表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆笑。①  作者: 万屋
1/1

皆が笑顔に包まれたその後、世界が一変する。

・・・もうひますぎて、考えることさえもしなくなってきた。今日、この頃。

 小さいころは、何かないのだろうか。何でもいい。なんでもいい。何かないのだろうか。そう願いつづけていた。例えば!明日地球が破滅するとか。例えば!この世から陽菜以外の人間が一人残らずいなくなるとか。そんなファンタジーがかった世界の招待状が届くのをを陽菜はずっと待っていた。(今思ったけど子どもって怖いわー自分だけど。なんちゅう想像してんねんって突っ込みたくなる。)が、そんなものは早々っていうか普通届くものではない。小さいころの陽菜も小学6年生になってその事を理解した。その後の陽菜の人生は何もなかった。と、思う。退屈過ぎて、退屈過ぎて何も覚えていない。正直、何か事件でも起こってくれないかな。と思ったこともある。この話を他の誰かに話したらきっと怒るだろう。お前は今の生活と人生がどれだけ幸せかわかってない。世界には普通に生きれない人もいるんだぞ!・・・みたいな。少し大げさかな、熱い体育教師のような言い分になってしまった。まあそんなこんなで今現在は陽菜は高校生だ、そのころよりも陽菜の脳内も世界も白けてしまった。


__________________嘘のような現実は唐突に始まる。


 いつも通り、7時にうるさいタイマーを止める。いつも通り、リビングに降りて母親がセールで大人買いをしたハム、チーズを乗せた食パンをかじりながら、テレビのリモコンを取る。テレビをつけても陽菜は見ないのだが、これは日課だ。この世界のすべてが初めてで陽菜の世界がとてもキラキラ輝いていた時からの。そのとき、陽菜より少し遅く起きる母親の美代子と父親の重信が階段からひょこりと顔をのぞかせた。

「ひなちゃん、おはよ」

「はよう、ひな」

「おはようー朝ごはん、できてるよ。」

「ええ。」「いつも悪いなあああああああああああああああああああああああああああああ」

 ・・・は?

 陽菜と美代子はポカンと顔を見合わせる。だって意味分からないんだもの。声を出そうにも【それ】にかき消される。ふたりが見たもの、それは

 父親、重信が狂ったように大声で爆笑している姿だった。

「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」

美代子がいかにも恐る恐るというふうに近づく、そして呟くように呼び掛ける。

「お・・・おと・・う・・・さん・・?」

しかし、重信は答えない。ずっと機械のように大声で笑うだけだ。陽菜の体を恐怖がじわじわと毒のように蝕んでいった。それは美代子も同じだったらしい。美代子は目から流れる大粒の涙を絶やすことなく垂れ流している。やがて重信から聞こえていた笑い声はカヒュー、カヒューと苦しそうに息をする音と入り混じるようになった。はっとして振り向くと、もう、重信は動かなくなっていた。笑うことをやめた重信の顔は体中から出る涙やよだれなどの体液でぐじゃぐじゃだった。しかしその顔は離れて見ても分かるほど苦痛と絶望で歪んでいた。

「いやああああああああああああああああああ!おとうさああああああああああああ!!」

ついに美代子がこと切れて泣き出し、陽菜は何をどうしていいか分からず、茫然としていた。たった今起こった衝撃的過ぎる出来事で完全に思考はショートしている。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