【ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"】彼女と目覚まし時計
ジリジリジリジリ♪
スカッ
ジリジリジリジリ♪
スッスカッ……スカッ?
ふぁぁ、おかしいです。
目覚まし時計の音は聞こえているのに、目覚まし時計がありません。
でも心なしか目覚まし時計の音が小さくなっていくような……って。
ガチコンッ!
「はぅあぁああ!?」
目を閉じたまま横着していたあたしのおでこに、硬いものが衝突しました。
既に朝になっているのに、目を開けてもお星さまがチカチカしています。
「あいたたたた……あぅ」
ふと横を見ると、そこには目覚まし時計が静かに転がっていました。
ああ、なるほど、これが頭の上にゴツンと落ちたんですね。
うんうん、優秀な目覚まし時計です。なにしろあたしのおでこに大きなコブをこさえてでも、あたしを起こしてくれたんですから。
……うん、まあ、わかってますよ?
ポルターガイスト現象で浮かんでたんですよね、これ。
この目覚ましがもっと高い位置から落ちていたら……
あるいは包丁のようなとがったものが落ちて来たら……
フルフルッ
「まあでも、何とかなる!」
明日からは、寝室には硬い物は置かない事にしよう。
目覚ましはどうしても必要だから、柔らかいぷちぷちで沢山包み込んでっと。
――うん、これできっと大丈夫!
そして次の日。
ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリ♪
「うう、うるさいよぅ」
目覚まし時計を止めるため、あたしは一心不乱にプチプチと戦うのでした。
平成28年9月某日。
なろうのお知らせ欄に更新があり、二次創作を受け付ける作品がひとつ追加されるという通知がありました。
何でも『ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"』という作品が二次創作を受け付けるとの事です。
小説家になろうで二次創作が許されている作品は結構少ない。
大半はゲーム関係の作品でフリーゲームだったりTRPGだったりで、珍しいものでは『キノコ擬人化図鑑』なんてものもありますが、それは以前このサイトでコンテストを開いたときの名残りらしいです。
そんな中で『ログホライズン』の二次創作が認められている所に如何にもなろうっぽさを感じます。
まあ結局、実際に投稿される二次創作は、御多聞にもれる事無く東方プロジェクトが大半です。
――と、ここまでは少し調べれば誰にでもわかります。
「スピリあ!……って、何?」という私の疑問は、すぐには解決しませんでした。ゲームなのかアニメなのかWEB漫画なのか、公式ホームページを見ても何なのかが全然わからなかったんです。(今はホームページが更新されてだいぶ見やすくなってきてます)
「ここまでよくわからないと、逆に二次創作書きたくなるよね」という、おそらく誰からも共感を得られない理由から創作意欲を掻き立てられて、ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"について本気出して調べました。
ここで推理小説風に面白おかしく書ければよかったのでしょうけれど、今回は結論をさっさと言っちゃいます。
『ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"』は『SAI-U』というアプリの中でアフレコの為に使用されるアニメーション作品でした。
『SAI-U』とは即ち「声優」で、声優志望、もしくは同人的にアフレコを当てたい人間がダウンロードして遊ぶスマホのアプリのようです。なろうの様に実際にデビューする所までつながるのかはわからないけれど、何となく小説投稿サイトに近いものを感じます。
そのアプリの中にはアフレコ用の台本やアニメーションなどが多数存在していて、その中の一つが『ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"』という作品でした。
もしかしたら、この先SAI-Uを飛び出して大きく展開していくのかもしれませんが、現時点ではまだ一分間の四コマ動画が一つあるのみです。
正直な所『ぬいぐるみの妖精"スピリあ!"』そのものがどのような作品になっていくのかも分かりません。何故SAI-Uの作品の中でもこの作品だけがここ小説家になろうで突然解禁されたのかも不明です。
結局わからない事だらけでグダグダのまま、私の調査は終了したのでした。
それでもちょっとした短編を書くくらいならなんとかなる!
……うん。絶対間違ってる。