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一方こちらは王城、国王が率いる部隊と一緒に王城に戻って来たのでした。


大広間にやってきた国王は王妃に出迎えられたのでした。


王妃が国王に尋ねました。


「あなた??どうなりましたか?」


国王が王妃に言いました。


「うむ、それがな、諸侯達から王国軍の派遣を断られてしまった。」


王妃が国王に尋ねた。


「まあそれでは魔物達が王国の奥深くまで??」


国王が王妃に言いました。


「いやそれは大丈夫だ。魔物達は国境の外に追い払われた。」


「どういう事ですか?」


「ミハエル殿とマリー殿が迅速に動いてくれたようだ。マリー殿が結界の再展開をしてくれたおかげで再び安定した状態に戻ったようだ。ミハエル殿とマリー殿の活躍により、国境は再び安定を取り戻した。」


「それは良かった。あなた申し訳ありません。治癒院の方で手一杯になってしまって。」


「しかたない、セリーナ、君はよくやってくれたよ。全てはフェルドとスザンヌを信じてしまった余の落ち度だ。」


「ありがとうあなた。ですけどマリーさんには合わせる顔がありません。」


「そうだな。フェルドの言う事をもっと疑ってかかるべきだった。まさかスザンヌがあそこまでひどい娘だったとは。」


「あなた、今それを言っても仕方がありません。」


「そうだな、セリーナ。今はやるべきことをやるとしよう。」


「誰かフェルドとスザンヌをここに呼んでくれ。」


それから少ししてフェルドとスザンヌが大広間にやってきたのでした。


「フェルド様、スザンヌ殿、お成りでございます。」


大広間に入ってきたフェルドとスザンヌは開口一番にこう言ってのけたのだった。


「父上!!!謹慎を言いつけられた時はどうなるかと思いましたが、どうやら誤解は解けたようですね。」


「フェルド王太子様!!おなか空いちゃいました!!大広間に今すぐにゴージャスな昼食を用意して。あと使用人と兵士達も全員集めてください!!」


「おい!!使用人共!!スザンヌの為にすぐにとびきりゴージャスな昼飯をここに用意しろ!!」


国王がフェルドに言いました。


「その必要はない。」


フェルドが国王に尋ねた。


「どういう事です?父上??」


国王がフェルドに言いました。


「余はお前を許していないからだ。」


フェルドが国王に言いました。


「父上まだ誤解しておられるのですか?」


国王がフェルドに言いました。


「誤解はしておらん。フェルドとスザンヌが救いようのない愚か者だと理解したのだ。」


フェルドが国王に言いました。


「やはり誤解しておられるではありませんか?」


国王がフェルドに言いました。


「お前がマリー殿との婚約を破棄して大聖女の名前を取り上げたりたせいでこんな事になっておるのだろうが。」


「父上ですからその件で私に非はありません。私は仕方なく婚約破棄したのです。」


「隠し通せるとでも思っていたのか?各貴族の連名でお前が出した触れについて抗議がきておるのだ。この事態を招いたフェルドとスザンヌの両名に厳罰を課すようにと要求してきておるのだ。」


「一部の貴族のつまらない嫌がらせにございましょう?そんなもの間に受けてはなりません。」


「一部ではない!!お前とスザンヌを処罰しろというのはほぼ全ての貴族家からの要求なのだ。」


「それでこの前の舞踏会に出席した者たちを呼んで話を聞いた。みなが口を揃えて言っていたよ、お前がマリー殿に一方的に婚約破棄し大聖女の地位を取り上げる事を宣言する触れを勝手に出したとな。フェルドよくも余に大嘘を並べ立ててくれたな!!!」


「父上お怒りを鎮めてください!!マルステイン王国のためを思って私はマリーを追い出したのです。マリーがいたらこれから先このマルステイン王国に大きな災いが訪れたかもしれません。」


「お前が連れてきたスザンヌのせいでもう大きな災いが起こっておるだろうが!!!お前たち二人のふざけた行いによって結界が消失し、マルステイン王国を危機に晒しただろうが!!諸侯やマリー殿が怒るのはいたって当然だ。」


「いいか!!今までこの王国はマリー殿がいたからこそ安定していたのだ。マリー殿が結界を維持し、たくさんの人々に加護と癒しを与えてくれていたのだ。それがどれほどの貢献であったのかフェルド!!愚か者のお前には分からんかったようだな。そして今回もそのマリー殿の働きによって、事態を終息に向かっている。ミハエル殿やマリー殿が、動いてくれたおかげで結界の再展開が完了した。魔物もミハエル殿が率いる公爵軍によってほぼ国境の外まで追い返せた。全てマリー殿の功績だ。諸侯も口を揃えて言っておられたぞ!!マリー殿は素晴らしい大聖女であるとな!!」


フェルドが国王に言いました。


「父上それは違います!!マリーは何もできない性格が悪いだけの悪役令嬢なのです。諸侯が愚かすぎるのです!!父上までおろかな事を言わないでください。大聖女にふさわしいのはスザンヌだけです。」


