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冒険は武器屋から  作者: 真空
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駆け出し勇者たちと武器屋 (9)

 説明していない設定や技術が多いですが、頭を空っぽにして「そういうものがあるんだ」という姿勢で読んでもらえると助かります。本来であれば、ひとつひとつ丁寧に説明するべきなんでしょうが、どうしてもテンポが悪くなってしまいそうな気がしましたので、あえて省略しています。

今後の展開の中で、ひとつひとつについて細かく説明する機会があると思います。


 また、私自身も混乱するかもしれないので、どこかのタイミングで設定資料を公開するかもしれません。

 大通りから少し外れた一角になる武器屋アーチェリア。


 すでに夜は更け、多くの人々が寝静まる中、その武器屋にだけは灯りが点いていました。

 点いていました……と言いますが、点けたのは私ですし、武器屋は私の家ですけどね。


 久しぶりに立ち入った工房には、私がカナタさんの杖のために製作していた様々な装飾具がありました。

 可愛いもの……というリクエストに応えて準備していたのですが……さて、どの程度利用できるますかね……。杖の方向性が少し変わったため、デザインを一新する必要が出てきたのです。


「ルミスくん。素材はこれで最後だ」

「人遣いが荒いなー、ルミスさんは」


 リオンさんとタクマが大きい麻袋を持って来て、指定された場所に置いてくれました。

 勿論、その袋の中身は杖に使う素材たちです。思ったよりも大量にあり、おかしいと感じて確かめたところ、全ての素材が発注した量の二倍近くはありました。どういうことかパポンに訊いたところ、「冒険者さんたちがみんな厚意で納品してくれたらしいよ? ルミス、モテモテじゃん」と、にやにやした顔で言われました。


 なんで、そんなにしてくれるんでしょう?

 と疑問を感じますが、しかし結果的に仕様変更となったため、素材が余分にあるのは助かったといえます。しかし、芯となるヒートホースの角は一本しかないため、失敗は出来ません。


「しかし、リオンって普段はそういう喋り方なんだなー。俺はあの喋り方の方が好きなんだけど」

「ぅ……!? ククク……私も薄々勘付いてはいたが、やはり私と貴様の波長は合うようだ。【不屈の勇者】よ! 今度、私が乗り越えてきた数々の試練の話をしてやろう。きっと、貴様のためになるはずだ」


 どうやら私の知らないところで二人は面識があったようです。

 キラキラと目を輝かせて「おおっ! ぜひ聞きたいぜっ!」と興奮するタクマと、調子に乗って高笑いをするリオンさん。いや、隠密行動中だから静かにして欲しいんですけど。


 パポンに護衛を二人お願いしたところ、「もう、そこの二人でいいじゃん」と言われ、結局リオンさんとタクマが私の護衛をすることになりました。リオンさんはともかく、タクマは疲弊しているのではと思ったのですが、それは見た目だけであって、元気そのものらしいです。


「因みに、酔っ払い二人組はどうしたのですか?」

「宿屋に帰って寝てると思うぜ? あの二人体力ないよなー。ははは」


 多分、あなたの体力が人並より多いのだと思います。

 タクマは剣術や回避行動などの技術面はまだまだですが、体力と回復力、そして根性だけは、頭ひとつ抜けてますからね。


「それで、具体的にはどういった手順で杖を創るんだ?」


 リオンさんが素に戻って(もう、どちらが素かわからないけどこちらを本人格としておきます)、私に問いかけてきました。まあ、二人も杖を創るのを協力するためにいるわけですから、大体の手順を知っておきたいのでしょう。


 私は簡単ではありますが工程を説明しました。

 まずは杖の部品を創っていきます。大まかに分けると『持ち手』『魔水晶』『装飾具』です。

 あ、ずっと説明が続くので面倒な人は飛ばしても大丈夫ですよ。


 持ち手とは杖を人が持つ部分ですね。

 ここには【絶氷石】を素材として用います。おそらく、杖が高熱になることもあるため、それで持てなくなってしまっては欠陥品です。そのため、安全を考慮して持ち手に永久に凍り着いているという絶氷石を使用して、高熱と相殺します。勿論、カナタさんの小さな手でも持ちやすいように加工しますよ。


