジョン攻略に各国皆喜んでいるらしいが……」


 ルークスの言う通り、ケンヤ達は今世界中を飛び回っている。


 なんでもアルファさんの種族、創造主ってかなり曲者の様で、極端にレベルが上がりにくいらしい……ケンヤさん曰く、レベルが上がりにくい種族はレベルが上がれば普通の種族よりかなり強くなるらいのだが……


「これは暫くケンヤさんピサロに戻れないな……」


「けどトオル、前から思ってたんだが、お前は付いて行かなくて良かったのか?」 


 ルークスに尋ねられるが、トオルは首を横に振る。


「ルークスさん……考えて見て下さい! ミコトさんはまだしも、身内で妹のサラと師匠のケンヤさんがイチャつく姿……兄の俺はどんな顔をしていれば良いんですか!? 一緒にいるアバロンさんの気が知れません……」


「…………フッ!」


「そら! 光龍さんも僕に同情してくれています!」


 無口なので普段皆気が付かないが、光龍はずっとトオルと共にある。


「「「光龍! 喋んないと存在忘れちゃうでしょ!!」」」


 3人に突っ込まれる光龍……


「…………フッ!!」


「「「いや! だからなんか喋ろう!!」」」


 相変わらずである……


 新たにトオルの弟子になった見習い3人は初めて聞く光龍の声に感激しているようだが……


 すると……先程ケンヤ達が飛び去った方角から何やらとてつもないスピードでコチラに向かってくる!!


 なんだ!?


 ヒュンっ!!


 突然トオル達の前に現れた人物!


 6付12枚の翼……肩には精霊……


 見習い達は腰を抜かしている!


「た、頼むトオル!! 匿ってくれ!!」


 情けない顔でトオルの背中に隠れようとする人物……ケンヤであった。


「ちょ、け、ケンヤさん! 何があったんですか!? ってかそんな目立つ翼……隠れようがないですよ!!」


 ハッとし翼を消すとルークス、ミモザ、マリンにも


「頼む……あのアルファ限度を知らん……後はミコトとサラに任せた! 女の子同士上手くやるだろ……アバロンは……知らん! とにかく俺は逃げる! とりあえずオリブの宿にでも逃げ込むから、奴らが追って来たらケンヤは暫く1人で旅に出ますと伝えておいてくれ! じゃ!!」


「トオルお久! ケンヤの一大事だからね! また後で! ビシッ」


 早口でそう言うと物凄い土埃を上げながらピサロの街に向かって走って行った……


 突然の勇者の登場に腰を抜かす見習い達……


「おい……今の……勇者ケンヤ様か!?」


「あ、ああ……確かにトオルさんがケンヤさんって……マジかよ……初めて本物を見た……」


「本当に噂通り12枚の翼があるのね……」


 3人共勇者の登場に驚き、あの情けない顔に気付いていない様だ……


 ホッとするトオル……


 流石にこれから自分の弟子になる子達に、自分の師匠の情けない姿を見せる訳には行かない!


 なんて思っているとルークスに肩を叩かれ


「おい……またなんかくるぞ……」


 見上げると……そりゃ追ってくるよね……


 予想どうりのフロストドラゴン。


 トオル達の前に降り立つと……フロストドラゴンさん……何やらお疲れのようだ……


「トオル君、お久しぶりね……」


「お久しぶりです……んで……何があったんですか?」


 …………


 沈黙のフロストドラゴン……


 ガシッ! アルファに両肩をイキナリ掴まれ揺さぶられるトオル。


「コラ! トオル! ケンヤを何処に隠した! 出せ! 早く出せ! 私のケンヤを出せ!!」


 な、なんなんだ!?


