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ポンちゃん

 事務所の片隅にこそっと置いてあったツクモの自転車を勝手に借りて急ぐ風音と、移動手段を失くしたツクモは仕方なくドラゴンを抱え走って行く事にした。

 友人の異様な焦りようにドラゴンがこの世に認知されていない生き物だと知りつつも、忘れている状態だ。

 走っている途中真横に緑色の電撃が一瞬にしか認識出来ない速度で横切る。

 踵を返すように遠くから虹と同じ形状をして電気はツクモの前に降り立った。そこには体中に小さな静電気をまとう男子高校生、雷太の姿があった。

「お前、何故ドラゴンを抱えてる」

「え! 何でって、えっと」

 先ほどの光景から5秒も経ってないだけに困惑しかない。

 それでも負けまいとドラゴンを両手で持ったまま自信満々に突き出す。

「守ろうと思ったからです!」

 考え込む素振りをツクモに見せて、次に頷く。

「ああ、俺はあまりそういう生き物に良い思い出はないが、そう決意するならいいだろう。じゃな」

 姿が消えたと思ったら爆風を起こして再び電流の化身となって移動してしまった。

 いきなりドラゴンがじたばた暴れ出す。次々と物事が起きるだけに特に何も考えずあだ名で呼ぶ。

「どうしたのですか! ポンちゃんまで!」

 上手い事ツクモの腕からすり抜けるとくびれの部分をがっしり掴んで大きな羽で大空へと飛び上がった。

 真下には多くの高層ビルと、方脇の方向はどこまでも広がる海と空がどこまでも広がる。

「落ちちゃう! わたくし死んじゃう! ポンちゃん降りて!」

 ツクモ自身には見えないがポンちゃんは喜んだ表情で飛行していた。楽しそうに鳴き声すら上げて白い雲を突き破った。

 左右には小鳥や猛禽類のワシなども一緒に飛行し、掴まれてる本人も慣れてきて我に返る。

 次第に笑顔がこぼれ今まで見た事の無い景色に一緒になって喜んだ。

 しばらくしてツクモの目的地である?上裁判所跡地の近くにある駅に螺旋状で急降下を始めた。

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