スザンヌも国王に言いました。


「そうです。そうです。大聖女にふさわしいのはこのスザンヌです。あの悪役令嬢ではないです。」


国王が厳しい顔でフェルドとスザンヌに言いました。


「フェルドそれにスザンヌお前たちは救いようのない愚か者だな!!」


するとフェルドは母である王妃に助けを求めたのだった。


「母上、母上からも父上に言ってください私もスザンヌも何も悪くないのです。」


王妃も厳しい顔でフェルドに尋ねました。


「フェルド??あなたに問います。スザンヌさんが治療院での行いは聞いていますね。それであなたはスザンヌさんに何か言いましたか?」


フェルドが王妃に言いました。


「はい、治療院での事はスザンヌともよく話しあいました。」


王妃がフェルドに尋ねます。


「なにを話し合ったのですか?」


フェルドが王妃に言いました。


「のぼせあがった下民が体調が悪いなどというふざけた理由でスザンヌの服を汚しスザンヌを困らせた事です。」


スザンヌが王妃に言いました。


「そうなんですよ、あれでお気に入りの服の20着のうちの1着が汚れてしまったんですよ。本当にいやになっちゃいます。」


フェルドがスザンヌに言いました。


「許せないな、こんなにも愛らしいスザンヌの服を汚すなんて万死に値する。」


スザンヌが王妃に言いました。


「私の服を汚したババアに厳しい処罰をしてください!!」


フェルドが王妃に言いました。


「私からもお願いします。そのババアには厳しい処罰を!!!」


王妃が二人に言いました。


「マリーさんは本当に働き者で、みんなにやさしく接していたのですよ。」


「王妃様、マリーは悪役令嬢なんですよ。あんな性格の悪い女が働き者なわけがありません。」


「そうです、母上!!決してマリーは働き者ではありません。」


「マリーさんは文句一つも言わずに、結界を維持してみなさんの傷を癒していたんですよ。」


「だから王妃様。あの女は悪役令嬢なんですよ。マリーは王妃様をイジメてた悪役令嬢なんです。救いようのないクズな女なんです。」


「私がいつどこでマリーさんにいじめられたというんですか??言ってみなさい!!」


「いつどこでかはわかんないけど、あいつが王妃様をイジメてた悪役令嬢なのは間違いないんです。」


「いつの事かもどこの事かも分かんないのに、なぜマリーさんが私をイジメていたと断言できたんですか!!」


「それは???」


「私から言わせればスザンヌさん!!あなた方が悪役令嬢に見えますよ!!」


「ひどい、私は悪役令嬢じゃないのに、王妃様なんでそんなひどい事を言うんですか?」


「母上、スザンヌがかわいそうだとは思わないんですか?」


「こんなふざけた事で婚約破棄されて悪役令嬢だと言われたマリーさんの方がよっぽどかわいそうですよ!!」


すると国王がフェルドとスザンヌに言いました。


「よいかフェルド??この王国は未曽有の危機にさらされておったのだ。大聖女を失い王国を守っていた結界は一度消失してしまった。さらには貴族たちは激高しておる。中に大きな敵を抱えてしまっているのだ。さらに治癒院の麻痺して多くの傷ついた者たちの傷が癒せない状況が続いておるのだ。」


「大変なんですね。父上。」


「国王様がんばってくださいね。」


国王は大きくため息をついて言いました。


「はあー。お前たち??これだけ言って何も思わないのか。」


王妃が国王に頷きながら言った。


「ええ仕方ありません。あなた。」


国王も大きくうなずいた。


「うむ!!」


国王は大きな声で触れを出したのです。


「よいかフェルドそしてスザンヌ!!お前たちには責任を取ってもらうからな!!まずフェルド、貴様の王位継承権を現時点をもってはく奪し、王族としての資格も取り上げる。スザンヌの貴族籍も取り上げじゃ。」


「なんだって??正気ですか父上??」


「それじゃあ私は価値のない下民になってしまいます。」


「そうです。父上!!私が価値のない下民になるなんてありえません。」


「いいか!!フェルドそれにスザンヌ!!!お前たちはもはや罪人に過ぎぬ。毎日まじめに生きている民たちとお前たちが同列だと??そんなわけなかろうが!!フェルドとスザンヌはそれ以下の罪人にすぎぬ。みなもこの両名を罪人として扱うのじゃ。フェルドとスザンヌを地下牢に連れていけ!!」


「はっ!!!」


「父上、お考え直しを。」


国王はフェルドの言う事を無視してこうつぶやいたのだった。


「もっとはやくこうするべきだったな。そうすればこの愚か者がマリー殿を追い出す事もなかっただろうに。」


「父上、お考え直しを。」


自分の発言を国王に無視されるフェルドはまたとんでもない事を言い始めるのだった。


「騎士共!!すぐに父上と母上捕らえて私とスザンヌを助けよ!!父上と母上がご乱心してしまった。」


スザンヌも大きな声で言った。


「そうよ、国王様と王妃様がとち狂ってしまわれたわ。すぐに私たちを助けて。」


だが誰も二人を助けるために動く事はなかった。


「何をしている??兵士共でもいい!!すぐに私たちを助けろ!!忠義を示せ!!」


だがやはり誰も動かない。


「そうよはやく助けなさい!!」


「ええい、役立たずの騎士や兵士共め!!本当に何の役にも立たない連中だ。お前らは王家に尽くすのが仕事だろうが!!」


「ちゃんと仕事をしなさいよ!!鎧を着てるだけの無能共め!!」


すると兵士達がフェルドとスザンヌに言うのでした。


「確かに王家に尽くすのは騎士の仕事だ。」


「だが我々は国王様に仕えているのであって、フェルドお前に仕えているのではない。」


「それに、役立たずだのなんだの、罵倒をしてそれが助けてもらう立場のいう人間のいう言葉か?」


結局フェルドとスザンヌは誰にも助けてもらえずにそのまま地下牢に連れていかれたのだった。



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