 魔水晶は、杖の根幹ともいえる部品ですね。

 魔力の制御などを補助する役割を持っています。使い手が発動する魔術に応じて、自動的にその魔力の調整を行います。え? これがあれば杖なんていらないって? いえ、違うんですよ。魔水晶は全体を統括する係であって、制御自体は杖全体で行うんです。わかりやすく例えるなら……魔水晶がコンピュータという奴で、杖がハードウェアという奴です。

 素材には黄金塊を外殻としてフレイムガイストの心霊痕を核にします。まあ、実はこの魔水晶って、本当は精製できない物なんですけど……【錬金術】を嗜んでいる私には関係ないですね。その後は、【魔印字(ルーン)】で、中身に命令を書き入れて行きます。この場合はああしろ、とか。こういった条件のときはこうしろ、みたいな感じですね。


 そして装飾具ですが……それはすでに創ってあります。

 こちらに関してはあまり意味は無いですが、せっかくの専用の杖なので、本人のお気に入りを創りたいじゃないですか。だから可愛い装飾具を創ったつもりですが……果たしてどうなることやら。


 そして、最後に杖の芯となるヒートホースの角の加工を始めます。剣を鍛えるときと同様にして、角を炉で熱し、その後大まかな形を創っていきます。このときに必要となるのが【白熱石】です。通常の炉ではヒートホースの角は全く融けません。むしろ逆に炉の中身が焼き尽くされるかもしれません。そこで白熱石を炉に敷き詰めて高火力を目指します。勿論、一気に加熱すると角が壊れる可能性があるため、徐々にゆっくりとが基本です。


「と、こんなところですが……まあ、タクマはそういう表情しますよね」

「ご、ごめん。ルミスさん。俺にはさっぱり」

「すまない。色々と常識とかけ離れたことがあって私も混乱している」


 困惑している二人でしたが、まあ彼らが出来ることを逐次指示すればいいことです。何も、本職のようにせっせと動けとは言えません。


 タクマには炉の準備……は、難しそうなので、白熱石を炉の近くまで運んでもらうことにしましょう。そう言うと、「わかった!」と馬鹿正直に素手で掴もうとしたところを止めます。


「手が一瞬で炭化しますよ? 絶氷石を粉末状にして織り込んだ手袋を使って下さい」

「ん? おお……すげえひんやりするグローブだ……。これ、夏にあったら重宝するなー」


 やはり、こういった単純な力仕事がタクマには向いてますね。

 次々と石を運んでは積んでいきます。しばらくは任せて大丈夫でしょう。


 タクマの働きっぷりに感心しているリオンさんに声を掛けます。


「リオンさんには、少し確かめて頂きたいことがありまして……」

「ん? 私に確かめたいこと?」

「はい、これなんですが……何分、記憶が曖昧でして」


 私は一枚の羊皮紙をリオンさんに渡します。これは管理局で、素材運搬の準備期間に急いで作成したものです。

 彼は紙に書かれた文字列を見て、眉に皴を寄せていました。


「まさかとは思うが……【退魔の唄】かい? なぜ、教徒でもない君がこれを知っているんだ?」

「知人が好んで唄っていたのを聞いてたんですよ。それで歌詞をなんとなく覚えていたんですが、やっぱり記憶があやふやでして、訂正をお願いします」

「……ふむ。なるほど。ざっと見た限りだと所々言い回しが荒っぽい。君のその知人というのは、熱心なコスモ教徒では無かったようだな」


 それはその通りなんですが……本人が聞いたら「神様に平手打ちをしたいわ」とか、言いそうです。


 リオンさんは私のお願いを了承し、すぐに添削作業に入りました。

 悪魔祓いである彼にとって、邪悪なるものを退けるという【退魔の唄】は馴染み深いのでしょう。まあ、これは才能がある人が唄わないと本来の効果を発揮しないらしいですけどね。

