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この国は今、終わろうとしている。
相手方が飽きるまで終わることの無い戦争に対し、この国の兵士たちは疲弊、貴族たちは亡命、民たちは貧困に喘いでいる。
別にこの国は特に何もしていない。戦争を仕掛けたわけでも、反撃したわけでも、相手方に理不尽をふっかけたわけでも無い。
今でも、必要最低限の防衛戦を繰り返しているだけで。
そもそもこの国はほんの数ヶ月前までは戦争など無縁のただ普通の平和な国だったのだ。
それがなぜこうなったのか、どうしてこんなにも多大な犠牲を払うことになったのか。
それは一ヶ月前に遡る。