2、ここはどこ、私は何者?
「にッ!」
激痛で意識が戻った私は目を開けると、路地のような場所にいた。
ここはどのだろうとうつ伏せになっていた体を起こそうと腕に力をいれて立ち上が…
「!」
酔ったような感覚とともに、倒れこんでしまった。
た、立てない…どうしよう。とりあえず助けを呼ばないと…
「にゃー!」
………は?
・
とりあえずあたりを見渡し、体を確認すると
・白い毛並み
・手に肉球
・頭には耳がある
・お尻には尻尾が生えている
結論。私は人間をやめていた…
え、え!なんで!なんで!なんで!なんで‼︎分からない!訳が分からない‼︎意味が分からない‼︎
頭がいっぱいいっぱいになり、現実を受け止められず
「にゃー、にゃー、にゃー、にゃー、にゃー、にゃー」
泣いた。声を出して泣いた。久しぶりに思いっきり泣いた。
・
何時間泣いたか分からない。ただ声が枯れるまで泣いたので涙は出てるが、声は出てこない。
少しずつ落ち着いてきて、いっぱいいっぱいだった頭は随分軽くなっていた。
少し状況を整理しようと思い、今この現状の確認を始めた。
人間をやめているのは分かったので、今自分は何者になっているのか確認しようと思ったんだけど…
声といい、体の特徴といい『猫』よね。これ…
自分の顔を確認出来ないので推測でしかないけど、なんで猫になっているの私?
気を失う前は確か…
習い事の帰り道に対向車がこっちに向かってきて…
あぁ私死んだのか…車に轢かれて…でもなんで猫に?
輪廻転生ってものかしら、死んだら他の生き物に転生するってあれ。
でも記憶があるのよね。
とりあえず、今は記憶があることに感謝をして家に帰ろう。
と思い立ち上がろうと…
「!」
酔ったような感覚とともに…以下省略
そうだった今私猫なんだ…と思い出し、四足で立ち歩き始めた。
家に帰ってどうするのかとか、これからどうするのかとか色々不安はあるけど、とりあえず前に進まなきゃと思った私は路地のような場所から表に出て…
甘い幻想は打ち砕かれた…