 魔刻字に、つまり文字に力が宿るように、こうした歌詞の文字列にもその効果はあるはずです。むしろ、これは対悪魔を想定して綴られたそうなので、効果覿面でしょう。


 さて……それでは私も仕事に移りましょう。

 右肩は痛みますし、左手に関しては何かを持つことすらままなりません。

 ですが、痛みを無視すれば全然大丈夫です。

 覚悟を決めて、愛用の鎚を持ちます。





 こうして、夜更けの武器屋にて、一本の杖を創るための作業が始まりました。

 ときにはタクマが火傷しそうになったり、リオンさんの狂人格が悪ノリを始めたり、五月蝿くて仕方がない仕事場でしたが、まあまあ進捗は順調でした。


 途中で、リオンさんの添削が終わり、退魔の唄の正式な歌詞が判明しました。これを見る限り、本当に彼女は適当に歌っていたことがよくわかります。


「それで、これをどうするんだ? まさか杖に書き入れていくのか?」

「違いますよ。片手用の杖に、こんな長い歌詞を書き入れることはは物理的に不可能です」


 では、これをどう利用するのか。


「魔水晶に書き入れて、【安全装置】(セーフティ・ロック)として使います」

「おい、ちょっと待て。さっき自分で否定したばかりだろう? 小さな杖に書き入れるのは不可能だって」


 ククク……。だが、貴様なら不可能を可能に変えることが出来るかもしれないな…。と、また発作を起こしますが、無視します。でも、発作を起こすたびにタクマが「かっけえ!」と反応してくれるので、リオンさんにしても悪い気分ではないでしょう。


「そうですね……。言葉で説明しても難しいですし、見た方が早いかもしれません」


 私は一度工房から出て、平板型の魔水晶を持ってきます。大きさは、勇者学校でもよく使われるノートくらいですかね。私はそれを机に置くと、エプロンのポケットから筆を取り出します。見た目は黒く、高級感が漂う一品ではありますが、そのペン尻には微かに青く光る魔水晶が取り付けられています。その魔水晶に手を触れると、ペン先に青い光子が凝縮され、一点の光が灯されます。


 これがアーチェリア七つ道具のひとつ。

 【魔刻字用万能ペン(ルーン・ライター)】です。


 リオンさんに添削して頂いた退魔の唄を見て、その文字を、歌詞を、意味を記憶していきます。

 そして、平板型の魔水晶にペン先を触れて……一気に歌詞を書いて行きます。このとき、ペンの動きを止めることはできません。すべての文字がつながるように、けれども文字を間違わない様に最速で書き進めて行きます。

 端から見ているリオンさんからしたら、私が青く光る文字を適当に書き殴っているようにしか見えないかもしれません。それは当然でしょう。私は魔刻字を左から右に向かって書いているわけではなく、円を描くように、文字で【魔刻印】を創っているのです。知識が無い人が見れば、それはただの落書きにしか見えませんしね。


「っと、できました」

「早いな……。教徒が転写作業をすると一時間はかかるというのに」


 平板には、退魔の唄の歌詞がすべて繋がり、それが円を形成しています。長い歌詞のため、円は幾重も形成され、まるで年輪のようにも見えました。文字たちは漂うようにゆらゆらと揺れていますが、絡み合うようにして円の形が決して崩れることはありません。

