ドラゴンを見たい男 3
西湖水地方へ飛ぶオンボロヘリで、僕はその女性のことを思い浮かべずにはいられなかった。
どんな人が夫を殺すんだろうか。
しかも5人とは。
西湖水地方随一の街、ボゴザートゥベッルにつき、宿に落ち着く。
今日はここで休み、明日その女性の罪の告白を聴くことになるらしい。
それがすんだらネッカール湖へ案内してもらえることになっていた。
僕はなんとなく明日のことを考えることを避けようとしていた。
重いイベントよりもドラゴンのことだけを考えていたかった。
翌朝、宿で出されたキリ名物のイモの粥もそこそこに収監所に向かう。
キリ族にとっては罪と罰が非常に重要なのだとコーディネーターから聞いていた。
そもそも善良なキリ族は罪らしい罪を犯さないし犯された罪をとても恐れるのだという。
罪は禁忌なのだ。
聴罪室で、夫殺しのアオーフルという女性を待った。
少し待っていると、女性が連れられて部屋に入ってくる。
取り立てて特徴がなく凶悪さなどはまるでなくなんというか普通の静かな感じの女性で、僕は少しショックをうけた。
あまりにも描いていた姿とは違った。
狂気も暗さも感じなかった。
無味無臭とでもいうか。
ここでコーディネーターの女性は席を外した。
アオーフルを連れてきた刑務官は僕に聞かせるように彼女に言った。
「お前のために聴罪師をわざわざ異星から招いたのだ。罪を告白して綺麗になって罰をうけるように」
そして立ち去った。
僕は聴罪室に彼女と残され、二人きりにされた。
僕は仕方なしに、口火を切った。
「あなたの罪を話してください。僕はあなたの部族の風習や宗教については無知ですが、聴くことがあなたの罪を浄化することになるのなら喜んで役目を果たしましょう」
僕はとにかくこの重苦しい施設からすぐにでも逃げ出したかった。
早く彼女の罪を聴いてしまい終わりにできたらと思った。
しかし、彼女から発されたのは意外な言葉だった。
「私の罪とはなんでしょうか。どれが私の罪ですか?」




