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神の化身となりました  作者: レモングラス
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1話

ふと異世界ファンタジー物を書きたくなり投稿しました。

高校三年生の冬休みにそれは起こった。

これからもこんな日常がずっと変わらずのんびり過ぎていくと呑気に昼寝ばかりしていた私に対するおしおきなのだろうか。

とにかくはっきりと言えることは悠長に昼寝なんてしている暇がどこにもない、そんな余裕が私の心にどこにもないということだ。



これはどういう夢なんだろう。

気づけば私は薄暗い森の中に一人でポツンと佇んでいた。辺りを見渡せばどこもかしこも木が生えていて鼻につくのは緑と微かに混じっている花や木の実のような甘い香り。

私は森から視線をずらして自分へと向けてみた。母からお下がりで貰った手がすっぽり収まって私の膝上くらいまであるぶかぶかの白くてフワフワの上着。

靴は少しだけヒールのある履きなれた茶色のブーツ。

背中にははとこちゃんと色違いで買ったピンクチェックのリュック。中にずっしりと重みを感じてそういえば自動車免許の教習に行っていたことを思い出した。


「夢じゃない…?」


少なくともその日の分の教習が終わってさぁ今日はバイトもないから家で昼寝しようとすっかりご機嫌だったことは覚えている。

果たしてまだ寝てもいないのに夢なんて見るのか??あ、もしかして白昼夢(デイドリーム)とかいうヤツか!!


「白昼夢ってなんだっけ。」


どうしようもない。


空を仰ぎみれば葉と葉の間から柔らかな日差しが差し込んできている。

この分厚い上着を着ていても暑いとも寒いとも思わないということは私が元にいた世界より少しだけ暖かいようだ。

自然と上着のポッケに手を突っ込むと手に馴染みのある四角形がぶつかった。スマホ!!!!

慌てて引っ張り出して電源を入れ…入らない。


「あれ、充電はバッチリ満タンにしてきたはず…」


なんどてっぺんの小さな電源ボタンを押してもスマホは反応してくれない。

これでは時間を確認することもできないじゃないか!!私は愛しのはとこちゃんのように腕時計なんざ持ち歩いてないんだ。

途方に暮れて私はその場に座り込んだ。

そしてずっと最後にしまっておいた一つの仮説にたどり着くことにした。


もしかしなくてもここって異世界…かもしれない。


自分の言っていることが重々おかしいことは百も二百も承知ですよ。でもそれ以外に納得できる理由がない。

白昼夢の意味が分からないままだけどスマホで検索することはできないし。

ふと栓をしていたシャンパンを勢いよく開けた時のように不安と焦りが溢れてきた。心の中で「どうしよう」とそればっかり呟く。


「落ち着け…落ち着け私…ほら、深呼吸…」


そうやって自分に言い聞かせ深呼吸を繰り返せばやっとこさ落ち着きを取り戻しかける。

そしてリュックの中からあるものを取り出した。それは頑丈な少し小さめの箱。

留め具を外して開いてみれば首から釣り下げられるように紐を取り付け加工されている綺麗なオカリナがあった。

これは私が父が十歳の誕生日に送ったくれた物でいつも肌身離さず持ち歩いている物だ。

辛いことや悲しいことがあったとき、嬉しかったり楽しかったりしたことがあったとき私はこのオカリナを吹いていた。

手にとってマウスピースを口に含む。目を閉じて心の中でパッと浮かんだ曲を私は吹いた。

オカリナの高く澄んだ音は私を中心に波紋が広がるように響きわたる。じわりと閉じた目の端に涙が浮かんだけ れど、気づかないフリをして演奏に集中した。

演奏はすぐに終わった。だってこの曲はほんの1分と少ししかない曲だからだ。

願わくば目を開いた時には元の世界の景色に戻っているといいなぁとそんなことを思いながら目を開けて私は絶句した。


目の前にそれはそれは立派な狼2匹。それが私のことをジッと見つめていたのだ。


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