雨音を奏でる宝物
ぴちゃん。
ぴちょ。
??「ん...。」
雨の音で目が覚めた。
ジリリリリ。ガチャッ。
??「・・・目覚まし時計うっさ!」
今日も今日とて休みである。
というか最近ずっとそう。
こんな日は外に出るに限る。が。
??「雨なんだよね。そと。」
ミャー。
??「君も避難してきたのか。よし。缶詰めをあげよう。」
ミャー。ゴロゴロ。
さて。雨というのは分かってる。
ちなみに唐突に自己紹介!
安藤夏そう読んでほしい。
夏「......。」
出掛ける以外選択肢はないか。
というのも私は一日分の食料しか買わないから。それにつきる。
ガチャ。キィー。ガチャン。
今日は近くのスーパーに行こう。
そんなことを考えながら傘をひろげる。
傘をくるりと回しアパートを後にした。
ピチャッ。ピチャッ。ポツッ。
雨は幸い強くない。
が、スーパーについて驚愕した。
『本日臨時休業またのおこしをおまちしております。』
スーパーが休み?
しかたないコンビニでカップ麺でも買おう。
確かここに、
『雨のため流通業者がダウンしました。』
アタマが痛くなってきた。
???「あのー。」
夏「?」
うしろに若い、高校生くらいの女の子がたっていた。
???「ここの者ですが、買い物にこられたんです
か?」
もちろんそうだ。
夏「えーっと。はい。」
???「すみません。今日はやすみなんです。よかったら近くに新しくできたデパートに行きませんか?私もいくところだったんで。唐突に自己紹介!私は山葵
香奈」
好意は受け取っておくべきだろう。
夏「おねがいします。」
香奈「はい!こっちです。」
女の子のヒラリと舞うスカートに目を奪われる。
香奈「?。どうかしました?」
不思議そうにくびをかしげる。
夏「いや。なんでも。」
流れる髪をサラリと流し前へ進んでいく。
30分ほど歩いただろうか。
香奈「ここです。」
なるほど。こんな建物が出来たなんて知らなかった。
香奈「そうですよね。この建物出来た時宣伝しなかっ
たらしいですよ?」
声がでてたか。
香奈「あの。よかったら。」
一緒にまわりませんか?
確かに私は初めてだしありがたい。
スタスタ。
答える間もなく彼女は歩いていく。
香奈「コンビニに来たってことは食材ですよね。」
彼女は地下へと歩みを進めていく。
香奈「1人暮らしなんですか?」
夏「えっと。まあ。」
香奈「ズバリ!今日のメニューは?」
夏「今日はなー。ブリとダイコンなんていいんじゃないかな?」
香奈「じゃあお魚コーナーですね。」
彼女が歩くたびにいい匂いがして緊張する。
香奈「?」
お魚コーナーに魚が並んでない。
夏「やっぱり、雨で流通が止まってるのかな?」
他のコーナーはそんなことはなさそうだ。
香奈「あ!すいませーん!」タッタッタッ
走って店員さんに聞きに行ったようだ。
夏「どうでした?」
香奈「まだ朝だから捌いてる途中みたいです。先に大根買いませんか?」
そういうと、彼女は野菜売り場に行った。
香奈「一本丸々・・・は、いらないですよね?」
夏「はい。一人暮らしなので。」
私は大根の真ん中あたりが切ってある物を手に取った。
夏「あとは・・・生姜ですかね?」
近くにあった生姜を手に取るとカゴに放り込んだ。
夏「香奈さんは何を買うんですか?」
彼女は少し悩んで言った。
香奈「私は・・・カレーです。えへへ///ありきたりですよね。」
私はタマネギ、ニンジン、じゃがいもをカゴに入れた。
夏「精肉コーナー行きましょうか?」
香奈「はい!」
精肉コーナーは2割引の商品で埋め尽くされている。
夏「へー。今日お肉安いんだ?一つ買っとこう。香奈さんは何肉でカレー作るんですか?」
香奈「牛ミンチです。意外と美味しいんですよ?あっ、そろそろお魚出てるかも!」
お魚コーナーでは店員さんが忙しなく魚を陳列している。
香奈「ブリ・・・ブリ・・・あっ!ありましたよ!」
729円・・・なかなかにお高いブリをカゴに入れてレジへと急いだ。
それぞれ会計を済ませて一階へと戻った。
ザァーーーーー!!!!
雨が強く降っている。
香奈「これじゃ濡れちゃいますね。」
夏「そうですね。」
傘を持ちつつ空を見る。
夏「そう言えば二階には何屋さんがあるんですかね?」
香奈「さぁ?止むまでの間、暇つぶしに行ってみます?」
彼女に同意して二階へといった。
・・・どうやら雑貨屋さんがあるらしい。
オルゴールがある。べ、べつに欲しくはない。
香奈「あっ、服屋さんがありますよ?夏さん?」
夏「あっ、すいません、なんですか?」
香奈「オルゴール、気になるんですか?」
図星を突かれた。
夏「はい。あっいやべつに。」
その後、彼女と服を見たがなかなか良いものはなかった。
1時間くらいして雨が止んでから帰った。
家について一息ついた。
夏「はぁー。疲れたな。」
ピチョン。ピチョン。
夏「やっぱりオルゴールよりも雨の音が安らげるなあ。」
にゃーお。
夏「君にもわかるかね?」
にゃーお。
居間には仏壇がある。壊れて鳴らなくなったオルゴールと二枚の写真。母親と父親だ。
このオルゴールは両親が結婚した時の記念の品だそうだ。
ならないオルゴールに思いを馳せながら、料理を作る。
私にとっての宝物は両親との思い出だった。