 ふと見るとミコトさんとサラが頭を抱えていた。


 アルファを引き剥がしミコトさんとサラの元に向かう。


「あの……ミコトさん、サラ、一体なにが……」


 溜息をつきながらミコトさんが話してくれる。


「あの……アルファさんなんだけど……ケンヤさんから全く離れようとしないのよ……、彼女悪気は無いのよ、ただ……度が過ぎると言うか……最近じゃおトイレまでケンヤさんに付いて行こうとする始末で……」


 マジかよ……それケンヤさん一番嫌いなやつじゃない? 束縛とかホント嫌う人だから……


 サラもコメカミの辺りを指で揉みながら


「私もミコトさんも散々アルファさんには言ってたの……あまりに酷いとケンヤさん逃げちゃうよって……そしたら案の定……さっき上空からお兄ちゃん達を見つけたと思ったら、ひっつくアルファさんを私達に預けて後は任したと……飛び降りちゃった……」


 頭を抱えるトオル……


「な、何が悪いのだ! 愛し合う2人が何時も一緒にいるのは当然では無いか!!」 


 あ……ダメだこりゃ……


「あのねアルファさん、貴方のそのワガママでホントケンヤさんが居なくなったらどうするの? ケンヤさんルシファーさんの力も使える様になった事忘れてない? このままだとあっちの世界に逃げてっちゃうよ?」


 ガーーン!!


 ケンヤがあっちの世界に逃げていっちゃう!?


「そ、そんなのダメだ! 我はケンヤとずっと一緒にいるのだ!!」


「だね、一緒に居たいよね? ならもう少し我慢しなきゃ! ミコトさんやサラはそんなワガママ言っているかな?」


 な、なんだか小さな子供に言い聞かせている見たいだ……


 自分で喋りながら自分を突っ込むトオル……


「ゔ〜、言ってない……」


「だろ? 2人を見習ってさあ、我慢できる?」


 アルファはトオルを見、次にミコトさんとサラに振り向くと……


 小さく頷いた。


 ホッとするミコトとサラ。


「お兄ちゃん……凄い! 私達がどれだけ言っても言う事聞いてくれなかったのに……」


「ホントそう! トオル君! 尊敬するわ!!」


 余程苦労してきたのだろう……絶賛してくれる……


「なら今日はケンヤさんをのんびりさせてあげましょうよ! ケンヤさん久々のピサロですよね? オリブの宿で積もる話しもあるだろうし、ミコトさん、サラ、それにアルファさん、今日は俺の新居に泊まってよ! なんか無駄に広くて部屋は余っているからさっ!」


 王族のマーガレットとの婚約、そして第2夫人ミモザを迎え入れるにあたり、トオルは王家がピサロに用意したどこの大貴族の邸宅? と言う程の豪華な屋敷を与えられていたのだ!


「ミモザさん良いよね!」


 トオルがミモザに尋ねると、ミモザも笑顔で頷いている。


 あっ! ついでだしと新たに弟子にした見習い3人にもトオルは声を掛ける。


「君達も今日は家に来なよ! 弟子になった記念だし家で食事でもしよう!」


 見習い達は目を丸くする!


「僕達も……いいんですかっ! だって……伝説級の人達と食事するなんて……」


 ん? 伝説級?


「だ、だよな! 魔王であり【美雷王ミコト】さんに、【氷結の神槍サラ】さん! 魔人アバロンさんに謎の美少女アルファさん! 豪華過ぎる!!」


 アバロンさんの存在忘れてた……


 あっ! 隅っこでイジケテル……アバロンさんゴメンなさい……


「それにアルファさんって……あの勇者アキラの生まれ変わりって噂だぞ!」


 い、いや……その噂は……あながち間違っては居ないけど……生まれ変わりではありません!


 見習い3人の盛り上がりとは逆に悶絶しているミコトさんとサラ……


 僕もそうだけどこの2つ名全然慣れない……


「なあトオル! 俺達もお邪魔していいか? どうせならパーっと行こうぜ!!」


 ルークスがマリンさんの肩を抱きながら聞いて来る。


「勿論是非来てください!」


 今日はケンヤさん抜きで楽しもうと言う事になった!



 だがミコトとサラは一抹の不安を覚える。



 ケンヤさん1人にしてまた新たな夫人候補とか連れて来ないかしら……



 その恐れている事は現実になろうとしていた!



 ケンヤがピサロの街に帰って来た事を目敏く察知した某組織が……密かに動き出すのであった。


 


 










 







 


 


 


 


 


 





トオルくんの性癖パワー……凄いですw

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