 さて、ここからが新技術です。

 私が平板に手を触れると、文字たちが指に絡みつくように集まってきます。すべての文字が集まったことを確認すると、その文字たちを宙へと放り出す様にして両手を広げ、文字の存在を二次元から三次元へと存在を昇華させます。空中に浮かんでいるのは、薄い円である魔刻印。私は再び魔刻字用万能ペンを取り出し、魔刻印に触れます。そして優しく、そして丁寧に何重にもなった円をひとつずつ回転させていきます。とある円は上下に、とある円は左右にスライドし、まるでパズルのように円同士の間に生じた隙間を埋めていきます。当初は、人の頭ほど合った魔刻印も、いまでは握り拳程度まで凝縮され、二次元の円から球へと形を変えていました。しかし、この形態になっても歌詞は全て繋がり、その意味を、その効果を失ってはいません。


「それで……よっと」


 予め用意してあった(先ほど創った)杖用の魔水晶に、その球を触れさせます。反発することなく、球体は魔水晶の中へと吸収されました。念のため確認すると、球体にうっすらと退魔の唄の歌詞が読み取れました。


「これで良し……と」

「驚いたな……。何て言っていいかわからないよ」


 ポカンとした顔で驚いてるリオンさん。

 まあ、これは私も今日初めて試した新技術でしたので、成功する自信はありましたが緊張はしていました。


 カナタさんの魔力値を測定した魔水晶の投影機能を久しぶりに見て、これ転写機能としても使えるかも! と閃いたのが始まりでした。

 改造と改良の結果、二次元上の文字列を三次元上に再構成し、他の魔水晶に転写することが可能となりました。しかし、三次元上であると空間上の間隙が多いために、文字の結びが弱いとすぐに解けてしまう難点もありました。そのため、魔刻字は一筆書きですべてがつながるように工夫をする必要があったわけです。


「君は武器屋だけど……【鍛冶師】、【魔杖師】、そして【付加術師(エンチャンター)】でもあるわけかい?」

「えっと、……それに加えて【錬金術師】、【調合師】、【鑑定師】であったりもします」


 私の言葉を聞いて、リオンさんは「受付嬢さんが言ってたことの意味がわかってきたよ……」と肩を竦めていました。まだまだできることありますけど、全部言ってたらきりがないですから、自重しましょう。


 何はともあれ、ようやく魔水晶に安全装置を組み込むことができました。

 黄金色に輝く魔水晶に浮かび上がっている青色の文字は、私が想定する最悪の事態のときに効果を発揮するように組み込みました。これが使われないことを祈っていますが、果たしてどうなることやら…。






 気付けば夜も明け、昼が過ぎ、夕暮れが訪れ、また夜がやってきました。

 鐘の音を聞くたびに時間の流れを感じ、なるほど【時を司る街】とは正しい表現だと感心しました。

 私たちは文字通り不眠不休で作業を続け、そして残る大仕事はただひとつ。


「さて……ヒートホースの角の加工に移りますか…」


 私の言葉に、周囲に緊張が走ります。


 タクマが根性で切断し、納品してくれた角は見事な保存状態でした。

 長さは、私の中指の指先から肘辺りまで。このサイズから考えるに、どうやらタクマが狩猟したのはヒートホースの子供だったようです。しかし、その性能に問題はありません。


 結局、炉の火起こしはタクマがやってくれました。

 私も監督しつつでしたが、申し分ない火力です。これならば、きっと……。


 私はそこにヒートホースの角を突っ込みました。


 二人は私の暴挙に「え?」「は?」と唖然としていましたが、そんなことを気にする余裕はありません。静かに、そして徐々に灼熱を帯びていくその角からは一瞬たりとも目を離せないのです。


 私がこの角を杖の芯に選択した理由はふたつあります。ひとつは、カナタさんの最も適性度が高い魔力の性質が【炎】であったから。そして、もうひとつは、ヒートホースという生物は、自身の熱をその角を持って制御しているからです。つまり、彼らにとっての杖は自身の角ということになります。森をひとつ焼き尽くすほどの火力を制御できる力があるならば、炎を操る杖の素材として申し分ないと判断しました。


