ドラゴンを見たい男 2
「一つだけ方法がある」
コーディネーターの中年女性は無表情に言った。
「実はキリの長に人を頼まれている。聴罪師がいなくて困っているらしくて」
チョウザイシ?僕には初めて聞く言葉だった。
「そう。聴罪師。この星は、特にキリ部族は罪人を恐れるの。罪人は罪を告白することで罪から解き放たれる。その代わり、罪を聴く聴罪師に罪が移ると考えるの。だから聴罪は生半可な部族の人間には出来ない恐れられる行為で、今までは長老だけが行っていた。でも、最古老の長老が亡くなってしまってからというもの、その役目を担おうというものが現れない。以前も部族の者以外にお願いしたことが記録に残っているらしいの。ただ罪の告白を聴くだけの役目だから、もしあなたが引き受けるのなら、竜の巣穴のあるネッカール湖へ行く許可を交渉してみてもいい」
僕には選択の余地はなかった。
深く考えることなく聴罪師になることを了解した。
罪人がいないときは聴罪師が空席でも問題ないらしいが、ちょうど大罪をおかした者が出たのだそうだ。どんな罪かと聞くと彼女は顔をしかめた。
「残忍な殺人者だそうよ。なんでも5人の夫を殺した女がいたとか」
それを聞いて僕はかなり動揺した。
罪の告白を聞くといっても他愛ない軽犯罪だと思っていたのだ。
そんな恐ろしい罪とは。しかも女性の罪人だったとは。
尻込みする気持ちはあったのだ。
引き返すのならこの時だった。
しかし、僕は完全に、眼の前に吊るされた餌に目がくらんでいた。




