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もうじき無くなる村

 村の最も奥にある場所であり丘の上にある寺院のような建物の前に風音達は来た。

 建物の入り口には顔を真っ赤にした村のおさと思われるお婆さんが地団太を踏みながらいきなり文句を叫び始める。

 疲れ果てたのか俯いて顔を真っ青にして何もしなくなった。

「で、うちらの要件なんだけど、」

「もう何も無い」

 首を傾げて意気消沈してしまった老婆を見つめる。

「お前のような者が荒し回ったせいで若者は減り、ご覧の通り滅茶苦茶になって修復が効かんのだ。近い内にこの村はこの国ではないどこかへ移動するつもりじゃよ」

 歩美が怯えをまとった目で視線を落としつつ自分の掌を見て、小さく呟く。

「じゃあ私は、このまま私の能力に溶かされてしまうの?」

 風音が肩を組んで鼻で大きく息を吐き得意げな笑顔になる。

「大丈夫。次の当てはあるから」

 急に抱きついて泣きもせず怯えもせず、好きという感情だけが溢れだして思いっきり服の後ろ側を握る。

「じゃ! 次の当てに行くんで多分しばらくサヨナラだね! 行くよ太陽」

「おう。ああ、あと僕から言っておくが……婆さん」

 一歩前に出て身構えた姿勢で太陽の方に視線を向く。

 木の葉が飛び交い静まり返る。寺院の入り口からこそっと顔を出す修行中の魔女が数名いた。

「悪かったな。姉貴、手段を選ばない人だから」

「ふん、今更か。村が移動する事は変わらんぞ、若造」

 そそくさと寺院の中に入ってしまう。ちょっと遠くにいる風音達が手を振って「早くー!」と聞こえ、走って合流する。


 村の出口付近で次の行動への打ち合わせを始める。

「うちと歩美ちゃんは『神秘の島』に行く。太陽は?」

「大都市に帰るつもりだぜ。僕達の弟の様子も見たいし」

 頷いてジーパンのポケットから棒つきの飴を取り出す。そしてそれを太陽にあげる。

 喜んで受け取って早速口に頬張った。

「元気でね!」

「勿論だ」

 拳と拳と突き合わせてそれぞれの目的地へ向かう為に別々の方向へ歩み出した。

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