 その角が、今静かにその姿を変えようとしています。


 細い円錐状である角を、叩いて棒状に伸ばしていきます。

 何度も、何度もその工程を繰返し、そして、また叩いて、叩いて、形をあるべき姿へと変えていきます。白熱石の影響か、それとも何らかの化学反応か判断できませんが、その黄金の角は次第に白色へと変化していきました。

 文字通り、真っ新な、そう新しい存在へと生まれ変わろうとしています。


 もう鎚は必要ありません。

 この角自体が、自身の新しい姿を求めています。


 私は今まで創って来た『持ち手』『装飾具』を集め、白色の角の近くに置きます。

 そして最後に、魔水晶を角に触れさせると、それはまるで水銀のように姿を変化させ、魔水晶を取込んでいきます。魔水晶が出す基本命令は、『杖としての最高の性能を発揮すること』。それに応えるかのように、角は流動する触手へと形を変え、持ち手と装飾具を取り込んでいきます。


 挑戦と失敗を繰り返しているのか。

 何度も形を変化させては分解し、また再構成を始めます。もしかしたら……いえ、この子は確実に自身の主人となる存在をすでに知っています。それはきっと、角を持ってきたタクマから感じたのでしょう。もしかしたら、彼女を心配するリオンさんの退魔の唄からの影響もあるかもしれません。


 角は……いえ、その杖は、主人が望む姿に、主人が望む力を求めて変化しようとしています。

 それをずっと眺めているのは、武器屋として、この杖の製作者として嬉しいものがありましたが、親らしく最後の一押しすることにします。


 右手に持つのは、魔刻字用万能ペン(ルーン・ライター)

 虚空に描くは、青き輝線。

 私は、その光を杖へ向けると、魔印字を瞬時に書き込みます。


 付加したのは本来の目的であった【神聖】と……その意味を象った形態である【十字】の命令。


 私の魔刻字を受け取ったその杖は、やっと自分たちが主人のために役立てる姿が分かったのか、魔水晶を中心に四方へと延びて行きます。


 ひとつは長く、そしてその先端には絶氷石が使われた持ち手が。

 ふたつは短く、左右に伸び、装飾具が絶妙に合わさって白い翼のような形に。

 そして、杖の先は元の存在が角であることを忘れさせないためにか円錐を象り、その先端は暖かい炎が灯っていました。

 十字に伸びた杖の中心点には、円状の孔が空いており、そこに黄金色の魔水晶が青い文字とともに浮かんでいます。それ以外はすべて白色で彩られており、純白と表現するのが相応しい存在となりました。


「頑張りましたね……」


 産声を上げた杖からは、魔水晶が微かに煌めいて返事が聞こえてきました。



 私はその子を優しく抱き上げ、その美しい形状に感嘆します。

 もし、私が最後まで作業していたとしても、この美しい姿を創り出すことはできなかったでしょう。


「なんて言っていいか、わかんねえけど……成功したんだな! ルミスさん!」

「ククク……なるほど、これこそが真の奇跡か…。歴史の一幕に起ち合えたことを誇りに思うぞ、【紅の武器職人】(クリムゾン・スミス)よ。その杖からは、恐ろしいほどの神聖さと力を感じる…。ククク……なるほどな、確かに私は貴様のことを何も知らなかったようだ」


 二人は、まるで自分のことのように喜んでくれました。

 私自身も、嬉しい気持ちで一杯だったのですが、本当の試練はこれからだと言うことを忘れてはいけません。


 窓の外を見ると、すでに遠い空から太陽の光が地上を照らし始め、それと同時に鐘の音が街に響き渡ります。そろそろ店を開けなければならない時刻ですが、残念ながら本日も臨時閉業となりそうです。


 その朝は、奇しくもカナタさんに杖を渡せると予測した十日後の朝。

 だからこそ、この杖を彼女に渡すに相応しい日になるでしょう。


 あと一話で「駆け出し勇者たちと武器屋」が終わり、その後にエピローグを投稿する予定です。

 あくまで「駆け出し勇者たちと武器屋」が終わるだけであり、まだ物語は続いていきます。

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