魔鏡伯 其の一
魔鏡ってなんかいい響きだよね…
「______…」
_________声が聞こえる………
優しく、力強く、よく周りに響く声___
「___に__…」
この声、どっかで____
「おい、無事か?」
「う……?」
………一体さっきの夢はーー?
「ん、起きたか。気分はどうた?」
どうやらここは学校の屋上のようだ。
「神木……いや…少しだるい…」
「そう、恐らく今"家"の情報を取り込んでるのね、その内逆に元気になるわ。」
「そうな…のか…いや、家って何?」
「・・・上を見てご覧。」
「上?わか…………た…………」
そこに広がっていたのは、全ての払拭する青色の空ではなく、見る人全てを不安にさせる毒々しい紫色の空だった
「これが家よ、今回は紫色ね、空の色と周りの建物の作り込みで強さが分かる…わかった?」
「…もう細かい所は突っ込まない………」
「なら強さについて軽く説明するわ。」
そう言いながら神木はポケットから紙札やノート、シャーペンを取り出した…いや、そのポケット四次元ポケットか?
「通常の場合、家には"条"が出来る。」
まだゴソゴソポケットをまさぐっている…何か探しているのか…?
「どこの家庭でも少なからず、家には家のルールがある」
神木はポケットをひっくり返し、何かを探している、少し焦っているようだ。
「・・・そして当然、妖や怪異にも独自のルールがある。」
神木は少しだけ深呼吸した後、説明を続ける。
「家とは、そのルールを違う存在に強制的に強いる場所…(あ、あった)
それは天候だったり地形だったり人体に影響を及ぼす場合がある。」
神木は内側の胸ポケットから探していたであろう懐中時計を取り出した。
「でもルールはとても難解な構造じゃないと作れない…通常の家だと精々1.2本ぐらい…それでも物をちょこっと動かす程度ね。」
神木は懐中時計のゼンマイを巻き始めた。
「上級妖や怪異などは5.6本、中々厄介なルールを強いてくる。」
神木はゼンマイを巻き終えると、そのまま手放した。
「え!?」
「気にしないで、ただの消耗品だから。」
懐中時計はそのまま落下し、地面にぶつかった後、凄い速さで針が進んだ。
「これはこの場に何本条があるのか探る物、1から100の数字までで、その本数を占めす。」
1本しか針がなく、回り続けたが、まるで電池が切れたかのように突然止まった。
「・・・やっぱりね。」
「おい…この数字って!?」
針が占めす数字は 32
「最上級特異指定妖怪、魔鏡伯、規格外の化け物よ。」
「へぇ そんな感じに伝わってるんだ、僕って」
「ーーー逃げ!」
その瞬間、自分を突き飛ばした神木は、眩い光に胸を撃ち抜かれた。
「ーーーーは?」
ドサ そう音をたてて、神木は倒れた。
「おい!神ーーー」
「安心しなって正晴、そんなんじゃ死なないから!」
「えぇ、そうね。こんなんじゃ死なないわ。」
神木はそう言って立ち上がり、木混を構えた。貫かれた筈の胸は制服に穴が空いてるだけでそこから見える肌は傷ひとつ無い。
「あれ?もしかして正晴むっつりだった?」
「なっ!?ちげぇし!てか!!」
「なんで永遠がこんな所に!?」
「僕、魔鏡伯だから、こんな所で悪かったね〜」
は?
永遠が魔鏡伯???
「そうよ正晴、この男ーーー」
薄々勘づいていた。だけと、3年間の思い出、その記憶が違うといってーーー
「実画家 永遠が魔鏡伯と見て間違いないわ。」
パリン 何かが割れる音がした。
条中時計 ゼンマイを回して扱う条器、通常の時計とは違い、1~100まであるメモリと一本の針を使い、条を読み取り、測定する事が出来る。江戸時代初期から中期にかけて作られ、当時は条解士がいない時に重宝されたが、生産速度が遅い・1回しか使えない・馬鹿高い・そして一般汎用条解術の開発者亜流兵衛三郎が一般汎用条視術を開発、そして広めた為江戸時代後期には使用者が激減した。しかし条視術には本数を数え辛い・疲れやすい・目が痛いなどの欠点があり、現代でも使用者はいる。